Hey!凡な日々 Vol.16

僕の趣味はラジオに投稿すること。
ひん曲がったラジオへの真っ直ぐな気持ち。

7.31, 2019

ハガキ職人:落合のダッチワイフ
  • essay
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ハガキ職人って何?

 

URBAN TUBEでの僕の肩書きが「ハガキ職人」になっている。
ハガキ職人とは、単純に言うとラジオに投稿している者達のことを指す。
ラジオには生放送中に発表されるメールテーマというものと、毎週固定のコーナーという大喜利のような企画があり、我々リスナーはそこで読まれるために血眼になってお便りを送るのである。
もちろんラジオを聴いている人全員が読まれたくて聞いている訳ではないし、楽しみ方は人それぞれであるし、そもそもコーナーがないラジオ番組だってある。何故ここまでフォローするかというと、ラジオ界隈には常に小うるさい人で溢れていて、時に「ハガキ職人」の定義についてTwitterで言い争ったりもするのだ。そうゆう人達を「ハガキ職人」と呼ぶのかもしれない。僕もラジオに関することとなると小姑のように口うるさくなるし、「ハガキ職人とは」みたいなことに言及してしまったことがある。
つまり、僕はハガキ職人なのである。

 

現役 or OB

 

が、最近胸を張って「俺はハガキ職人だ!!!」と言うことに多少躊躇してしまうことがある。何故なら去年から今年にかけて、一切ラジオ投稿をしていないからである。僕が熱心にラジオ投稿を行っていたのは、もう数年前のことであり、同時期に投稿をしていた人達は皆作家になったり、芸人になったりと様々である。投稿をしていないクセにいつまでもハガキ職人という肩書きに浸かり、気がつけば26歳。「ラジオとは」みたいな文章を書いては注目を浴びようとしたり、突然SNSでラジオ愛を叫びだしたりと、気がつけばクソうるさいOBそのものになってしまっている。誠にショックである。
俺はいつまでも大好きなラジオのことについて喋りたい。
ラジオで読まれていないとラジオについて語ってはいけないのか!!!という意見が今にも飛んできそうだが、これはあくまでも僕個人の、偉そうに言ってしまえば美学の話なのである。
いつまでも現役でいたいのだ。
とゆう訳で、7月の頭から一ヶ月間本気でラジオ投稿に打ち込むことにした。
今回のコラムは、僕が送ったラジオ投稿の日々に関する日記のような内容となる。何度も言うようだが、これはあくまでも僕個人の感想や考えに基づいたコラムである。ラジオは全員が俺のものだと思っていてもおかしくはないはすだから、それでいいと思っている。ちなみに、技術的というか、読まれるコツとかそうゆうものは一切書かないので、あしからず。そんなものはありません。面白いか面白くないか、それだけっす。

 

 

結果発表

 

まず、タイトル通り結果から発表したい。7月の採用数は1通である。
1通だ。率直に驚いている。400~500は送ったと思う。それで1通である。実力のなさを痛感する形となってしまった訳だけども、仕方がない。700通くらい採用され、圧倒的なコラムを書くつもりだったので、落ち込んではいるが、1通は1通で可愛げがあっていいかな、なんて今では思っている。
本当に悔しくてたまらない。

 

 

ラジオ投稿の日々

 

投稿を始める決意をした7月の頭、まずは送る番組を決めることにした。JUNK、オールナイトニッポン、オールナイトニッポン0という深夜帯に放送している番組の中から、6番組程選び、事前に送ることの出来るコーナーに投稿することにした。とにかく無数に送ることの出来る、短い回答で済むコーナーを選んだ。
「ハガキ職人」というからにはハガキで送っているのかしら?なんて思う方もいらっしゃるかと思うが、現在ではメールで送る番組の方が多い。
時間があればある程、無料で送ることが出来るのだ。そのため、多くの職人達が大量にメールを送る訳で、その中をかき分けて読まれなくはならない。
読まれることを最優先とした場合、単純にまずは「数」を送らなくてはならないのである。よって僕は短い回答で済む、例えば「こんな学校は嫌だ」の回答を送るだけで良いようなコーナーを選ぶことにした。
結果的に、数にのみにこだわったことで、薄いネタをただ何百も羅列するということになってしまったのだけれども。
僕は番組毎にルーズリーフをファイリングし、油性のボールペンでぬおおおおっとネタを書きまくった。
メールで直接打ち込むことも出来るのだが、送信する度に脳がリセットされてしまう感じがして、一々手を止めないためにも、喫茶店などでルーズリーフに書き殴り、家に帰ってからルーズリーフに書かれたものを一気に送信するという手法を選んだ。またこの方法は読まれなかった際の精神的な予防策でもある。というのも、読まれなかった場合、大抵僕は心の中で「おい、ちゃんと俺のネタ見たのかよ!!見た上でハジいたのかよ!」という難癖をつけ始める。しかし、50通程の塊で送ったとなれば、僕のお便りを見逃すことはないだろうと思える。ちゃんと精査された上で、採用されていないのだなと納得することが出来るのだ。

