Look Book Cook Records No.001

season 1「沖縄」その1「願いは叶う」

Look Book Cook Records 私の日々のインプレッションを画像と文で紹介するノンスタイルの連載です。

4.11, 2018

桑原 茂一
  • travel
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南の島へ向かう乗客たちの昂ぶりのせいか沖縄行の搭乗口には他の搭乗口とは違う華やいだ雰囲気が漂っていた。多分、ほとんどの“やまとぅちゅう〜”がイメージする沖縄はリゾートと基地だろう。私もそうだったが訳あって目覚めたのだ。その理由とプリンシプルをしばらくこの連鎖で書き綴ろうと思うが、まずはこの溢れかえる搭乗客の波に呑まれる前にあの海賊船に乗船することにする。さぁ出航だ!イヤホンの用意はいいか? Yo~Heaven~Ho~

私のリスニング・セット。iPhone7ジェットブラックにSONYワイヤレスイヤホン SBH24:カナル型 Bluetooth対応リモコン・マイク付き 2017年モデル ブラック SBH24 B ¥6,090 税込
そしてこのイヤホンの部分を以前から使用中のBang & Olufsen バング&オルフセン ヘッドホン B&O BeoPlay H3 SILVER (ブラッククモデル ¥25,816 税込 に付け替え、ま、ゴチャ感は免れないが楽しんでいる。

さてその「海賊船」とは、正式名を[ Pirate Radio ]といい、inter FMで4年半続いて退いたノンストップ番組のことだ。
公共電波を退いた後は、あらゆる束縛の柵から自由になる為、さらには個人の自由な選曲を貫くために門限のほぼ無いMixcloudを利用して2年ほどになる。放送日は毎週金曜日の夜11時ジャストからで、ほぼ一時間程度の番組を配信 (出航) している。この番組のリスナーは全国多所多岐にわたり年代も様々だ。最近は身に覚えのない国からのリスナーも増え、音楽だけは自由に国境を超えている事実を実感する。夜11時からの乗船オンタイムでのリスナー数は平均するとほぼ100名。多いときでも200名を超えることはない。ただ、配信後はいつでも聞けるので1週間でほぼ500名程度の人々が聞いてくれているようだ。
で、レギュラー・リスナーはPirate Radioを海賊船と呼び配信を出航と呼んでいる。そしてオンタイムで聞くリスナーたちは同時にTwitterを開き、ハッシュタグ #ckpirate つぶやきの自由を打ち込むことで、その時間世界の何処にいようとも「海賊船」の乗船客になれる。つまり一晩限りのリアルな会員制CLUB「PIRATE RADIO」のメンバーという寸法だ。
まさにこの感じは映画『パイレーツ・ロック』時代 (BBCは当時一日15分しかロック音楽を放送できなかった。) の追体験というわけだ。その映画のイカシタ雰囲気を感じたいならこちらを参考にして欲しい。(原題: The Boat That Rocked)

 

海賊船のミッションはズバリ!
“船が沈んでも私は選曲を止めない。”
これがこの番組の精神なのである。

 

さらにこの番組の魅力を加えるなら、この30年以上に渡り私が制作して来た様々なラジオ番組のエレメントを、私の過去を知るリスナーたちは懐かしいと感じてくれているのかも知れない。
とは言え、私は過去よりも今日を楽しむことを未来と定義しているので、所謂ノスタルジック選曲とは無縁だ。多分(笑)。
あえていうならダンスミュージックへのアジテーションや動乱、さらには、「超越を志向する者」(©:澁澤龍彦)でありたい故の悪あがきは死ぬまで変わらない。と自白しておこう。

 

さて、話を沖縄へ戻そう。

繰り返すが、多分ほとんどの“やまとぅちゅう~”イメージする沖縄はリゾートと基地だろう。私もそうだったが最近目覚めたのである。きっかけは、「Free paper dictionary」敗戦記念日発行165号の編集だった。と同時にその経緯はこのメディアにとってもターニングポイントでもあった。まずひとつ目は、3.11から4年半が過ぎ、8月15日の敗戦日を迎えるにあたり、沖縄へ疎開した友人たちの暮らしをレポートしたいと思った事。そこには今まで私の知らない真実の沖縄があった。

