Look Book Cook Records No.008

season 2 ・008「rokujuu」ひびのこづえ展

日々のインプレッションを画像と文で紹介するノンスタイルの連載です。

6.19, 2018

桑原 茂一
  • art&culture
  • essay
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2018年4月6日〜6月24日(日)・市原湖畔美術館

ひびのこづえ60歳。

還暦を記念して開催された展覧会の、“ インプレッション ”を、言葉ではなく画像を中心に紹介します。

 

さて、私が初代選曲家を名乗る訳は、

Comme des Garconsのファッションショーの選曲を1977年から1997年までの20年間、レディース、年二回、途中から、メンズ、年二回、通算して、60回以上のコレクション選曲を(途中2度お休みを頂いたが)ほぼほぼ担当していた事が発端です。

 

この間、川久保 玲さんとの禅問答のような下命を受け、ジャンルもアーティストもテーマも白紙のまま、もちろん一度も、デザイン画を見ることもなく、向かう先も分からず闇の中を手探り選曲するうちに、この行為は一体何か?コレクションの回を重ねるごとに高まる答えのない音楽選曲というエニグマに鬱々自問自答していたのです。

 

例えばある時は、答えのない選曲が迷路に嵌り、選曲テープを8回提出し続けたが、全て没!しかもその理由は明かされない。さらにはパリ早朝6時到着後即座に行われる初のモデル着フィッティング後に、いきなり選曲を全てやり直しの指令が降りる。

 

が、選曲猶予時間アバウト24時間!

 

問題は当時私はパリの街のレコード・ショップ事情など知るヨシもなかったこと。

 

もちろん今と違ってネットでダウンロードなんて皆無の時代。

 

瞬間、セーヌ川へ飛び込む?帰国する?そんなスリルと笑いに満ちたパリコレ選曲という人生の危機も数知れずあった。

 

もしかしたらこうしたトラブルの原因は心が汚れているからではないか?なら滝打ちの行でもエクスペリエンスして、身も心も浄化したのち、白装束を纏い選曲に取り掛かる必要があるのではないか?コレクションの回を重ねるごとに追い込まれる選曲。

 

未使用のジャンルはまだ残されているか否や?

 

足元から自我がガラガラと崩れていく砂上の楼閣、終わることのない選曲宇宙を彷徨い、出口のないブラックホールをアバウト20年漂っていたのだ。

 

一見、簡単に出来そうな選曲だが、自己顕示欲を超え、クライアントのイメージを選曲することの困難さに何度も天を仰いだ。

 

“ 神様、私は罪を犯しました。欲望に負けてつい自己満足な選曲してしまいました。でも、これって、クリエイティブと呼んで良いのでしょうか?“

 

神様:“ 悔い改めなさい。正しい選曲を心がけなさい。”

 

そんな天の啓示を受け、私は初代選曲家を名乗っているのでござんす。

 

では、そのパリ・コレ選曲のメンズ・バージョンお聞き頂くことにしよう。実際のショーの時間は、ほぼ20分程度、番組は一時間の構成になります。あくまでも、ここではコレクションのイメージをお聞きくださいませ。

 

【mixcloud】

さて、本題は、「ひびのこづえ」さんです。

 

ひびのさんとの出会いは、コスチューム・アーティストとしてComme des Garconsのパリコレに参加された時で、その後、一度だけ、彼女の作品に選曲させて頂いたことはあったのですが、その時の鮮烈な印象のまま、いつしか時は過ぎ、現在企画のお手伝いをしている代官山TCへの講座出演を通じ再会し、それが縁で、市原湖畔美術館で開催中の「rokujuu」を拝観するに到ったのです。で、私は特急鑑賞でしたが、この市原湖畔美術館は小旅行気分で訪れるには最高のロケーションなので、ぜひこの機会にお出かけください。

 

では、ひびのこづえさんのメッセージを皮切りに、インプレッション画像をご覧いただくことにしましょう。

 

 

 

2018年4月に、“ 還暦 ”と呼ばれる年齢を迎えることになった。

30代直前でこの仕事をスタートした時から、クリエーターとして常に年齢の限界に怯えながらいた。

30代の私なら60代の私を“ 時代遅れ “と馬鹿にしていただろう。

でも私は60代直前でやりたいことを見つけた。

それは人に本当の服を着せることだった。

 

ひびのこづえ

 

 

ひびのこづえ プロフィール

静岡県生まれ 東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。

コスチューム・アーティストとして広告、演劇、ダンス、バレエ、映画、テレビなどその発表の場は、多岐にわたる。

NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のセット衣装を担当中。

中村勘三郎さん主演の歌舞伎「コクーン歌舞伎・三人吉三」「野田版 研ぎ辰の討たれ」、現代劇の野田秀樹作・演出の「足跡姫」、など多数の舞台衣装を担当。「ちいさな生きもの研究所」ワークショップを毎月、渋谷LOFT 6階で開催中。

 

今年はダンス「サーカス」5月新国立劇場、ダンス「不思議の国アリス」7月KAATにて上演、衣装担当。

市原湖畔美術館にて4月6日から6月24日まで個展開催。

オフィシャルサイト

プロフィール

追記:

「 r o k u j u u 」まさに捨身とも思える個展のタイトルですが、還暦を機会に、このおおよそ30年間に生まれた作品を俯瞰で拝観するに至り、作品づくりとは、自己顕示欲でも自分の感性の好き嫌いでもないのではないか、年齢にたがわず見るものにトキメキを与える作品とは、あらゆる有象無象を廃し、作品そのものが無記名で輝きを放つ時なのではないか。無心で生まれる作品こそアートなのだと一人会得納得したのでありました。

 

 

画像・文

初代 選曲家 桑原 茂→

 

ps:私の無心選曲の道は遠いが再びに歩いて行こうと思う

 


 

以下は美術館への交通アクセス記録データーです。

 

往復距離:75.2 × 2 = 150.4 km
レンタカー:1ECクラス(エコカータイプ) 乗用車 / ミドル
レンタル料金:10,800円(オンラインカード決済)プラス保証料680円 計11,480円
高速代:9,710円
入館料:800円
ガソリン代:780円
合計 22770円

 

午後12時新宿発〜午後16半新宿戻り
美術館滞在時間 about 60分
所要時間計 about 4時間30分

ACCESS – 市原湖畔美術館/ICHIHARA LAKESIDE MUSEUM

 

時間の許す方は、のんびり、ローカル電車の旅をオススメします。


クレジット


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Profile

  • 桑原 茂一

    初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長