Hey!凡な日々 Vol.9

キラキラした眼差し、汚れ一つないスーツ、期待や不安、とんだ勘違い。社会人を2ヶ月経験した僕が分かったこと。

4.15, 2019

ハガキ職人:落合のダッチワイフ
  • essay
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URBAN TUBEにてコラムを書かせてもらうようになってから、どれくらい経過したのだろう。気がつけばこの「Hey!凡な日々」も8本目かなんかで、よく書けたなと我ながら偉い偉いである。自分が書いたコラムを見返してみると、タメになることが一つも載ってなくて驚いた。たまにはタメになる何かを書きたいと考えながらバイト先に向かっていると、終わりかけの桜が目に入った。なんと美しい。桜というのは刹那的で云々といつもは始めるのだが、今回はそうはいかない。何故ならタメになる記事を書くと決めているからだ。

 

病院に入り勤務先のコンビニへと歩いている途中、シワひとつないスーツを着た人達とすれ違った。桜がよく似合う。この少年少女達が抱くキラキラした期待や希望もまた、桜のように儚く散っていくのだろう。そうならないために、僕は今回、新社会人について書くことにした。このコラムを読んだ新社会人や、なるべくして薄汚れてしまった大人達が「タメ」になったなぁと思ってくれるようなコラムを目指して、今パソコンをカタカタと打っている。

 

「社会」や「働く」ということについて、今から偉そうに書くにあたって、まず自分の経歴をざっと知ってもらう必要がある。コラムは「誰が書いているか」ということが重要で、それにより説得力が増減する。

 

僕は大学を卒業した後、ネット銀行に勤めた。割とちゃんとした会社だった。その後、新卒2ヶ月で退職。以後、7ヶ月の無職期間を経て、現在病院内売店でフリーター活動をしているといった感じだ。ここで仕事を2ヶ月で辞めたお前に何が分かるんだという声が上がるかもしれない。確かにその通りだ。実際に自分が勤めていた会社がどのような事をしていたのか、僕は100文字以上で説明することが出来ない。しかし、2ヶ月間働いて感じたことを、これから何千文字と綴っていくつもりである。

2ヶ月間働いた後、半年近く無職を体感する。写真は仕事を辞めたての頃、あまりの嬉しさと持て余した時間が相まってか、ついつい撮影してしまったカレーとロックマンのコラボ画像。

2ヶ月という期間は慣れるギリ手前。上司の「働いていく内に慣れるよ」という言葉は、言い換えれば、時間が経過すればする程鈍感になるよというようにも取れる。このコラムは「仕事のススメ」でも「転職のススメ」でもない。ざっくり言うと、新鮮な目を持っている内に感じた「社会人違和感あるある集」である。「やっぱり私、僕だけじゃないんだぁ」とか、「昔はそうだったなぁ」とか思ってくれれば嬉しい限りだ。

オフィスの前にあった銅像。恐らく職場から逃げ出した新卒が石にされてしまったのだろう。「安全第一」と書かれているのも怖い。震える手を抑えながら思わず撮影した。

 

「学生気分」と「社会人」

 

僕は最初から最後まで「学生気分を抜きなさい」と上司に怒られ続けてきた。朝起きてスーツを着ている時点で、己が社会人だと自覚せざるを得なかったし、そもそも社会人としての自覚があるからこそ、決められた始業時間に合わせて律儀に家を出ていたのだ。では、僕のどこから「学生気分」という得体の知れぬ気分を周囲は感じ取っていたのだろう。すでに「社会人としての自覚を持つように。」と釘を刺された新卒の君に教えよう。上司の言うところの「学生気分」とは「パジャマパーティーの時の気持ち」のことである。

 

考えてみて欲しい。友人と自宅近くのコンビニで待ち合わせをし、お菓子コーナーでたけのこorきのこかだなんて何の足しにもならない話で2、3分は笑って、お酒を買って、ピザまんを食べながら気の合う仲間と大きな声を出しながら夜道を闊歩する。自宅に着き、桃鉄をやったり気になるあいつの話をしたりしている時に、友人がスーツを着ていたら君は何という?「社会人気分を抜いたら?」と言うのではないだろうか。

 

思い返すと僕は、「フォーマルな会話をしなさい」と言われ続けてきた。形式的な会話をしろということだ。僕はこれが辛くてたまらなかった。「フォーマル」とは型を遵守した、儀礼的な、正装といった意味を指す。つまり、職場におけるスーツをである。「フォーマル」の対義語は「カジュアル」。型に乗っ取らない楽な格好、態度という意味だ。つまり、パジャマのことである。スーツを着ている時と、パジャマを着ている時の気分は同じだろうか?違うはずだ。

 

服装の持つ役割に僕らの人格は多少なりとも寄せられていく。新卒はスーツを着慣れていない。シワ1つついていないではないか。自宅にあるパジャマを見て欲しい。首元がヨレヨレではないだろうか?チョコの跡とか付いちゃってたりして?