つまり、メジャーメディアの発信する大本営発表的プロパガンダに踊らされていては見えてこない。個人が発信する真実に目を向ける必要があるということだ。しかもたった一人(私)で編集発行する小さなメディアの役割となれば小さな魅力的な個人とどれだけ出会えるかということになる。そしてその小さな個人の存在がこのメディアを通じて繋がり合うことで少しでも明るい希望を見つけ出そうということだ。で、動け私となるわけだが、少々錆び付いた肉体を俊敏に動かすにはほっとけば硬くなる思考を柔軟に保つための日々の訓練が何より必要であろう。ということだけはとろい愚蒙な私もちゃんと認識はしている。

で、もうひとつは、現在free paper dictionaryにて連載中の「ロマンティック物理学」を担当しているヴィンセント博士ことシオタ・アツシ(プランナー)が私にこう言った。
「茂→さん、いくらfreeで配っても、20代が手に取ってくれるインパクトが表紙から伝わんなきゃ意味ないじゃないですか?」って言うから、じゃ、ヴィンちゃんが、好きなようにアートディレクションして、20代が手にしたくなる連載も始めようよ。
で、ほぼ4年前の2014年の163号164号から始めた私1人手作り表紙から、165号を一度ヴィンちゃんのアートディレクションへチェンジしてみた。

163号

164号

165号

165号

で、その代わりに私はヴィンちゃん依頼のジョン・レノン→ジョン・レナンとマービン・ゲイ→マーピン・ゲイの架空ピース対談の執筆を引き受けることになる。

ジョン・レナンとマーピン・ゲイ 夢のピース対談!?誌面

ジョン・レナンとマーピン・ゲイ 夢のピース対談!?誌面

John Lenan × Marpin Gaye

ジョン・レナンとマーピン・ゲイ 
夢のピース対談!?

音楽で「戦争愛」を謳う二人の赤裸々な対談が実現!?
二人の考える平和とは?憲法九条とは?
それより、こいつらは一体、誰だっけ?


(M) あの~ジョン、あなたは本当にジョンですか?
(J) そうだ。私だよ。
(M) ジョン…大変申し訳ないが、よかったらイマジンを口ずさんでもらえないかな?
(J) 鼻歌でもいいかい?
(M) できれば、ラララ、がいいかな。
(J)ララララ~♪ (Imagine) ララララ~♪ (there’s no heaven) ララララ~ララララ~♪ (It’s easy if you try) ララララ~♪
(M) ああ、もうそのくらいで、たぶん、ジョンだ。…それにしても、君はなぜそんな大きな袋の中に入ってるんだい?
(J) ああ、これかい?実は1968年に、妻のヨーコと一緒に入ってから、インタビューや対談はいつも袋に入ってから始めることにしてるんだ。
(M) 一度決めたら諦めない潔癖な君らしいよ、ジョン。…で、私からは君が見えないから心配なんだけど…
もしかして君はピストルなんか持っていないだろうね?
(J)マーピン、NOだ。君も知ってると思うけど、私がニューヨークに住んでいる時のことだ…世界は狂人たちに支配されていることを洗いざらいぶちまけようとしたら、チャップマンという狂った男にマンションの玄関近くで、いきなりピストルで撃たれたんだよ。たぶん、ヘイジューの仕業だ。
だから自分の経験から言わせてもらえれば、いくらアメリカが世界の保安官を気取っても、ピストルの所持はやっぱり国が規制するべきだよ。
(といいながらジョンは袋の中から出てくる)ほら、私は手ぶらだ。
何も身につけていないだろう。
(M) ジョン、忠告をありがとう。ところで…もしよかったら、ジョン…パンツぐらいは履いてくれないか?それとも僕が脱ぐかい?
(J)マーピン。君は自由だ!
(M) うん…でも今夜はやめとく。そういえばセクシャル・ヒーリングが売れた頃は、僕もステージで何度もパンツ姿になったもんだ。
あれ慣れると案外きもちがいいんだよ。一人の女の前で脱ぐよりもね…
で、僕も実際に父親にピストルで撃たれてから、やはりピストルは国が規制するべきだと思っているよ。
(J)ところでマーピン、君は男と女とどっちが好きなんだい?
(M) オー・マイ・ゴッド!!なんてこと聞くんだいジョン、僕が好きなのは女に決まっているじゃないか?
君の国のイギリス・ツアーのときには、若い白人の女性たちが毎晩のように僕に体を捧げてくれたよ。
(J)じゃ、君はゲイではないわけだな?
(M) ジョン、君のそのジャップが使うようなギャグはいただけないな。
僕は正真正銘のゲイ。マーピン・ゲイだよ。(笑)

