ジャパニーズ・ソウル #021

9月に聴くべき、秋の風と夜長を感じる最重要サウンド

古今東西、日本に存在するさまざまな"日本人の、日本人による、日本人のための"ソウル・ミュージックを、新旧問わず、オシャレかつアカデミックにご紹介。今回はコチラ!

9.27, 2018

BonVoyage:カネコ ヒデシ
  • music
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さわやかな風と海、、、忘れられない夏ののこり香

アーティスト:NAOYA MATSUOKA & WESING

タイトル:The September Wind

レーベル: Warner Bros. Records

発売年:1982年

価格:時価

 

・トラックリスト

01. THE SEPTEMBER WIND (You’re Romantic)/九月の風 ~通り過ぎた夏~
02. A SEASON OF LOVE
03. MISTICA LATINA
04. ADRIA
05. THE SHOW
06. NOCHE CORRIENDO
07. A MEMORY OF MAJORCA/思い出のマジョルカ
08. EVENING TIDE

 

 

さあて、平成最後の9月もすでに終盤。

 

9月といえば、夏と秋の変わり目、”風”と”夜”を感じる季節である。

 

 

そんなワケでまずは”風”、それもさわやかすぎるブリージンサウンドなアルバムを。

 

 

1982年にリリースされた、サンバやラテンなテイストをふんだんに取り入れたフュージョングルーヴが気持ちいい、松岡直也サウンド全開の『The September Wind』。

 

 

じつはこのアルバム、79年の『THE WIND WHISPERS』と『MAJORCA』、80年の『SON』、81年の『SHOW』という、松岡直也&WESING名義でリリースされた4枚のアルバムのなかから厳選された選曲のベスト盤。

 

ちなみに、ベスト盤ながらオリコンチャートにインするという、当時は基本的に歌謡曲がメインな時代だっただけに、フュージョンジャンルとしてはかなり異例のアルバムなのだ。

 

 

おススメは、「THE SEPTEMBER WIND」。

砂浜の波や風、セスナ機(?)のSEとともにはじまるインスツルメンタル。ひと言で言うと、それはやさしい風。なんだろう、このアーバンで心地よすぎるサウンドは。そこからのサンバビートへ変調し、軽快なリズムに。

真っ青で高い、だけど変わりやすい秋の空。まさに9月の風そのものを感じる、超グッドなヴァイヴレイション。

 

 

そして、マニアには80年にリリースされた、モントルーフェスのライブ盤が有名な「Noche Corriendo」。

コチラはもちろんスタジオ版ではあるが、まごうかたなき名曲中の名曲。しかし、狂おしいホドのノリノリなサンバビートのラテンジャズに、野太いベース。

気づくとおもわずコシを振ってしまう、そんなグルーヴィーすぎるサウンドだ。

 

 

全9曲がすべてインスツルメンタル!という、攻めのフュージョンアルバム。

 

ジャケットアートは、シティポップスといえばこの方!永井博画伯によるモノ。

 

 

とにかく、終始気持ちよすぎる、33分間の9月の風なのでアール。

ココロのスキマを埋めてくれる!夜なシーデキ・ジャズ

アーティスト:渡辺正典&世良譲トリオ

タイトル:君待つ宵のデキシー・サンバ

レーベル: テイチクレコード

発売年:197?年

価格:時価

 

 

・トラックリスト

A面 君待つ宵のデキシー・サンバ

B面 シーデキ・ラッパ街を行く

 

 

つづいて”夜”を感じる、粋でイナセなジャズの7インチを。

 

コチラは、トランぺッターの渡辺正典が、自身の得意としたサッチモことルイ・アームストロングのダミ声をモノマネして、オモシロおかしくデキシーランド・ジャズを歌うという、隠れた超名盤!