 

新卒は中身がパジャマパーティーの時の気持ち寄りである。そんな僕達に「学生気分を抜け」だなんてのは無理な話だ。だが、焦る必要はない。これからスーツを着ている内に、スーツの持つ役割に自分が染まっていけるようになるであろう。

 

 

 

「同期が面白くない」

 

僕は、人の人生は十人十色だと思っている。それぞれに正解があり、それぞれに事情がある。白か黒かハッキリ分かれるものなんて、この世に存在していないのかもしれない。線の引き方によって、正義であったはずのものが大きな過ちに見えたり、はたまたその逆もある。全てはグレーゾーン。判断を急いではならない。といったような考えを踏まえた上でハッキリと、声を高々にして一つだけ、唯一言い切れることがある。それは「この世の同期は面白くない」ということである。これは正しい。面白い同期なんて一切いない。君の同期も、僕の同期も、僕の同期から見た僕もまた面白くない。たまに、「同期が面白くてさあ」なんて話を聞くがそれは違う。君の同期は面白くない。以上である。

 

 

 

「飲み会」

 

会社の飲み会は地獄だ。いい歳こいた上司がハシャイでいる姿程、間抜けなものはない。会社に入りたてだった頃、たくさんの飲み会に参加する羽目になった。期待の言葉をかけられたり、会社への熱い思いを語られても、何を言っているのかさっぱりだった。新卒は決まって、出身地はどこ?大学ではどんなゼミに入ってたの?会社慣れた?どこの部署入りたいの?どこから通ってるの?等々の質問攻めに合う。「1+1は何でしょう?」的ないわゆる、頭を捻る必要のない回答を連続でするというのはかなり退屈でエネルギーがいる。その質問をして君は楽しめるのかい?と思いつつ、あくまで形式的な質疑応答を生緩いビールと共に繰り返すことになるのだが、スーツを着ているので仕方がない。

 

そんな行き詰まった雰囲気に風穴を開けてくれるのが、お調子者のパジャマ先輩だ。お酒が回ったせいか、自宅のようなテンションで「彼女いるの?」「何か面白いことしてよ」等、質問内容としては下品だが、少しは返答し甲斐のある問いを投げかけてくれる上司が現れる。僕の前にも実際にパジャマ先輩は現れ、その時は人参を垂らされた馬のようにトークが走りまくり、パジャマ先輩を爆笑の渦に巻き込んだ記憶がある。その日の帰り道、4月の心地よい風になびかれながら「ああ、いい先輩だなあ。」だなんて酔ったものである。

 

次の日、時折スキップなんかを織り交ぜながら会社に行くと、パジャマ先輩が鬼のような顔でパソコンをイジっている。「おい、お前企画書けてんのかよ!」なんて他部署の先輩に怒号を飛ばしたりして、とにかくパジャマ先輩のいる部署は終始緊張感に包まれていた。パジャマ先輩との会議の際には「落合、お前さ、ちゃんと考えて話してる??」だなんて言ってくる始末。僕はこのギャップに酷く落ち込んだ訳である。

 

新卒の皆もこのパターンには是非気をつけて欲しい。飲み会では気さくで職場で鬼の様な怖さを見せつける先輩は、かなりこの振り幅を自覚的に見せている。体感すれば分かるが、湧き出ている緊張感が不自然なのだ。中学の時、一限目に国語の教科書を強めに「バーン」と鞄から机に出し、注目を集める同級生を思い出して欲しい。あの感じだ。あれはエンタメ、即ちエンターテイメントである。

スーツからパジャマへ、パジャマからスーツへと早着替えする、その様子、その振り幅を見せる、一つのショーなのである。飲み会で気さくな先輩は、職場でかなり怖い可能性があるので、ごっちゃにならないように要注意である。

 

 

 

「労働」

 

働くにあたって、これから嫌なことがたくさんあるだろう。例えば、午後、自分を怒るにあたって使うカロリーを摂取するために、先輩が昼食を取っているように見えたりだとか、なんか全員が敵に見えたりだとか、自分の居場所はここでいいのだろうか?と思ったりだとか。色々ある。お気づきの方もおられるとは思うが、そう、僕は今まとめにかかっている。何故なら明日バイトがあるからだ。もう寝る。何にせよ人間お金を稼がなくてはならない。

 

最後に「良く見ると何も言ってないんだけど、なんかそれっぽい」ことを書いて、このコラムを閉じたいと思う。

 

仕事を頑張ってみたいと思うのであれば、頑張れば良いと思う。

仕事を辞めたいと思うのであれば、辞めたら良いと思う。どちらも勇気がいることは確かで、どのような選択をしても逃げたことにはならない。

 

終わり。(2019.4.9 3:36)

 

 

 


 

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Profile

  • 落合のダッチワイフハガキ職人

    「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
    プールサイドというコンビ名で活動中。
    毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
    現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。