 

 

投稿投稿の日々

 

7月はバイトが早番だった。朝の5時30分に起きて、16時にバイトが終わる。
早起きをしなくてはならなかったので、深夜に放送されるラジオをオンタイムで聞くことが出来なかった。
自分が読まれているかどうか、どのようなネタが読まれているのかを確認するために、通勤途中に前日に放送されたラジオのコーナー部分のみを聞き、バイトが終わると喫茶店に向かい、次の日に放送される番組へのネタを書くという繰り返しの生活を送った。
僕は昔から番組の放送日の前日にしか投稿をしないと決めている。送ったらすぐに読まれないと、いてもたってもいられないからである。

 

7月の半ばからは、ブチ切れながら出勤するということが多くなった。というのも、読まれないからである。とにかく読まれないのだ。これまでの喫茶店のコーヒー代と滞在時間を全てドブに流している気がして、イライラが止まらないのである。ラジオの基本的なルールとして、ネタの使い回しは厳禁とされている。というか、自分がハガキ職人という自負が少しでもあるのだとすれば、当然のことだとは思う。がしかし、あまりにも虚しい。
目の前の大量に積み重なったルーズリーフに詰まった僕の「面白」が、事実誰の目にも触れないことが決定してしまったのである。ただの紙くず同然。これにまつわる全てが無駄でしかなかったのである。みたいなモードに入ると、僕はもう完全に嫌な奴になってしまう。まともにラジオを楽しむことが不可能になる。採用されるか否かのドキドキでまともにパーソナリティーの声は入ってこないし、されなかったら何かにブチ切れるだけ。そんな悶々とした日々を送っていた。

 

 

ねじ曲がったラジオ愛。

 

採用されない日々を送って気がついたのだが、僕はあまりラジオ自体を好きではないのかもしれない。現に、投稿そのものがないラジオ番組を聞いたことがない。僕はラジオが好きなのではなく、ラジオで読まれる自分が好きなのかもしれない。自分でもなんて卑しい人間なのだろうと思う。
コーナーに送るネタを作っている時、「このコーナー全て俺だけのネタが採用されろ!」という気合いで踏ん張っているので、事実そうなんだろう。
僕がラジオ投稿に病みつきになったきっかけは、自分が送ったメールで、聞いている人や大好きなパーソナリティーが笑ってくれたりして、初めて自分にしか出来ないかもしれないことで、認めてもらえた気がしたからだ。
「俺はここにいるぜ!」って叫べているような気持ちになるのだ。
この浅はかな承認欲求をエンジンに稼働してしまっているせいで、採用されないと、自分の声が誰にも届かなくなってしまったような気がしてならないのかもしれない。不健全な考え方かもしれないけど、僕はそれで何度も勝手に救われているし、もうそうゆう関わり方しか出来ないのだなと、喫茶店から帰る電車の中でなんとなく思った。

 

つまり僕はヤバい彼氏 / 彼女と一緒なのである。
僕を採用するラジオは大好きで、反対に僕を無視するラジオは世界一嫌い。
あなたが好きでいたいから、だからこそ採用されなくてはならないのだ。俺がラジオの友達だったら、そんな奴と早く別れた方がいいよ!って助言するね。
僕はなんて気持ちの悪い男なんだ。自分をぶん殴ってやりたい。

 

 

辞めることができない。

 

木曜日の朝。バイト先に向かう電車に揺られながら、前日に放送していたラジオを聞く。「落合のダッチワイフ。」僕の名前が読まれた。全身から何かがドバドバ出るのが分かった。何度だってそうだ。何度読まれても初めての感じで、この興奮はやってくる。素直に嬉しかった。
よっしゃこっからという気持ちで、それからもたくさんネタを書いたけど、今月採用されたのは、その一度きりだった。
いつもだったら、ここからラジオに関するエモーショナルなことを書いて、強引に締めるのだが、そういう気にもならない。
ただ、悔しい、めちゃくちゃ悔しいだけなのだ。
昔どっかのプロデューサーの人が、「ラジオとは一定の距離を持って楽しむといい。」みたいなことを言っていたけど、実際そうなのかもしれないなと思った。
だけど、僕の性格上、一定の距離を保っていては採用は愚か、投稿すらすることが出来なくなる。
怒りや憎しみ呪いを込めながら、ルーズリーフに油性を滲ませ、一喜一憂する8月を僕はおくる。
ラジオで満たしたい承認欲求は、ラジオで満たさなくてはならないのだ。

 


 

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Profile

  • 落合のダッチワイフハガキ職人

    「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
    プールサイドというコンビ名で活動中。
    毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
    現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。