Look Book Cook Records No.38

「 1 秒先の死へ恐れず立ち向かう精神の気高さに人は平伏すのである。」

[ ON THE FRONTLINE ]
SUSAN MEISELAS 著 より筆者自撮り

5.23, 2019

桑原 茂一
  • art&culture
Share on

はて?私は何故台北に取材に行く必要があったのか?

 

“♪台北良いとこ一度はおいで ♪ 飯は美味いしねぇーちゃんはキレイだ ♪♪ ”

 

台北と飯を天国と酒に替えると、フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」の歌詞を彷彿させる。
が、本件との縁故関係はありません。

ズバリ台北は天国である。
台北にもある表参道。この参道は神社へ向かう道ではなく、
一時間限りの天国への道である。
四千円ポッキリで天国への誘い。
足裏マッサージの天国「表参道」の総本店はここである。
( 1台湾ドル = 3.51 円)

何故私がこの時期に台北に取材に行く必要があったのか?

 

それは今年31年目を迎えた「free paper dictionary」の英語併記に伴い、前回のパリ取材に続く海外でのアート・ブック・ストアー巡り取材をしているからである。
具体的に言うとディクショナリーで特集したアーティストの展覧会を同時期に台北で行う為である。

 

そのアーティストとは、写真家・若木信吾。以下がその特集号の表紙である。

詳細はWEB版をご覧ください。

で、今回は幸運にもディクショナリーの応援者のギャラリストでもあるMr.Nの計らいで、
今台北で人気の写真のビッグ・イベント「WONDER FOTO DAY」へ招待して頂くことになった。

渋い倉庫街を展示スペースに設えた複合的写真展は今年で4年目になるそうで、
台湾はもとより香港や上海を始め日本を含むアジアの各都市からの参加希望者を厳選し約100名が選ばれ作品展示と販売を行なっている。

AからJまでの10のスペースに10名ずつの参加者だから多分100名が参加していると見た(多分)。
そして参加者の中から毎年優秀な作品を選ぶ審査員に今回は若木信吾も名を連ねた。
更に、当初は予定に無かったが若木信吾との対談に急遽私も参加することになり、このイベントの発起人・若干 24歳の若くて優秀なFang Yen-Wenくん司会の軽妙洒脱な采配に、会場からの粘っこい質問にも機敏に対応し台日友好トークセッションは大変有意義な結果であった。
しかも今年は、金、土、日の三日間で2万人以上を動員したそうで、写真ファンを多く抱える台北のアートシーンは益々成長しているようだ。

トークショーエリアに集う台北の人々、一見日本のようだが微妙に異なるムードはまさに文化の違いの現れか?
目を左にパーンすると紫色のワンピースの笑顔の女性が目に入る。肩もあらわに、太ももにスリット、コンパニオンの代名詞のような出で立ちからもわかるように、彼女はこのインベントのスポンサーでもあるウイスキー・メーカーから派遣された実直そうなコンパニオンである。台北の若者たちは誠に実直そうな顔でウイスキーのストレートを嗜んでいた。因みに実直一筋の私はウイスキーの試飲は死因への恐れを憂慮しご辞退申し上げた。で、次に右端へパーンすると紫色のジャンパー姿のおじさんが目に入る。これまた見るからに実直そうな男性の実直な質問に若木慎吾も実に実直に答えていた。といってアジア人がおしなべて実直という示唆ではない。

これぞコレクター!香港から参加の歴史的建造物オタクの実直写真家。作品も見るからに実直。

ポラロイドだけで香港の歴史的建造物を記録する香港在住作家の作品を思わず衝動買いしてしまった。
ノスタルジックなムードに昔から弱い。上手いと言うより実直な眼差しにクラっときたのかもとネギ。

台北の朝は早い。ホテルから歩いて五分。屋台の朝飯=巨大おむすびをゲット!
ロック・グラスの液体は高山烏龍茶のティーパック。
スーパーで購入したこの台湾茶の旨さに腰を抜かした。
お陰でかれこれ2ヶ月近く私は高山烏龍茶漬けである。

「眺めのいい部屋」ホテルの部屋から台北の町並みを写した。

アンテック街をレセプションでサジェッションしてもらったら、台北一の乾物屋街を紹介された。
匂いに閉口したが建造物はノスタルジックであった。

匂いに敏感な私は、お香が好物である。私好みの匂いをジェスチャーで28分程求道したが、よくよく考えると、安いと思った、台湾ドル5000ドルは四倍の二万円だと気がつき、笑顔で退散した。

台湾の人はお金も好きだけどその前に心がある。最高の匂いを追い求める私に、こちらのご主人は達筆漢字会話で真剣に対応してくれ、
しかも、匂うだけ匂って買う寸前で反故にした私に、次回があるように引っ越し先の情報まで教えてくださった。
嬉しくなって「free paper dictionary」をプレゼントしたらこんなに素晴らしい笑顔が帰って来た。
きっとまた帰って来たい台北のお香屋さん。名刺を見るとこのお店は北京からの台北支店なのだろうか?

