贈り物は突然に。Vol.4

例えばタナカが母になったら

人間には「欲」というものがある。食欲、睡眠欲、性欲、そして実は「相手に贈り物をする」という行為も、“あの人の人生に関わりたい”という欲の1種ではないのかと思った。

5.24, 2018

Columnist:Aya Matsuo
  • essay
  • lifestyle
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タナカが母になった。

 

友人に子供が生まれると、何かこう、こそばゆい気持ちになる。

 

若い時代に共にバカをやったあいつが、
母に? 父に? という甘酸っぱいツッコミの気持ちもあれば、子供という新しい命に対する期待感もある。

 

そして何より、生まれたての子供のその真っ白いキャンバスの最初の方のページにあわよくば何か書き込みたい。
そんな欲が出てしまって非常にこそばゆい。

 

例えば野球選手になった子に、最初に野球のボールを握らせた人。

 

画家になった人に、最初に絵の楽しさを教えた人。

 

できればそんな人になってみたい。

 

もちろん赤ちゃんや子供だった当の本人はボールをくれた人も絵を教えてくれた人も覚えていないかもしれないし、何もヒーローインタビューで「感謝します」といって欲しいわけではない(言ってくれたら嬉しいけれど)。
それよりも、こちらも“一人の人間”として、誰かの人生にこっそりと関われたら、それがとても嬉しい。素敵な大人になってくれたと密かにニンマリしたいのだ。

 

さて、タナカの子供はどんな人間に育つのだろうか。

ちなみに今回の贈り物は「おくるみガーゼ」に決めている。

一見、赤ちゃんに贈るには至極当たり前の商品かと思うかもしれないが、何か子供の将来に1ミリでも関われるものを、と探しているうちに“果物や野菜”で染めたおくるみが良いのではないかと思いついたのだ。

 

計画はこうだ。

1、柔らかなガーゼがお気に入りになる。

2、月日が経ち、子供時代にお気に入りだったおくるみが、舐めても噛んでも安心なものだったとふと思い出す。

3、オーガニックに興味をもつ。

4、有名なオーガニックレストランのシェフになる。

5、おくるみを贈ってくれた人をお店に招待する

 

料理の上手なタナカの子だから可能性は低くはないはずだ。だが果たして5までたどり着けたかどうかは、約20〜30年後にわかることだろう。

長い長い計画だ。

 

だが今はもちろんそんなヨコシマな気持ちは心の中に留めたままタナカとその子に愛を込めて贈りたい。

 

▼そのほか出産祝いを探している人はこちら

 



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Profile

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。また猫についてゆるく語る「ネコテキ」を小学館「しごとなでしこ」にて連載中。夫婦料理ユニット「サイトウのゴハン」レシピ担当。