Look Book Cook Records No.004

season 1「沖縄」その4「007は殺しのライセンス→」

私の日々のインプレッションを画像と文で紹介するノンスタイルの連載です。

5.9, 2018

桑原 茂一
  • essay
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ザ・スクエア 思いやりの聖域

4月30日、昨夜鑑賞した映画の感想文を咄嗟に呟いたtwitterはこれ。

昨夕はパリの黒豹のご尊顔を拝し、楽しいひと時と共に、いつまでもあんな風に生きていたいと己れを励まし、その後、黒豹推薦の、君の名前で僕を呼んで、鑑賞するのもありか、は満席で、当初の予定通り、ザ スクエアを鑑賞した。その感想を呟いてみたい。
「子供っぽい思考と高級な思考との振り幅が大きい作品だった。普段耳にしない言語と字幕に身も心もヘトヘトになりました。ガリバーの国の作る映画を鑑賞するには心身ともに健康である事が大切です。更に、どん詰まりの世界を救うには?巨大なテーマが鎮座しています。覚悟してご覧ください。私は歯をくいしばり過ぎてもうボロボロです。しかも昨夜はこの映画の悪夢に悩まされてもう今朝は生きてる心地がしません。私は生きているのか?それを確かめる為にこんな事を呟いているのかも?です。折角の休みだから、映画でも観るか、そんな人にはオススメしません。観るなら周りを気にせず大声で笑って恥ずかしい自分を誤魔化しましょう。グッドラック^_^」

 

で、沖縄、おや?もしかして、この建物に記された番号は?

007 !

 

絶世の美女:“Who are you?”
ジェームズ・ボンド:“Bond, James Bond”

 

ある世代の男たち(私のことです)には、ボンド映画には欠かせないこのセリフの応酬がときをかまわず随喜の涙なのです。そしてそれは紳士必見の濡れ場シーンへ雪崩れ込む前振り!というお約束ごと。当時このシーンにどれほど多くの日本人童貞諸君(私のことです)が憧れたものでしょうか?男のかっこよさの最初の見本“Bond, James Bond”だったのです。そう、007は殺しの番号。イアン・フレミング原作、ション・コネリー主演のJAMES BOND あのスパイ映画の金字塔のことです。

さて常夏の沖縄の壁に007とくれば当然日本を舞台にした、[ You Only Live Twice ・ 007は二度死ぬ ]を思い出さずにはいられません。多分撮影は沖縄ではなかった?そんなことより問題はセクシー・ボンドガールです。この国際的な映画に初登場した日本のボンド・ガールの国際級のセクシーさと世界に引けを取らないサムライ日本人俳優の国際級演技をこの際きちんと紹介しておきましょう。

 

国際級日本人女優 ボンド・ガール

アキ / 若林映子 キシィ・鈴木 / 浜美枝 (以下のシーン画像には写っておりません)&サムライ日本を代表する俳優
タイガー田中 / 丹波哲郎 (霊界前の姿である)

LOOKBOOKCOOK RECORDS→BOOK

007オフィシャル・ムービーブック

 

You Only Live Twice / 007 は二度死ぬ」(1967)

つまり、「007は殺しの番号」とは、
国家が殺人を許可したライセンス番号が007ということだ。
そう、お国の為なら人を殺しても罪に問われない。
ご存知通り戦争は国が許可した罪に問われない大量殺戮のことです。
で、一方、そんな恐ろしい大量殺戮は微塵もなかった、のごとく豹変し、今度は「命は地球よりも重い」がプロパガンダされる。
で、重いに対抗して、軽いの論調、“魂の重さ”は4分の3オンス、つまり“21グラム”で軽いのである。と結論づけた学者も現れ社会は奇妙奇天烈七変化。間、魔、ともかくあの頃は気づかなかったが、つまり最近までずっと気づかなかったが、実は人間は人を殺すことで快感を得ているのではないか?更に、その真実を大変長らくお待たせ隠蔽してきたのではないか?ならばその真実『殺すのは気持ちいい』を、ぶっちゃけ、人類はこの際受け入れてみてはどうだろうか?というのも、この連載の前置きで紹介した2017年・第70回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンドラマ、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の「ザ・スクエア」でもそうだが、既にこのテーマを隠さず露わにするのは言わずもがな。時アラバ、理由さえあれば、虎視眈々とせまり来るこのセリフ!“あなたも人を殺したいのでは?” 実は私たちが気づかないふりをしているだけで、あらゆるチャンネルであらゆるメディアで、実は大量に殺人は公開されているではないか、つまりそれだけ人殺しを喜んで見たい観客がいるマーケティングだよね?…ならばその傷口に私の汗から吹き出た粗塩を塗り込んでみたい。で、前回予告した通り、今回は私が無我夢中になって読破したアメリカの作家、コーマック・マッカーシーの小説六作品を画像と共に羅列紹介させていただく。ので、あなたもこの小説の世界に没頭埋没し血が沸騰する暴力の快感をがっちり疑似体験していただき、この快感を決して手離さない&誰彼に頼ることなく自分の命は自分で守る歴史を貫いてきたアメリカ人の姿を、あなたなりに読み解いて欲しいのです。そして、日本国を蹂躙するをやめない、戦争が大好きな、と図らずも形容したくなる。想像と違って、そう長くない米国アメリカ人の歴史のことです。

