すてきなMother’s Day #03

会いに行く、母の日

1年の感謝を伝える「母の日」。ありがとうの言葉に添えたい素敵な贈り物。

5.11, 2018

URBAN TUBE編集部
  • essay
  • fashion
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母から教わったもの。

 

料理や洗濯、身だしなみなど一通りのことはもちろんだけど、その中でも一番心に残っているもの。

 

それは「好きなものの見つけかた」。

 

娘の私が母を褒めるのは少し恥ずかしいが、母は子供の頃の私から見ても「趣味のいい」人だった。

リビングには母が集めたアンティークのインテリアが飾られ、台所にはきれいな瓶に入った調味料がキレイに並んでいた。

 

ただ子供だった私には、それは少しだけ地味に見えたし、自分の洋服やベッドのシーツなどはキャラクターのついた華やかなものが欲しかった。そんないわゆる普通の子供。

もちろん誕生日やクリスマスには、予算内であれば私の好きなキャラクターグッズなどを買ってくれるのだが、子供らしい「衝動」や「思いつき」でプレレゼントを選ぶと必ずこう言われた。

 

 

「見かけだけで選んではだめ。目と、心と、両方で好きになれなくっちゃね。」

 

5歳か6歳ごろだったろうか。当時人気だった5人の少女が戦うアニメの人形が発売された時。誕生日に一つだけ買ってもらう約束でおもちゃ屋に出かけた。どれも魅力的だったが、思わず一番人気の主役の女の子の人形(それは衣装も髪型も、一番華やかだった)を手に取ったときにもそう言われた。

 

毎週アニメを見ながら、私は5人の中でもあまり目立たない、でもとても優しい女の子を応援していたのを母はよく見ていたのだ。

 

少し考えて主役の子の人形を戻し、応援している大好きな子の人形を買ってもらった。

 

「嫌いなものがあったら、一つだけでいいの。いいところを見つけてあげなさい。」

 

これはいつまでもピーマンが食べられなかった私に言った言葉。しばらくは「ピーマンにいいところなんて一つもない!」なんて思っていたけれど(またそう思っているうちは母は決して無理強いしなかった)、ある日ピーマンがとても綺麗な緑色をしていることに気がついた。

「ピーマンの緑色は、嫌いじゃない、かも」と伝えると母は嬉しそうな顔をして、早速その夜の食卓にはピーマン料理がのぼった。

 

大胆にも大きめに切ったピーマンを茹でて、母のお手製ドレッシングをかけたもの。

 

そのインパクトに怯えつつも、みじん切りなどで誤魔化さない潔さに負けて、思い切ってピーマンを食べてみた。お手製ドレッシングの甘さと茹でて苦味が減ったおかげでピーマンは思ったよりはまずくなくて、その日からピーマンは好物まで行かないけど、まあ嫌いじゃない、そんな存在になった。

 

 

そんな風にいつも色々なアドバイスやヒントをくれた母。

おかげで、私も「好きなもの」を見つけるのが得意になったと思う。

 

例えば就職を機に一人暮らしを始め、自分の生活のためのものを買いに出かけたとき。

 

見た目は素敵だけど、心動かされないなら買わない。

便利そう、と思っても見た目が好きになれないなら買わない。

そこまで便利なものでなくても、心も見た目もこれが好き、と思ったものは買う。

 

結果、当時の20代の若者にしては少しすっきりした家になったが、気がつけば私の家も「好きなもの」で溢れるようになった。

 

嫌いなものを見つけたら、好きなところを探すことも忘れないようにした。

 

母と違って私は掃除が苦手だったけど、「掃除をすると気持ちがスッキリする」と気がついてからは自分なりに頑張るようになったし、仕事で苦手な人に出会った時も、いいところを探すようにしてからは不要な衝突は減ったように思う。「一つだけでいいから良いところ」を探すのは、そんなに大変じゃないし、見つかったときは嬉しくて「嫌い嫌いが好き」、になることもあった。

 

久しぶりに母の家へと向かう道すがら、そんなことを思い出していた。

今は母だけが暮らす家には、相変わらず「母の好きなもの」で溢れている。

20年近くそれに囲まれて育った私は、母の好きなものを見つけるのも得意だ。

今年の母の日は、
小さな花瓶を贈る。

母の家のインテリアに似合うシンプルな形で、小さな花一輪がやっとさせるほどの細身の花瓶だ。

きっと母は喜んでくれるだろう。

そして「この花瓶にさす、小さな四葉のクローバーを探しにいこう」と言い出す気がする。

 

「お母さん、これ大好きよ。ありがとう」

 

そんな言葉が聞きたくて、母の家を目指す私の足はどんどん早くなった。

そんな素敵なMother’s Day

 

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TEXT AYA MATSUO
PHOTO TAKUMI KIMURA

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  • URBAN TUBE編集部

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