Look Book Cook Records No.33

LBCR in Paris その3

「 PARIS は、丸っぽ・美術館 」
LOOK THINK WALK ART パリ探訪

3.19, 2019

桑原 茂一
  • art&culture
  • travel
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アートは生きる上ではそれほど重要なものではない。
東京に住んで半世紀・そう私は感じていた。
勿論 東京といっても私が暮らしたのは青山西麻布恵比寿猿楽町大山町経堂代々木上原代官山神宮前周辺のことだが、
「PARIS」は違う。
勿論 PARISといっても私が今回滞在したのは6区のサン=ジェルマン=デ=プレを中心にセーヌ川を渡る戻る Loop Louvre et Opera 周辺だが、そこで育った子供たちには日々暮らす風景そのものが美術館ではなかったのか。
これは敵わない。
アートとは?を云々する前に無意識に芽生える感性が圧倒的に違うと思うのだ。
つまり図書館やインターネットで学んで分かることと無意識のうちに体験会得したものとは思考も体質も体臭も色もサイズも違うと思うのだ。
勿論思うだけだが、パリの街で暮らしてこそ育つエッセンスがとてもインポータントなんだと二週間の滞在でそう私は解釈した。
アートを貨幣に置き換えその経済効率を云々するなら中国やアメリカのマーケットが現在群を抜いているのだろう。
しかし、アートを生きる為の潤いとして捉えるなら、まるで東京のコンビニ集中地域のように、アートギャラリーが無数に点在するパリの街の文化的豊かさにはひれ伏す他はないと思うのだ。つまり金でアートは買えてもアートを愛でる歴史は買えないと思うのだ。 YES OR NO

ドアを開けた瞬間、ふぅ〜〜と深いため息が漏れた。
トム・サックスのバカデカイ作品が入り口付近の壁に無造作に立て掛けてあるからだ。
このスケール感がパリなんだと思い知らされる。
ここはパリで活躍するデザイー「 I 」さんが書庫として活用しているアパートメントだ。
幸運なことに二週間ほど free paper dictionary パリ編集室として滞在させて頂いた。
というのも、30代の前半で巡り合った「I」さんのお宅を訪問する度にあっと息を飲む作品に繰り返し遭遇し叶うものならいつかディクショナリー誌上で紹介させて欲しいと願っていたからだ。時は熟し長年の案件だった英語併記を今年最初の186号から開始し、ようやく念願の企画を遂行させて頂くことになったのだ。願いは想いつづければ必ず。で、その「 I 」さんのアート・コレクション特集は8月10日発行号を予定している。乞うご期待。

で、嬉しい事にそのトム・サックスの展覧会がこの春に東京オペラシティー・アートギャラリーで開催されるようです。これは必見です。
https://www.operacity.jp/ag/exh/upcoming_exhibitions/index.php

滞在二日目。
毎週土曜日は「 I 」さんのギャラー巡りの日だ。
そこに便乗し、パリのアート専門書店を紹介させていただこう。
まず最初は、「I」さんの計らいで、もう随分前からパリで、free paper dictionary を配布させて頂いている老舗のアート専門書店
「YVON LAMBERT」
http://www.yvon-lambert.com

ご覧のようにかなり広いスペースがアート関係の書籍だけで埋められている。
目を凝らすと日本人の書籍も数多く、その中にディクショナリーにも何度か参加してくれた石川直樹の作品を発見し異国の地で知り合いに会うのは嬉しいと一人微笑む。残念ながら現代美術のビギナーとしてはこの書店の品揃えについての解説はおぼつかないが、「I」さんご贔屓の「Cy Twombly」などの品揃えも含め素人の私でも見所満載のアート専門書店だ。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.yvon-lambert.com/

更に店の奥にギャラリーを併設しているのも一粒で二度美味しい楽しい。また後ほど紹介するが同じエリア内でギャラリーを運営している。

 

http://shop.yvon-lambert.com/product/10-janvier-exposition-nathalie-du-pasquier-manifesti

 

そうそう、なんでもこのお店の店長的立場の男性の奥様は日本人だとか。今回をお会いしたのをキッカケにもっと交流を深め、何処かのタイミングでパリのアート事情をインタビューしたいものだ。
とこう私は私に言い聞かせ公にし私の記憶に積み重ね再びパリ行きの口実のミッションを企てていくのでアマテラス。

