Design Hotel Guide デザインホテルガイド Vol.3

箱根本箱 HAKONE HONBAKO

世界のデザインホテルを独自の視点によるリサーチとエッセイ:
HAKONE HONBAKO(箱根本箱)

8.27, 2018

founder of artless Inc. / branding director / art director / curator :川上 シュン
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本に囲まれて“暮らす”ように滞在するホテル「箱根本箱」。 8月1日オープンしたてのこのホテルのプロデューサー:自遊人/岩佐十良さんとの打ち合わせ予定もあったのでミーティングという理由も兼ねて伺わせてもらいました。場所は箱根の強羅温泉エリア。箱根湯本から箱根名物でもあるケーブルカーで3駅目の「中強羅」駅で下車で徒歩4分ほど。電車とケーブルカーを乗り継ぐ旅。

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エントランスから入るとすぐ大きな本棚と大きな窓から見える美しい景色のロビーラウンジ。

チェックインするよりも先に本棚の前に行ってしまい、そして、好みの表紙の本に手が伸びる。そんな空間。名作の椅子に腰掛けてとりあえず本を開く。チェックインすることを忘れる。

「箱根本箱」はブックホテルとして、ホテルとブックストアを融合させつつ、ラウンジ、レストラン、ショップ、シアタールーム、そして、温泉を備えた複合体験を用意している。本を読むためのロビー、ラウンジ、客室の設計。読書に疲れたら、温泉に浸かる。もしくは、シアタールームでショートフィルムをながめる。本と共にある時間、本と暮らしているような宿泊体験を演出している。

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ロビーの本棚には、人も入り込み本が読めるというデザインになっていたり、ハシゴに登って本をとったり、独自のセンスでカテゴリー分けされ、選書されている。アート、建築、デザイン、食などの今のトレンドを感じる選書。表紙のデザインがいいものが多く見え、デザイナーでもある僕には好みの本棚。レストランでは「オーガニック&クレンジング」をテーマにした和食のようにも感じた自然派イタリアンが堪能できる。ワインも日本ワインとビオワインを中心にセレクトされている。

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客室にも、各部屋ごとに独自の選書された本が多く置かれ、普段の僕では手に取らないようなカテゴリーの本にも部屋にあると何気無く手にして開いてみる。表紙のデザインは微妙なのに、案外、そんな本の内容がよかったりして、デザインし直したくなったりもしながら読んでいたりするという滞在だった。同じく自遊人が仕掛けた新潟南魚沼にあるホテル「里山十帖」と同じように心地よく緩やかな時間が流れる空間でありつつも、今回はもう少し現代的なデザインと構成を感じ、インテリアデザインもコンクリートむき出しな仕上げが多く見え、新しい試みを感じる。

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ここで大切にされている「本と共にする時間」「本との偶然の出会い」。それは、人と人の貴重な出逢いと同じようなことなのだろうと感じたりする。何か全てがデジタルやオンラインで完結してしまう今だからこそ、アナログな本との時間と偶然の出逢いという言葉や体験が、より大切で貴重に感じことができるのだろうと思う。ホテルと本、温泉と食事、それを一つに包むモダンデザインな空間。僕にとっては、好みの本がたくさん保管してある別荘のようなホテルと感じました。

 

また、本を読みに伺います。

 


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Profile

  • 川上 シュンfounder of artless Inc. / branding director / art director / curator

    独学でデザインおよびアートを学び、2001年、ブランディングエージェンシー artless Inc. を設立。ブランディングやデザインコンサルティングを中心に、ロゴやV.I.構築、グラフィック、サイネージ、ウェブ、そして、建築、インテリア、アートキュレーションに至る、包括的なアートディレクションを行う。東京と京都を拠点にグローバルな活動を行なっている。