これが最初に私を虜にした「All the Pretty Horses / すべての美しい馬
コーマック マッカーシー、 McCarthy,Cormacc 著
翻訳 黒原敏行

 

コーマック・マッカーシーの出世作、国境三部作・ボーダー・トリロジーからの一冊。

この小説は既に映画化されているが、小説の方が遥かに面白いのでこちらをお勧めします。文庫本235ページのこのシーン。まさに青春とは命がけで恋ができること。(無論年齢的な差別はありません)

 

-引用-

つぎの日の夜彼女は彼の寝台にやってきてそれから九夜続けてしのんできたが、さっと部屋にはいると扉を閉めてかんぬきをかけ何時だかわからないが扉の板の隙間から漏れる明かりを背にこちら向きになり服を脱ぎひんやりとした柔らかい裸の体を狭い寝台に寝ている彼のわきにすべりこませて香水の香りを漂わせ豊かな黒髪を彼の上に落として何の警戒もしなかった。どうなってもいい、どうなってもいいと彼女はいうのだった。叫び声が漏れないようにと彼がその口に手をあてると彼女は手のひらの下のほうに歯をくいこませて血をにじませた。

 

そうです。幾つになっても青春は終わらない。それも読書の愉悦だと誑かしておこう。

The Crossing / 越境
コーマック マッカーシー、 McCarthy,Cormacc 著
翻訳 黒原敏行

 

国境三部作・ボーダー・トリロジーからの二作目。

 

越境とは、人間社会の日常から世界の奥深い秘密が立ち現れる幻想空間への越境である。
越境は死と幻想に哲学を織り合わせて世界とは何か、そこにおいて人間はどういう存在であるのかを問う、形而上小説と言っていい。

 

あとがきの解説から、以上のようなフレーズをカットアップし、その中でわからない単語、形而上・の意味を検索してみた。

 

1、哲学
感性的経験では知り得ないもの。有形の現象の世界の奥にある、究極的なもの。

 

2、形而上学は、感覚ないし経験を超え出でた世界を真実在とし、その世界の普遍的な原理について理性的な思惟によって認識しようとする学問ないし哲学の一分野である。世界の根本的な成り立ちの理由や、物や人間の存在の理由や意味など、見たり確かめたりできないものについて考える。対立する用語は唯物論である。

 

分からないことは検索する。だからと言ってそれを理解したことにはならない、よね。

例えば、形而上 この言葉をこれまでにも何度も検索するが私の中での居場所は相変わらずない。言葉の使い方はある意味で人間を差別区別することでもあると思う。だから一冊本を読んで面白かったからと言って理解していることにはならないのだろう。とはいえ楽しく過ぎ去った時間を誰かに伝えようとして言葉に置き換えて見ると以下のようになった。

 

雌狼を最愛の恋人に見立て国境を行ったり来たり逃避行する青春ロードムービー&仁義なき戦い的アクションにあなたの血も騒ぐはず。

または、異種間交流を血が逆流するほど美しく切なく描いた作品。

う〜ん、伝えてないなぁ〜

 

失われてゆく野生への賛美と哀惜を哲学的な深みにおいて謳いあげた傑作で、フォークナーの「熊」にも匹敵すると評されている。

 