「戦争は平和のため?」

(J)やはり君がゲイで安心したよ。質問だ。
君は「戦争」と「平和」のどっちが好きなんだい?
(M) Oh  No ! ヨーコ…「戦争」に決まってるだろう。
(J)マーピン、私の妻の名は、ono yokoだ。
君のギャグも、十分、ジャップだ。
それより、ミック (ジャガー)が「ピース (平和)」は金になったと言ってるけど、僕たちのビートルズは「ピース (平和)」では、金はつくれなかった。
で、マーピン、君の「ピース (平和)」は儲かったかい?
(M) ねえ、父さん、父さん…もうたくさんだ、戦争は答えじゃない~憎しみに打ち勝てるのは、愛なんだ~♪ (歌いだすマーピン)
(J) 歌が上手いのはわかってるよ、マーピン、私の次にね。
ところで戦争は 平和のためにあるって君は知ってたかい?
(M) ジョン、バカにしないでくれよ。学生時代、歴史は「A」だったんだよ。
(J)オーケー。じゃ、IQが高いマーピンに質問だ。
世界が平和で、全ての人々が笑顔で暮らせるには、どうしたらいい?
(M) もちろん、戦争だ。ジョン、確か君は、「愛とは、育てなくてはならない花のようなモノ」、そういってなかったかい?
では、君にとって戦争とは?いったい、どんなモノなんだい?
(J)モノの話は君とはしたくないな(笑)。
確かに、戦争は勝つまでやめられないギャンブルのようなモノかもしれない。しかし、もし、すべての人が、新しいテレビを求める代わりに世界の平和を望んだら、つまり私たちは自分の国で起きていることだけでなく、世界中のあらゆる出来事について責任を持たなければならない。
それが可能になるなら、その時こそ、世界は平和になる。
が、この現実っていう存在は、どうもドラッグとうまくやっていけない人のためにあるらしい。
ハハハ!とはいえ、私にはもうどんなドラッグも必要ないけどね。(笑)
(M) そういえば僕はピュアなコカインを一時間に1oz(28g)吸ったことがある。母に電話してそのことを告げたんだけど、神様はその時はまだ逝かせてくれなかった。その後、お金がなくなってピュアなコカインからクラックやフリーベースにハマりすぎて…ハハハ。
コカインはSEXするには確かにいいが、ちょっとやりすぎた。
“アレ”を硬くしようと夢中になって吸えば吸うほどなかなか硬くならないんだ。あれは悪魔のサイクルだな、気が狂いそうになるよ。
あれ?ジョン…君の右の鼻穴の縁に白い粉のようなものがついてるよ。
(J)えっ、私が!?まさか…ハハハ。で…ヘロインも、イマジンするほど素敵なもんじゃないんだ。
もちろん、もう僕にはどんなドラッグも必要ないけどね。
(M) あぁ、その君のセリフ、さっきも聞いたよ。
「もう、どんなドラッグも必要ない」って。

「憲法九条が生んだ名曲」

(J)マーピン、君は正しい。そういえば、確か君はこんなことも言っていたね「貴方自身の中に平和を見つけることが出来ないなら、貴方は何処にも平和を見つけることは出来ないでしょう。」って。何故人類はいつまでも平和を見つけることが出来ないんだ?
(M) 簡単さ、ジョン。人間は戦争が好きだからだよ。
あらゆる意味での戦争がね。毎日、毎日、そこかしこでね。
(J)なるほどね。質問はこれで9つ目、ナインで、ジ・エンドだ。
君はジャパンの「憲法九条」のことは知ってるかい?
(M) もちろんだよ、「Peace 9」のことだろう。
(J)私の命日は12月8日だから翌日のもう帰って来ない9日は一生忘れられないんだ。死んでもね。ははは冗談だよ、マーピン。
そう、今だから言うけど、実はイマジンはその「Peace 9」から生まれたんだ。
(M) やっぱりそうだったのか、実は、ホワッツ・ゴーイング・オンも「Peace 9」からの啓示が始まりだった。
(J&M) 我々はやっぱり、「Love & Peace」を金に変えたな。

