下町。Vol.18

eは五の魚。

5.9, 2019

TRAVELING COFFEE 店主:牧野 広志
  • food&liquor
  • travel
Share on

平成から令和へ

  • 01

  • 02

長いゴールデンウィークも終わり、世間さんは充実した休日と、休日仕事をようやく終えやっと一息着いた日常が戻って来た。

そう、その長いGWが始まる少し前の事、

 

「え!?本当に?」で始まり、

「え!?本当に?」をまた言ってしまった、、

 

まさかの 4/1 に、、ツイッターから発信された驚き、、。

 

「[閉店のお知らせ] 1999年のオープン以来、みなさまにご愛顧いただいてまいりましたが、来る10/16の20周年を持ちまして閉店することとなりました。

 

最後の日に向けての半年間、終活を始めたいと思います。長い間、皆さんに愛されたことに感謝の気持ちを込めて。efishスタッフ一同」

 

「20年間、とても楽しく充実した時間でした。ありがとうございます。残り半年間という短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。」

 

と・・・

 

efishスタッフとオーナー晋西堀さんから、

 

エープリルフール?

 

嫌ちがう、、

 

どうやら本当の様だ、、、

 

そう言えば、この発表がされる数週間前に晋さんがTRAVELING COFFEEにいつもの様に寄ってくれた。

 

帰国した時にはふらりと一人で立ち寄ってくれコーヒーを飲んでくれる。

 

同い歳と言う事もあり毎回たわいのない会話で楽しく過ごす、

 

特に私の身体の事を気遣い「マラソン始めてみたら」と誘われてみたり、

 

うーん。マラソンね。確かに気持ちよさそうだ、

 

その言葉に乗り本気で始めてみようかなとまで思ってしまった・・

 

そう、その日の会話の中で変わり行く五条楽園の話も、

 

なんとなく私が彼に聞いてみた、

 

「地上げで五条楽園凄い開発ラッシュやね」

 

「efishはどうなの?」と。

 

彼は私に、

 

「もしお店が続けられなくなったら、そこでefishは終了かな。解散。」

どこかに場所を変えてまでお店はやらないと言うニュアンスで応えてくれた、、、

 

もしかして、その時既にそんな話が出ていたのかも、、、と勘繰ってしまった・・

 

しかし考えてみれば、

そりゃそうだよね、あのお店はあの場所にあってこそefishなのだ。

五条楽園と言う楽園の入り口を変えた張本人は、鋭い眼光と先見の明で ”ここにしかない京都” を作り上げた。

東京風では無く、世間が言う京都風では無く、はたまたアメリカやヨーロッパ、北欧風でも無い。

 

昔の五条楽園には置屋さんやお茶屋が並び任侠の人々がこの町の為に動いていた、

 

金魚鉢が並び華やかな世界。

 

いつの日か法と言う名の剣先を突き付けられ全てが無くなって行ってしまった、、

 

その中で、efishの金魚鉢は今も健在である。

お店ができた当時を振り返ると金魚鉢がある為に、嘘か真か本気か冗談か、スタッフも女性だけだったせいもあり、「いくらでどう?」みたいな今では考えられない言葉も来客さんから飛び出していた、、、

 

振り返るとそれもまた良い思い出なのか。

 

五条楽園は昭和から平成へ、そして消えた楽園、、

 

平成の三分の二をくぐり抜け令和の時代へとバトンを繋いだ素敵なカフェ、

高瀬川の東を歩けばもう宿泊施設だらけ、、、

 

うーん。良いのか悪いのか・・・

 

楽園を歩き菊浜から内浜に、七条を越え塩小路を越え、「糸ちゃん」で中華そばとフライを食べ、

また五条へと戻りコーヒーを飲む、

  • 01

  • 02

この気持ち良い散歩コースも、あと少しで終わってしまうのかと歩きながら考える、

 

この地域の人々はいったいどこに行ってしまったのだい?

 

残っている人達の気持ちはどうなんだい??

 

 

なんとなく物足りなかった五条大橋。

 

その五条の端っこから根付かせた彼の店、

 

埋まらない心の中を埋めてくれる場所、

 

そこは、プレミア価格の土地になってしまい、いろいろな文化が消えてしまった、

 

それでも身体に染み付いた五条楽園。

 

スタッフの働く幸せを守るのが、そのお店のオーナーである。

それが出来ているお店こそefishであろう。

  • 01

  • 02

  • 03

誰かに伝えたい、

 

これがキョウトジャパン。

 

京都風では無い。

 

五条楽園の地図を塗り替えた空気感、

 

町家や庭園、作られた京都風では無い、

 

昔から地域にある寄り添いの文化をふんだんに閉じ込めた力作であり、自然体であり、老若男女から入洛者、地元民までもが通い続けた名店である。

メイドインキョウトでは無く、キョウトジャパンを彼が作ったのだ。

 

残り少ないefishの時間を楽しみたい。

 

ラストスパートと言う言葉は何かしっくりこない、

 

もう終わりと言うのも何か変だ、

 

伝説を作り歴史に残る。

 

語り継がれる名店は形は無くなれど記憶と記録に残り、あの場所を通る度に残像現象の様に人々の前に現れるだろう。

 

そんな事を窓辺でふと想う。

  • 01

  • 02

 

 

e=五

 

fish=金魚鉢の魚

 

五条の魚=efish。

 

京都にこのお店がある事を誇りに思う。

 


 

▽下町。
vol.01 | vol.02vol.03vol.04vol.05

vol.06vol.07vol.08vol.09vol.10

vol.11vol.12vol.13vol.14vol.15

vol.16vol.17vol.18

 

▽上終町。
vol.01

 

▽先斗町。
vol.01vol.02vol.03

Profile

  • 牧野 広志TRAVELING COFFEE 店主

    1966年生まれ。
    94年渡仏、90年代をパリ ルーアン リヨンで暮らす。
    2002年 帰国後、京都の新しい情報発信空間の提案者として文化と地域に密着中。


    -TRAVELING COFFEE -
    昭和2年築の木屋町 元・立誠小学校 職員室で営業していたTRAVELING COFFEE が耐震補強工事の為に高瀬川沿いに建てられた仮設の立誠図書館内で営業。
    図書館の選書はブックディレクター「BACH」幅允孝氏。
    珈琲はブレンド2種類に加え、シングルオリジンは京都府内の焙煎所を毎月選び焙煎家と話し合い常にオリジナルを4種類程オーダーメイド。