究極のカルボナーラの秘密! ‥‥のその前に。Vol.1

越川さんはテレビや雑誌でも度々見かける料理人。料理への拘り、素材への拘り。料理人として辿ってきた足跡…。まずは、秘密の「裏側」の話から。

4.11, 2018

写真家(Leica TL2):松井 文
  • food&liquor
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料理人であると同時に‥‥

 

――まず、読者の皆さんに伝えたいことってありますか?

 

『《料理人》というのと《独立して起業した》というのが(自分の要素として)ある。これまで伝えてきたことほとんどが、料理人としての側面だった。

(だから伝えたいのは)なんで独立したのかとか、いまある問題とか、これから個人で独立するひとへのアドバイスとか‥‥。でもつまんないですよね(笑)。
僕はやっぱカルボナーラに拘りがあって、それでほとんど(雑誌やテレビに)出てるんで。そっちのほうが面白いでしょ。』

 

――いえいえいえ(笑)

 

『個人でやってるひとって少ないんですよ。ほとんど儲けなんて無いんで。大きなスポンサーが付いて、オーナーシェフという名の雇われシェフになるひとが9割以上。なのに、「子供が生まれたばっかりのときに、借金までして、独立したの?」と言われました。』

 

――そんなリスクを背負っての挑戦。料理への想い、情熱がその理由に他なりません。「日本一のカルボナーラを作る。」「少なくともカルボナーラで日本一になる。」そう想い続けていたと。

 

『飲食店は5年で90%潰れちゃう。10年で(生き残るのが)5%未満。頭を使わないと生き残れない。』

 

『お金がいちばん大変。(独立までの間に)ちゃんと給料貰って、税金払って、貯金して、若いうちにシェフになって、カルボナーラというキーワードも入って、テレビとかにちょっと出られるようにする。そのために、シェフになったらこういう会社で給料を貰おうとか。意外と計算してやってましたね。』

 

――料理への屈託無い情熱がすべてのエンジン。でもそれだけでは生き残れない、という冷静な覚悟を感じました。

「基本的にブラック企業っていうか(笑)」

――越川さんは飲食業の「闇」について話してくれました。

 

『飲食店っていろいろ問題があるじゃないですか。基本的にブラック企業っていうか(笑)。当たり前ですけど(労働)拘束時間めちゃくちゃ長い。給料も安い。先も見えない。介護士や保育士、人がいなくて問題といわれてるんですけど、離職率でいうと10%くらいなんですよ。飲食店は離職率50%ですから』

 

――でも目指すひとは意外と多いといいます。そしてすぐやめていってしまうのです。

 

『テレビとかで取り上げられやすいじゃないですか。いま流行りの行列ができるお店とか。スターシェフがテレビに出たり、そういう華やかなところだけが見えちゃって。どこの業界でもそうだと思うけど、光っているひとは1割未満』

 

――きっと厳しい現実に揉まれるよりも以前、それが垣間見えただけで離れてしまうひとがほとんど。それだけ、イメージとのギャップが大きい業界なのかもしれません。

「諦めなければ失敗じゃない。」

 ――では越川さんはなぜ続けられたのですか?日本一のカルボナーラへを作るという意思だけでしょうか?

 

『性格もあると思う。すっごい負けず嫌いで。だからじゃないですかね。「こういうふうになりたい」っていうのがはっきりあった。何十回もやめようと思ったことはありますよ。殴られて「来なくていい」と言われて、本当に行かなかったときもあったんですよ。

 

でも料理そのものが好きになっちゃって。料理っていろんな工程があるじゃないですか。仕入れる業者さんとか、魚下ろしてくれる方とか、チームプレーっていうのかな。それが忘れられないですね。』

 

 ――そしてその後、食べてくれたひとのリアクションが支えになっていると続けました。

 

『「おいしかった、ありがとう」「おいしい、幸せ」そういうのを見ないでやめちゃうひとが多い。もったいないですよね』

 

――ではこれから目指す方にアドバイスは?

 

『諦めなければ失敗じゃない。なんのために目指すのか、明確になっていたほうが諦めないで続けられます』

 

――多くは語りませんでしたが、その言葉には強い説得力がありました。本当の意味で厳しい現実を知り、それに直面し続けているひとだからこそ、軽々に諦めたりしない。わたしは強くそう感じました。

 



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  • 松井 文写真家(Leica TL2)

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