 

「ロックンロールの未来」

(M) ハハハ!!ジョン、死ぬ前に聞いて起きたいことがある。
(J) マーピン、そのジョーク、今日の君の一番のヒットだ。
(M)告白するけど、僕は一番になることがなによりも好きなんだ。
だから誰よりもリスペクトする君に、一番だと褒められれば、もうなにも思い残すことはない。(長い間)
この告白は聞かなかったことにしてくれ。
最後の質問だ。ジョン、ロックンロールの未来はどうなると思う?
(J) どんな未来を私たちがつくるかだよ。
本物のロックを手にしたいなら、つくりだす私たちに責任がある。
いや、これを読んでる君たちにある、革命のイメージとか、長髪などに誤魔化されないことだよ。そんな幻想を乗り越えて、潔く自分をあきらかにして、音楽を作っているのは誰で、くだらないことを喋り立てているのは誰なのか?
それらをはっきりさせるべきだよ。つまりロックンロールは私たちがつくりあげていくとおりになっていくんだよ。

そう、私はロックンロール期の人間だ。“Whole Lot of Shakin’ Going On” の楽曲を超えたものはないと私は信じてる。だから私がそこから出て行くことは絶対ないんだよ。もちろん、棺桶からもね(笑)
(M)ところで、ジョン、僕は最近気がついたんだけど、自分のことを本当に天才だと思ってるんだ。
ジョン、君は自分を天才だと思うかい?
(J) ああ、天才というようなものがあるとするなら、私は天才だ。ララララ~(Imagine) ララララ~(There’s no Heaven) ♪
(M)ねえ、父さん、父さん、もうたくさんだ、戦争は答えじゃない~♪
憎しみに打ち勝てるのは、愛なんだ~♪
(ふたりそれぞれに歌いだす。)

改めて聴くべき!
ジョン・レナンとマーピン・ゲイ、二人の、永遠のマスターピース。

BAD IMAGINE JOHN LENAN

WAR IS GOING ON MARPIN GAYE

さてその後ヴィンちゃんは連載「ロマンティック物理学」は現在連載11回目を進行中で、20代向け企画は一度限りで、再びひとり編集を楽しんでいるが、これまで以上に多様な価値観を受け入れることを心がけている。
詳細はWEB版を見ていただくとして、

Macintosh HD:Users:m129:Desktop:NEWBOX:free paper dictionary:179freepaperdictionary:内山デザイン:okinawa見開き

話を再び「願いは叶う沖縄」へ戻そう。

 

3.11以降の沖縄特集から2年後、間も無く30周年記念を迎えるfree paper dictionaryは再度沖縄を訪問することになる。その昔、京都の光琳出版で、それまで無理だと言われたアート・ブックを成功させた名編集者の三枝克之さんの計らいで、彼が沖縄で経営する雑誌のようなカフェと称される「café UNIZON」でトークショー&バックナンバー・フェアーを開催することになった。

 

このイベントでは、三枝さんの要望もあり、茂木健一郎さんや松任谷由実さんがらみで知り合ったアート・ディレクターの森本千絵さんをお呼びして沖縄初のディクショナリー30周年記念対談を行った。当日は大雨にも関わらず森本千絵さん人気のお陰で120名以上の方々が集まり、ディクショナリーの過去と未来を繋ぐポジティブな回想話で盛り上がることができた。そしてこの成功が契機となり、free paper dictionaryの沖縄配布所もそれまでの2箇所から一気に14箇所に増え、沖縄で活躍する人たちとの交流も広がり深まり、リゾート地&基地の沖縄のイメージは一新され、遂には「願いは叶う沖縄」のタイトルを掲げることになったのであった。
では、この連載から沖縄の魅力的な皆さんを次々と紹介することにしよう。

 

桑原 茂→
つづく。

 



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Profile

  • 桑原 茂一

    初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長