時勢

IWGP XIII 裏切りのホワイトカード 著 石田衣良

『時代を写す』って確か何かのカメラのキャッチコピーで使われてましたが、まさにこの本もです。

6.13, 2018

販売促進部 マネージャー:三浦 良介
  • essay
Share on

今でも豪華キャストだったよねって言われることもしばしばで、ご存知の方も多いかもしれませんが、ドラマでも話題だったIWGP(池袋ウェストゲートパーク)が今年20周年を迎えたそうです。

人ごとのように書いてるのは(まぁ他人事なんですが)20周年と聞いてめでたいではなくてまず先に、懐古的ななんだか切ない気持ちと、光陰矢の如しとはよくいった、時の早さに驚いたのが先でして。

30も半ばを迎えて本当に身に沁みますね。

 

さて、こちらの作家が石田衣良さん。本名は予想通りの石平さん。
前の記事でも、僕は本を読むのが苦手というか縁がなかったと書きましたが、石田衣良さんの作品はさらっと読めちゃう。活字に免疫のなかった当時の僕は、1時間かけて電車通勤していたのだけれど、それでも行きと帰りだけで2日もあれば一冊読み終えるくらい。

 

あとで知ったことで、やはり元々広告代理店でキャッチコピーを作られていたらしく、なるほど回りくどくない。だからパキパキとした短文で、ピシッとわかりやすく読みやすいんだなと。

 

で、ドラマを高校一年生だったかくらいの頃に見ていまして。

 

当時、周りでも影響を受けている友人も少なからずいたし、部活に明け暮れていた自分にとっては、横目でちらっと見ているくらいでしたが、原作の舞台である池袋はもちろん、僕の出身地の埼玉でもそういったカラーギャングっていうにはお粗末だったけど、それに近い人やチーマーと言われる人が大量発生して、結構ニュースでも取り上げられてました。

 

それから少し間があいて、大学に入ってから原作を読んだんです。

 

ドラマと原作を共にみて気づいた大きな違いは、Gボーイズのキングであるタカシ(安藤崇)のキャラ設定が全く違うってこと。

 

ドラマでは、金髪のボンバーヘッド?で舌ったらずな話し方で、掴み所のないキャラクターでしたが、原作では冷静沈着を通りこして、言葉を発するだけで、冷え込むほどらしく、マコト(主人公)が言うには南極から話しているようにクールで、絶対に笑わないって。ふんと鼻で笑うのは年に2回あれば御の字だそう。

 

それでいて、原作のキングはスマートでオシャレ。必ずそのシーズンの最新コレクションだったり、トレンドの洋服を着て登場するんです。

 

石田衣良さんが言うには、ストーリーの本筋ではない部分の例えば食事だったり音楽だったり洋服だったりを好きなように書くのが作家の楽しみであって、そこに腕が出るらしい。

 

確かにどの本を読んでも、メインストーリーではない情報が登場人物に肉付けされてるので、輪郭ができて、イメージが膨らみやすい。

プレスになりたての頃は、同業で友人もいるビームスさんの固有名詞が登場してきていて、ここに書いてもらえたら嬉しいなって思ったものでした。

 

 

IWGPに関してに戻すと、

ものすごく軽やかで颯爽としていて、あたりのいい読み口。それでいて現在進行形で日本で起きている社会問題を取り上げたストーリーなので、現実世界と地続きになっていてリアリティを感じるので、より小説の世界が身近になって入り込みやすい。

 

 

マコトは25歳くらいの設定なので大人といえば大人ですが、若者の視点で話が進むので、読後も爽快だったし共感もできて、学生だった当時の僕にとって、社会というものにも対抗できる若者だっているんだぞって思わせてくれる本だったように思います。

 

 

IWGP担当編集者曰く、「モットーは切れ味鋭く、それでいてあたたかく時代を写す鏡でありたい」ってことらしいのですが、まさにそれ。

 

主人公であるトラブルシューターのマコトはあい変わらず、実家である西一番街にある八百屋の店番担当なんですが、人知れずトラブルシューターとして名前は知れ渡り、どこからともなくトラブルを抱えている人がやってきて助けを請う。そこからストーリーは毎回動き出すんですね。

 

・濡れ衣を着せられネットで炎上してしまった父と継父に虐待されている子供。

・母子家庭のドラッグにはまった母親と母を救いたい美人な女子中学生。

・北関東一のハッカーの依頼によって飛び込んだインチキスピリチュアルな世界。

・数千人の若者が知らず関わってしまったATM不正操作による大規模詐欺。

 

最新刊であるIWGP第13弾「裏切りのホワイトカード」はこれら4つのストーリーがおさめられています。

 

 

内容は読んで頂きたいですが、もう一つオススメの理由がIWGPシリーズを読んでいると必ずハッと気づかせてくれたり、気をつけろよって注意してくれる部分があるから。

 

ちょっと皮肉というか、斜めに世間を見ている感じが、ちょうど良い世の中との距離感を教えてくれる気がして。

 

例えば、
ーみんな考えるのが面倒で、善悪をさっさと悩まずに決めてしまいたいのである。とくにネットで見かけた他人のトラブルについてはね。

ー消防の代わりにネットであふれているのは、小さな火に油をそそぐ「正義の炎上放火魔」たち。

ー自分は絶対に正しいと信じているやつらの一味でないことを願うばかりだ。

ー真実ではなく、数が正義となった現代・・・
(本文一部抜粋)

 

これ冒頭あたりなんですけど。。

他にも、このシリーズの中で「いいね!」が欲しくて毎日を過ごしている現代人・・・とか。

 

僕には同感するところが多々あって痛快だし、我が身を振り返って、果たして自分はどうなの、そうなってないかな。と確認できる本なんですよね。だから20年近く読み続けてきたのかも。

 

ぜひ。

 

池袋ウエストゲートパーク(1998年9月 / 2001年7月)
少年計数機(2000年6月 / 2002年5月)
骨音(2002年10月 / 2004年9月)
電子の星(2003年11月 / 2005年9月)
反自殺クラブ(2005年3月 / 2007年9月)
灰色のピーターパン(2006年6月 / 2008年10月)
Gボーイズ冬戦争(2007年4月 / 2009年9月)
非正規レジスタンス(2008年7月 / 2010年9月)
ドラゴン・ティアーズ─龍涙(2009年8月 / 2011年9月)
PRIDE(プライド)(2010年12月 / 2012年9月)
憎悪のパレード(2014年7月 / 2016年9月)
西一番街ブラックバイト(2016年8月)
裏切りのホワイトカード(2017年9月)

赤・黒(ルージュ・ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝(2001年2月 徳間書店 / 2004年2月 徳間文庫 / 2006年1月 文春文庫)
キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇(2014年9月 文春文庫)

 

ウィキペディアから拝借。

 



▽BACK NUMBER

vol.1 | vol.2 | vol.3 | vol.4 | vol.5

Profile

  • 三浦 良介販売促進部 マネージャー

    続いているなぁと我ながらふと思う、今年入社10年目を迎える34歳、ふたご座O型。
    長く続けていることってそんなになくって。
    最近あんまりしてないけど学生時代のサッカーが10年くらいで、あとはこのコラムでも書いている読書くらい。
    継続は力なり。とも言いますし、何か今からでも続けられるもの探さないとなぁ。と老けて、もの思いにも耽けってる今日この頃。
    でも花粉症に関してはだいぶベテランで、18年目の春を迎えてるんですけどね。