 

ご存知「PURPLE」 これがそのANTHOLOGY の表紙である。
そのANTHOLOGYの発刊を記念しバックナンバーフェアーを開催していたのが、今、ブリンブリンに熱いアート書店「Ofr.paris」だ。
この勢いはまるであの頃のレコード・ショップかブランド・ショップかはたまた小さなクラブのようだ。
Parisは今アート書店が熱いのかもしれない。
以前この連載でも紹介した目黒区青葉台の104ギャラリーも音楽とアートが融合している感じが素晴らしいのだが、
今日という時代のリアルを感じるのはこうしたアートの最前線の現場かもしれない。
魅力的な本屋さんにやる気をもらったのだヒデキ。多分。

 

アート・ブックストアー
「Ofr.paris」
https://www.instagram.com/ofrparis/

 

で、「 I 」さんの紹介で初めて訪問したのが土曜日だった所為もあるだろうが、書店内はまるで身動きないほどの熱気だった。

で前回この連載で紹介した「O」さんがディクショナリーにピッタリの本屋があるよと紹介してくれたのもなんとこの本屋だった。
パリは東京に比べ物理的に狭いだけでなく、イケてる人たちの行動範囲は世界中どこもそう変わらないのだろう。と無責任発言。
そう言えば初めてこの店のオーナーを紹介された瞬間!” お前のコートと同じものを俺も着ている “と自分のコートをわざわざコート掛けから取り出し着こなし、私のコートの袖を自分のと同じようにまくってくれた。同じというから、Paul Harnden ファンなのかと思ったら明らかに異なるダークグレイの所謂古着だった。勿論古着は私の人生のワードローブだが、意外な展開に言葉に詰まり困惑した笑顔で答えたものの私の対応にオーナーのAlexandreの目は笑っていなかった。が、思い出したように、” 俺この雑誌持ってるよ、その昔、東京の中目黒で手に入れ、今も大事に保管しているよ “ 二件目のパリの配布所が決まった瞬間だ。

画像 gakuto

オーナーのアレクサンドルさんと free paper dictionaryの最新号。

 

で、実際はここから「I」さんとギャラリー周りをするのだが、この回は、もう一軒新しく配布店になってくれた書店を紹介して、
つづく にしよう。

 

さて、このショーウインドにピンと来たら、あなたもパリ通だ。そうあの有名なカフェ・フロールの隣にある大型書店である。

 

L’Ecume des Pages
ジャンル:書店
174、Bd St Germain 75006 Paris 
URL:http://www.ecumedespages.com/

そう私も滞在中毎日なんどもこの書店の前を行き交いしたが、ショーウインドのディスプレがなかなか渋いのだ。
ご覧のごとく、今回はロバート・ミッチャム・Robert Mitchum 『狩人の夜』(原題:The Night of the Hunter)は1955年製作のアメリカ映画。カルト映画とも言われているが、忘れられないのは、両手の指に刻まれた「L-O-V-E」と「H-A-T-E」の刺青を用いた巧みな説教によって、女を操る伝道師役を怪演している。そんなミッチャムさんが2段重ねでディスプレされている。
勝手な妄想かもしれないが、今のパリの気分をまっすぐ伝えてくれる粋な本屋さんだと思う。多分。

で、私が帰国する前日に偶然にもカール・ラガー・フェルトさんが亡くなったのだが、カールさんの書籍をジャストのタイミングでディスプレしていたのが見事だった。ショーウインドを競うのはパリの慣わしのようだが、その日は次々とカールさんの画像が街に溢れてきた。まるで街が全体がカールさんの死を惜しんで悲しみに暮れている。そんな気にさえなるパリジャンたちのライフスタイルを観て感じ考え、タイは若いうちに行けというが、パリは皺が深く刻まれた人ほど楽しめる奥行きのある街なんだと20年ぶりに訪れたパリにすっかりメロメロだ。

 

つづく。

画像・文 初代選曲家 桑原茂一

ps: PARIS印象選曲 2

 

Pirate Radio
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Profile

  • 桑原 茂一

    初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長