贈り物は突然に。Vol.6

例えばサカイと夏の暑さに踊るなら

人間には「欲」というものがある。食欲、睡眠欲、性欲、そして実は「相手に贈り物をする」という行為も、“あの人の人生に関わりたい”という欲の1種ではないのかと思った。

7.11, 2018

Columnist:Aya Matsuo
  • lifestyle
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アホみたいに暑い夏。

サカイに言わせるとこれは褒め言葉らしい。

「なんていうか限界を超えた暑さってのは、脳みそも限界超えてアホみたいに楽しくなるんだよね」

 

 

恨めしげにかんかん照りの太陽をサングラス越しに睨みながら、 意味もなく「アチィ〜!!」と叫んだり。

耐えきれなくなったらコンビニに駆け込んで欲望のままにアイスやビールをゲットしたり。

どうせ汗をかくならフェスや夏祭りで踊りまくったり。

暑さに踊らされるその感じが嫌いじゃない、と顔じゅうに汗を吹き出しながらサカイは言う(暑苦しい)。

 

(夏じゃなくても1年中アホなことをしているじゃないか)と言う言葉はぐっとコーラで流し込み、ならば今年のサカイの夏をぐっと快適にできるものでも贈ろうかと思った。

 

ちなみにサカイの家はすぐ近くだ。醤油、まではいかなくてもやれ米がないだの洗剤切らしただのその辺りの貸し借りは昭和初期なみにする仲である。

やつが仕事でいないときなどミィちゃん(猫・可愛い)を世話しに行くのもしょっちゅうだ。

だからサカイのものは、ある意味俺のもの。

 

つまりはサカイに夏を乗り切るものを贈るということは
イコールそれで自分の夏も乗り切れるやつがいい。

そんな腹黒い思いでいるとはつゆ知らず、
サカイは今日も「アホみたいに暑い夏」を楽しむべく
サコッシュの中に手ぬぐいやら扇子やらを詰め込んでいる。

 

なお、最近サカイは“扇子男子”とやらを流行らせようとしているらしい。

 

「アホみたいな夏に、一筋の清涼感っていうの? フェスとかでさっと扇子取り出すと女の子からも風流ねって褒められんだぜ」と言っていた。

(よし扇子は自分用に買おう)

 

特に何するってわけれもないが二人でぶらぶら近所の商店街(屋根付きで若干涼しい)を歩いていたら懐かしい移動式のアイス屋さんがきていた。群がる子供達を見ながらサカイが言う。

 

「子供のときさあ、親があんまアイス買ってくれないから自分でアイスもどきとかシャーベットもどき作らんかった?」

 

ああ作った作った。親の目を盗んで、ジュースに砂糖足して冷凍庫の下の方でアイスキャンディ風なのを作ったり(これはうまかった)、アイスクリーム的なのを作ろうと適当に牛乳に卵と砂糖入れたのを凍らせたり(これは混ぜが甘かったのか分離してよくわからない代物になったし、死ぬほど怒られた)。

 

そういえば子供時代は、毎年アホみたいに夏が楽しかった。

とりあえず外に出て公園で大汗かいて遊んで、公園の水道で水飲んで、家に帰ってひえひえのスイカやアイス(親の機嫌が良い時は)食べて扇風機にあたりながら寝る。

クーラーなんてある家は少なかったから夏の暑さとアイスやスイカの冷たさのコントラストがくっきりと思い出に残っている。

暑いのと、冷たいのと。その繰り返しがなんであんなにも楽しかったんだろう。

 

大人になって夏の暑さから逃げることばっかり考えていたけれど、サカイのようにどうせならアホみたいに暑い夏をアホみたいに楽しむのもいいかもしれない。

 

 

よし、決めた。

サカイ(と自分)に贈る夏ギフト。

 

子供時代に戻ってシャーベットを作れるやつ

おもちゃみたいなアイス製造機は見たことあるけど、今はおしゃれなプレート風なのもあるらしい。プレートを冷凍庫で凍らせてアイスやジュースなんかを流せばジェラードやシャーベットになるらしいし、ヘラでこねこね混ぜるのも駄菓子屋風で楽しい。

ホームパーティ(という名の宅飲み)でも活躍しそうだ。

 

 

なあ、今年は子供のときみたいに夏を満喫しようぜ。

それを聞いたサカイは嬉しそうに笑った。

 

 

サカイみたいにどうせなら夏を楽しみたい人に贈る夏ギフトを探している人はこちら

 


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Profile

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。また猫についてゆるく語る「ネコテキ」を小学館「しごとなでしこ」にて連載中。