公立小学校で教壇に立つ

人は何のために働くのか?

3.4, 2019

美容師 / LIM統括ディレクター:KANTARO
  • essay
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先日、東京都の公立小学校から『働くとはなにか?』というテーマで語って欲しいという依頼が舞い込んで来た。

 

公立小学校から、このような内容の依頼が来る事は大変名誉な事だと思い、とても嬉しくなった。

 

そして同時に、よくもまぁ、この刺青だらけで金髪おさげの鼻ピアスの美容師に、このような依頼をしてきたものだな。と、公立小学校のその英断っぷりにもびっくりした。

 

さすが、都会の小学校。

 

外見にとらわれる事なく、理解がある。。。

学校前での写真

 

私たちは、『働く』ということに関して、無意識のうちにそれを受け入れていることに気づく。

 

それは、「なぜ働くのか?」「なぜ働かなければならないのか?」という事の本質を考えずに、私たちは働いている事が多いからだ。

 

実際に、この講義を行うに際して、何人もの大人に『なぜ働いているのですか?』という質問をしたが、その答えを明確に、そして即座に返せる人はごく僅かだった。

仕事をしている写真

私はまず、自分の子供2人に質問をした。

長男の俐皇明(リコウメイ)14歳(男子)の答えは、『生きるため。』であった。

 

「生きるため」とはどういう事なのか?という事を突き詰めていくと、「食べるため」「生活をするため」などと言った、具体的な答えが色々と出たが、結局のところ、行き当たるそれは『お金のため』であった。

 

なので、私は、「パパはお金のために働いているように見えますか?」と質問した。

 

そしてまた同時に、「もしあなたが大金持ちだったら、働かないですか?」と質問したところ、いずれの答えも『No!』であった。

 

『生きるため』という答えは『働く理由の一部』ではあるかもしれないが、それが最も重要な『本質』では無いことに気がついたようだった。

 

次に長女の愛蘭(アイラン)。芸術家志望の18歳(女性)の答えは、流石にカッコ良かった。

『自分の為だけに生きれるほど、私は強く無い。』という『三島由紀夫』の言葉を引用して、それを働く理由と答えた。

 

まだろくに働いたもこともない18歳の娘から、『三島由紀夫』の言葉を引用し、そのようなcoolな答えが出るとは驚きだった。。。

 

流石である。

 

私は『人はなんのために働くのか?』という答えを探す為には、先ずは『人としての原点』にまで戻る必要があると考えた。

 

『何の為に生きているのか?』

 

まず、ここからスタートすることが重要だった。

 

 

全人類、宗教や国籍、性別や年齢も超えて、全ての人間に共通する『何の為に生きているのか?』という問いへの答えは、ズハリこれだと思う。

 

『幸せになるため。』

 

ただこれだけだと思う。

 

 

原点の原点をシンプルな一言で言ってしまえば、これしか無い。

 

そして、それからその一歩先に踏込み、その『幸せ』とは具体的には何か?を自分なりにじっくりと考えてみた。

 

そして、そこにあった答えは、『自分の存在価値を感じれること。』だと、私は答えを出した。

 

自分の存在価値を強く感じれば感じるほどに、『生きる喜び』や『生きる幸せ感』は高まる。

 

逆に自分の存在価値を実感できていない人は、『生きている幸せ感』も薄い筈だ。

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自分の存在価値を感じる為には、必ず他者が必要だ。

 

だれかの為に何かを行い、誰かに必要とされる事で、初めて自分の存在価値を実感できる。

 

『働く』という行為は、正にそれを実感する事の出来る活動の一つなのだ。

 

つまり『働く理由』とは、『誰かのために働くことにより、自分の存在価値を見出し、生きる幸せや喜びを実感するため。』

 

という答えにたどり着いた。

 

まぁ、持論ではあるがそう思うわけだ。

 

私はこのような思考プロセスと答えを持って、教室へと乗り込んだ。

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子供達に伝えなければならない重要なこと。

 

『世の中に不必要な仕事は一つもない。』という事実。

 

『全ての仕事は、必ず誰かの為にある。』という事実。

 

これらのことは大前提として忘れずに伝えなければいけない。

 

たとえ、自分の夢見た仕事に就けなくても、たとえ、どんな仕事に就こうとも、その仕事に対して『自信と誇り』を持ちながら働く事から始める事で、自分の存在価値を高めることができるという事。

 

仕事自体に、価値が有るか?無いか?では無く、働く人自身の心持ちによって、その人の存在価値や、幸せ感が変わることを理解してもらいたい。

 

とにかく、『生きるために働くな!』

 

そんな難しいことを、小学6年生にもしっかりと伝わるように、やんわりと教えてきた。

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いつの日か、あの日のことをハッと思い出してくれれば幸いである。

 

それこそ、私の存在価値があった事の証明になるのだから。

 

 

今回、小学生に『働く意味』を教えなければいけないという使命を頂いたことによって、結果的に私自身が一番学ぶことになったことは、言うまでもないことであった。

 


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Profile

  • KANTARO美容師 / LIM統括ディレクター

    東京、大阪、ロンドン、シンガポール、香港、中国などの世界の各都市を、週ごとに点々と移動しながら働く美容師。『LIM』いうグループの統括ディレクターを務めており、ブランディングやマーケティングを行う。常日頃から『美容師の新しい生き方』を模索しており、50歳でのセミリタイアを夢見ている。いつまで経っても、怠け癖が抜けない、働き者の中年男性である。