乾物屋街での最大の収穫はこの長椅子。連れて帰りたかったなぁ〜エキゾチックな台湾の長椅子

勢いを感じる日曜日の朝市へ

一触即発!一瞬で決まる肉屋の攻防戦。
食欲は生きる力だ!男は黙って市場飯。

市場の肉屋と主婦の攻防戦に接し肉欲は薄れ、
キャベツの蒸し炒め、きくらげのだし煮、薄切り豚肉のとんかつ、韮ともやしの湯麺、以上が朝食。
これで、アバウト200台湾ドル。つまり800円未満。
全てがシンプルでフレッシュ。やはり市場メシに敵うものはない。

台北で食に迷ったらここ。多分、其処彼処にある食堂だと思われる。

ここはサンフランシスコか?
とても品のいい空気が流れている。
ギャラリーとカフェを併設した台北の老舗のアート・ブック・ストアーである。

Artland Bookstore
亞典藝術書店
B1F 122 Ren Ai Road Sec. 3 Taipei Taiwan
台北市仁愛路三段122號B1F
10:00-19:00
Tel 02-27845166
https://www.artland.com.tw/
https://www.facebook.com/artland.bookstore/

 

台北にはいくつもの顔がある。
もちろんどの国も同じだが、家族の歴史はそのままこうした書店の佇まいに現れる。
海外も含め高等教育を受けたファミリーと一般との違いとでも言おうか、
特に、2代目3代目の国際化が著しいようだ。書店に限らず若い新しいお店は東京を向いている。
周辺の環境を除けば、まるで東京に居るみたいなお店が増えている。
新旧交代も激しくあっという間に消えてしまうお店も多いそうだ。

 

で、私のお気に入りのこの書店は、コーヒーが美味いのに驚いたが当たり前だった。この老舗の書店のカフェは自前で豆を育てているのだ。
Stories of Beans

https://www.artland.com.tw/storyofbeans.html

 

リタイアされたご主人がジャングルに出向き生産されているようだ。自裁となると大変きつい仕事だろうが、老後の楽しみとして?長く続けられているようだ。人生をどう生きるか?私のようにその日暮らしの生き方には真似できない大変豊かな暮らしを営んでいられるように見受けた。

 

台湾には私たち日本人が忘れてしまった精神の豊かさが芳醇に花開いているのかもしれない。これからはもっと台湾の人たちに学び、新たな道を共に切り開きたいと切に思いを噛みしめました。

[ ON THE FRONTLINE ] SUSAN MEISELAS 著 より筆者自撮り

パラパラとめくったらガツン!とkite衝動買い。出会いは一瞬だ。

 

「 ON THE FRONTLINE 」
SUSAN MEISELAS

 

台北での美しい人との出会いに花火が上がるように、書籍との出会いにも精神の花火が上がる。
美であれ醜であれ、強い衝撃は弛緩したエネルギーを奮い立たす。
下半身のバイアグラにかまけて上半身のバイアグラを忘れてはいけない。
これは自分を嗜めています。けして、老人が格闘技を愛好するのとは幾分異なります。

 

代替えではなく、
「 ON THE FRONTLINE 」
精神を奮い立たすのはやはりアートの力かもしれません。

 

音楽の力が薄くなったのでもファッションの力が弱まったのでもない。
ジャンルを融合し見え方感じ方思考としてのアートという言葉に力が集約されているのだと思うのです。
ひとつ、ひとつ、が弱まっているから集まれば強くなる。この呪縛の念を打ち砕き、融合する未来への現れとして、
アートと呼ばれる広場(宇宙)に集合するだけのことだと思う。

[ ON THE FRONTLINE ] SUSAN MEISELAS 著 より筆者自撮り

1秒先の死へ恐れず立ち向かう精神の気高さに人は平伏すのである。

 

「 ON THE FRONTLINE 」SUSAN MEISELAS 著

 

力をもらった一冊。

 

選曲:From Taipei with LOVE
https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/moichi-kuwahara-pirate-radio-from-taipei-0419-469/

 

画像・文
初代選曲家
桑原 茂→


 

▽Look Book Cook Records

vol.01 | vol.02 | vol.03 | vol.04 | vol.05

vol.06 | vol.07 | vol.08 | vol.09 | vol.10

vol.11 | vol.12 | vol.13 | vol.14 | vol.15

vol.16 | vol.17 | vol.18 | vol.19 | vol.20

vol.21 | vol.22 | vol.23 | vol.24 | vol.25

vol.26 | vol.27 | vol.28 | vol.29 | vol.30

vol.31 | vol.32 | vol.33 | vol.34 | vol.35

vol.36 | vol.37 | vol.38

Profile

  • 桑原 茂一

    初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長