訳者のあとがきがやはりそれらしい。が、自分的にも格別に面白かった。だから格別って、なんだよってことだけど、一作目とのストーリーの繋がりはない。が、主人公が前作と同じ16歳ですこぶる若いから衝動的に行動するわけで、にも関わらず作家の年齢(当時61歳)がそうさせるのか、16歳のカウボーイの融通無碍な行動にも緻密な知恵が隠されているようにも感じられ、当時のカウボーイは若くても生きる覚悟が、生きる知恵が満載で凄いと感心心酔進歩は実は人間をどんどん軟弱にするのかも。と血が騒ぐ。ほら、健さんのヤクザ映画を見た後、映画館を出て肩で風を切って歩く感じ、とか。ボクちゃん、強くなりたいのね。

Cities of the Plain / 平原の街
コーマック マッカーシー、 McCarthy,Cormacc 著
翻訳 黒原敏行

 

で、三作目、この国境三部作シリーズの締めくくるにあたり、翻訳家,黒原敏行さんの見事な解説をCUTUP引用させて頂きます。

 

-引用-

馬や狼が、垣間見せる人間の秩序ではない秩序。

すべての野生動物に流れている血が人間のなかにも流れていることを実感させる世界。

人間が底知れない残虐さをむき出しにする一方で、無償の善意を示すような世界。

神の気配が濃厚に漂っていながら人間にはついにその神秘が解けない世界。

束の間の生を名を残すこともなく生き、死とともに消滅して二度と蘇らない者たちの世界が死滅していく。

これら三部作では、この世界はいままでとはまったく違ったものになるだろうという言葉が何度か口にされる。では主人公たちが愛してやまない世界を滅ぼしていくものは何なのか?

石油産業に象徴される大量生産、大量消費、第二次世界大戦に象徴される大量破壊・大量殺戮、そして、核兵器が暗い影を投げかけている。

また、この「平原の街」の原題は、欽定英訳聖書では、背徳のソドムとゴモラを指す言葉である。(解説の詳細は自分で買って読んでね)

 

この引用でお分かりのように、読み手の資質によって大きく解釈が異なるのが小説の特徴であり、読書は途方もない自分勝手とどこまでも掘り続ける様々な魅力があるということです。このシリーズの場合、激しい凄まじい暴力描写を描くことそのものがテーマでもあるから、ちょっと誤解を招きそうだが、暴力描写と並行同行して荒野に落雷が鳴り響くような詩的なフレーズが突然立ち上がってくる。かと思えば、空から漬物石が落下するかのごとく到底答えを出せそうもない哲学的な文脈の一撃に、私は一瞬気絶するのだ。長生きしなきゃ、こんな一瞬の気絶は分かるまい、ふふふ。

No Country for Old Men / 血と暴力の国

コーマック マッカーシー、 McCarthy,Cormacc 著
翻訳 黒原敏行

 

直訳すれば、「老人の住む国にあらず」

その国とは人に厳しい国アメリカのことである。

時は1980年、舞台はテキサス州南西部。ヴェトナム帰還兵で溶接工のルウエリン・モスは砂漠でハンティングを楽しむうち、凄惨な殺戮現場に遭遇する。本格的なクライムノヴェル / 犯罪小説であるこの作品は、コーエン兄弟によって2007年に映画化され、アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞を獲得している。

誠に斬新な映画である。そのあられもない暴力シーンが拡散された所為で、小説の主題である、恐ろしく病んでしまったアメリカで暮らす古いままのモラルで生きる人々の哀惜を描くという主題は幾分薄まっているが頗る面白いのでぜひ見て欲しい。

 

YouTube予告編

「The Road / ザ・ロード」2007年ピュリッツァー賞

170万部のベストセラー。

コーマック マッカーシー、 McCarthy,Cormacc 著
翻訳 黒原敏行

 

-あとがきより引用-

舞台はおそらく近未来のアメリカで、核戦争かなにかが原因で世界は破滅している。空は常に分厚い雲で覆われ、太陽は姿を現さず、どんどん寒くなっていく。地上には灰が積もり、植物は枯死し、動物の姿を見ることはほとんどない。生き残った人間たちは飢え、無政府状態の中で、凄惨な争いを続けている。そんな死に満ちた暗澹たる終末世界を、父親と幼い息子がショッピングカートに荷物を積んで旅をしていく、寒冷化がいよいよ進み、次の冬が越せそうにないため、暖かい南をめざしているのだ。父と子がたどる『道ロード』には野蛮人と化した者たちが出没する。捕まれば息子が何をされるかわからない。父親は息子を守るために自身が鬼になる覚悟を決めていて、脅威となる相手を殺すことも辞さないし、他人を助けることも極力避ける。ところが少年は、破滅後の世界しか知らないにもかかわらず、天使のように純真で、自分たちは善であり悪と戦っているのだという父親の話をまっすぐに信じ、ほかの生存者を助けてあげてほしいと懇願するのだ。だが、この極限状況でそんな人間らしい優しさを維持できるのか。人間が人間でいられるかどうかのぎりぎりの限界を試されながら、二人の旅は続く。