 

デキシーのトランペットでも南里文雄の後つぎとまでいわれた、ゴテナベこと渡辺正典。もちろん、自身も歌とともにスバらしすぎる鳴きのトランペットで参加している。

 

 

ジャケットの右上には、“東京・六本木「バードランド」にて録音”と記載され、ドリフ的なお客さんの笑い声や拍手などもはいっているので、おそらくリアルライブで録ったモノとおもわれる。

 

 

バックの演奏には、オシャレジャズの真骨頂、世良譲トリオ。

 

そのむかし、70年代後半にTBSで「サウンドイン “S”」という、伊東ゆかりがホステスをつとめていた超がつくほどのオシャレな音楽番組があって、その音楽監修として出演していた世良さん。

 

黒光りのグランドピアノと大きめのダブルブリッジなイロつきメガネ、キュッとしたグレイのスーツというジャズメン的な出で立ちで、サラっと弾くジャズのスタンダードナンバーに、コドモながらにドキがムネムネしていたのを覚えている。

 

 

今作は、そんな渡辺正典と世良譲のふたりによる、グンパツなデキシー・ジャズであり、ちなみに超がつくほどのナイスなジョーダン音楽でもアル。

 

 

おススメは、やはり長い夜を感じるA面の「君待つ宵のデキシー・サンバ」。

 

サウンド自体は、セツナすぎるミドルメロウなデキシーランド・ジャズ、、、いわゆるニューオリンズ・ジャズなのだが、ビートはサンバのリズム。

 

そんなユッタリなマッタリなデキシー・ジャズにノセて、渡辺正典がダミ声サッチモボーカルで、クダらないオトコのセツナイ恋ゴコロをうたいながら、時おりの世良さん?もしかしてアノ人?(クレジットがないので分からないのだが)のちょっかい的な文句が入るというふたりの掛け合い的ソング。

 

コレがホントに、40年以上経ったいま聴いてもサイ&コーにオモシロくて、シャレオツすぎなのだ。ちょっとしたエノケン的なヴォードヴィルジャズにちかい感じかな。

 

ちなみに、作詞には、昭和を代表する文化人、ディック・ミネが参加。

 

 

もちろん、B面の「シーデキ・ラッパ街を行く」もおススメ。

 

コチラは、A面よりももっとあのニューオリンズのイキフンをそのままパッケージした感じのちょっと陽気なデキシー・ジャズ。もちろん、あたりマエダの渡辺正典によるサッチモのモノマネボーカルが炸裂。

 

ちなみにこの”シーデキ”とはデキシーのジャズマン用語だそう。もしかして、”ギロッポン(六本木)”や”チャンネー(ネーチャン)”などのナウな業界人がつかっている、いわゆるトレンディー用語は、このジャズマン用語からの派生??

 

コチラも作詞にディック・ミネ。

 

 

この7インチ。

発売年は70年代中とは言われているが、じつは見本盤のみのリリースで、正確な年数がわかっていないというシロモノ。

ネット上にもあまり情報は載っておらず、ニンともカンとも、ナンともナゾのおおい作品。

 

しかし、パッと聴き、サッチモが実際に日本語で歌っているのか!?とおもえるほどの、サッチモ完成度の高さといい、当時の日本の随一の一流のミュージシャンによって演奏されたデキシー・ジャズ。

 

 

秋の夜長をグッとたのしく、そしてすこしセツナくさせてくれる、そんなジャズないちまいなのでアール。

 


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Profile

  • カネコ ヒデシBonVoyage

    編集プロダクション"BonVoyage"主宰、社会派カルチャーなWEBマガジン『TYO magazine/トーキョーマガジン』発行人、ニッポンのちょっといい音楽を紹介するプロジェクト『Japanese Soul』主宰。
    WEB、紙、空間など、さまざまなメディアを使用して時代を編集する。
    毎月第三金曜日に渋谷「NIGHTFLY」にて、DJイベント『Japanese Soulナイト』を開催中!
    ・TYO magazine/トーキョーマガジン:http://tyo-m.jp/
    ・Japanese Soul:http://japanesesoul.jp/