 

この作品も2006年に映画化されている。が、これから見るリストに保管されているが、いつか肉体と精神に自信のあるときに鑑賞するつもりだ。(笑)

The Road Official Trailer #2 [HD]

 

で、こうした翻訳本を嗜むたびに思うのは、翻訳家のあとがきの見事さだ。あとがきだけで読んだ気になる輩が多いのも頷ける。人がどう読んだか、なんてどうでもいいと思っていたが、ひょっとしたら読書会なども意外と楽しいのかもしれない。末長く人類が生存するためには自分と異なる思考や世界の多様性を受け入れることが必須と言われているように、考えの異なる人たちとの交流は私の成長には欠かせない。とうっかり再認識してしまった。素直になる。これもまた歳を重ねることの利点かもしれない。更に、このベストセラー作品の誕生秘話にも心を動かされた。なんでもこの作家のコーマック・マッカーシーさんが70過ぎて産ませた息子の将来に強い不案を感じ、将来どんなに暗い時代が来ようとも、逞しく成長する息子の姿を描いておきたかった、とか。つまりこの主人公の父親とは作家のマッカーシーさんのことであり、その幼子は年老いて産ませた息子へ託す希望小説でもあったのだ。まさに人類は自分勝手だ。人類の普遍的な切なさは、自分だけ生き残りたい。自分の愛するものだけは失いたくない、ではないか。しかもその利己主義の出どころは「DNA」に記されている種の生存本能なのか?多分。うんだども、だったら尚更のこと死ぬまで私たちは学ぶことを辞めるわけにも諦めるわけにもいかんチュウことよね。今や細胞の衰えさえも再生蘇生させる時代なのだから、そして恐らくはそれを進化と捉えたい。多分。

ブラッド・メリディアン」2009/12/18

コーマック・マッカーシー (著)、 黒原敏行 (翻訳)

 

さて、004のテーマ、「人類は人を殺す快感を隠蔽している。(仮)」の決定稿が、この作品だ。
もうこうなったら、恥も外聞もなくズバリ紹介させて頂くことにする。ね、私が最後に拝読した作品「Blood Meridian (1985)」に関連して作家、コーマックはこう言っているのだ。

 

“流血のない世界などない。人類は進歩しうる、みんなが仲良く暮らすことは可能だ、というのは本当に危険な考え方だと思う。こういう考え方に毒されている人たちは自分の魂と自由を簡単に捨ててしまう人たちだ。そういう願望は人を奴隷にし、空虚な存在にしてしまうだろう”

 

降参・ギブアップ!ここまで歯に衣着せずだと、ラブ&ピース君(私のことよ)は、もうめんぼくまるつぶれだね。こうなりゃ歯が入れ歯になろうとも、この言葉を奥歯で噛み締め、ひれ伏すことなく、抱腹前進、間違い、匍匐前進するしかないね。確かに私も簡単に自分の魂と自由を捨ててしまっていたのだと思う。自ら人生の奴隷に甘んじ、空虚な存在だったにちがいない。が、まだ生きている。ここは開き直って耄碌ダンスを踊ろう!死ぬまでのらりくらりしよう!

 

あっ、今気がついたけど、ファッションでもアートでも、建築でも、あらゆるジャンルにおいて、カッコイイ!の基準には、「ルール」がないのだと思う。モラルや善悪や貧富の差や性差別やヒエラルキーやらなんやらかんやらを吹き飛ばし、この地球の人類の人生の全てを包括して無に帰すものをいうのだと思う。カッコイイにルールはない。従いまして、これからも、無い。に向かうしかありません。さぁみんな、地平線に向かって走ろう!わぁ〜なんてほざいている間に、今回の沖縄紹介はいつの間にかBOOK紹介で終わってしまった。

次回005からは再び覚醒し沖縄の魅力を紹介したいと思います。

つづく。

桑原 茂→


 

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Profile

  • 桑原 茂一

    初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長