~On The Road~ 車の生活 Vol.14

どうやって生活しているのか? 【日常編】

家に住むことを辞め、
車で生活するDJ河合桂馬のVanlifeダイアリー。
(第14話) どうやって生活しているのか?
【日常編】

5.22, 2019

DJ:河合 桂馬
  • lifestyle
Share on

現在米子空港にいます。
週末に島根県の三瓶町のキャンプ場で開催されたフェスでDJをして、今は羽田行きのフライトを待っているところです。

 

さて、前回のVol.13では、
民法第22条によると、河合桂馬は住所不定と定義されるというお話をしました。

 

ふらふらと車で旅をしながら生活していることを伝えると、

 

「楽しそうですね〜!」

 

と、男性は結構こう言ってくれることが多いのですが、

 

これは半分正解で半分間違いでもあります。

 

 

単純な男、賢い女

僕の車中泊歴は、2015年の夏頃からでした。
当時は自宅がありつつ車中泊をしていました。
自宅での生活が日常であり、
車中泊することは非日常でした。

 

なので、当時車中泊をするときは、非日常的な行為による高揚感がありました。

 

「車をとめればどこでも寝られる!俺は自由だ!」

 

みたいな感覚です。

 

テントと寝袋を手に入れて、バックパッキングの旅にでた時の気持ちと似ています。

 

「このバックパックさえあれば、俺はどこでも生きていけるんだ!」

 

男という単純な生き物にあらかじめインストールされている、「冒険心」という厄介なものは、非日常というシチュエーションが大好物なのです。

 

2018年の8月20日から、自宅を知人に借りてもらい、家なしの車中泊生活が始まりました。

 

簡単に言えば、車上生活者になったわけです。

 

その名の通り車上生活者にとっては、車での生活が日常です。

 

家で寝ることが非日常なのです。

 

男という単純な生き物にあらかじめインストールされている、「冒険心」という厄介なものは、非日常というシチュエーションが大好物なわけですから、車の生活が日常になった場合、そこに高揚感はありません。

 

しかし、女性はとても賢く、考えかたが現実的なので、日常、非日常に対する気分の上げ下げはもともとあまりないような気がします。

 

だいぶ長めの例え話をしましょう。

 

キャンプは、お父さんにとって非日常だから楽しいのです。お母さんは、非日常を楽しんでいるお父さんに付き合ってくれます。

 

茅ヶ崎から東日本橋の会社に通勤しているお父さん。月曜日から金曜日まで頑張って働いて、ようやく休みがとれた週末に、家族を富士山のふもとのキャンプ場に連れて行きます。

 

途中のスーパーで、今日はお父さんがキャンプ料理をすると張り切って、予算度外視の高級食材をカゴに放り込んでいきます。いつもは発泡酒を飲んでいるけど、テンションがあがってしまっている単純なお父さんは、プレミアムモルツをカゴの中にねじ込みます。しかも500mlを6缶も。

 

その一部始終を、賢いお母さんは眉をひそめながらも見守っています。

 

昼前にキャンプ場に到着し、
テントのたてかた、
火のおこしかたを子供たちに教えながら、
頼れるお父さん像をすりこんでいきます。

 

たまにしかやらないから少し時間がかかってしまい、まだ火がおきません。

 

子供たちはおなかがすいたとグズります。
「じゃあお母さんのほうに行ってなさい」と、
お父さんは少しいらだちます。

 

こんなことも予想済みの賢いお母さんは、家でにぎってきたおにぎりを子供たちに食べさせます。

 

ようやく火をおこし、お父さんはここから料理の準備にとりかかります。

 

賢いお母さんは、料理の下準備に時間がかかることを知っているので、お父さんがテントをたて、火をおこしているあいだに、買ってきた調味料のパッケージをあけ、クレイジーソルトのふたの穴もスプーンできちんとあけてくれています。
野菜も洗って、すぐ火が通るように刻んでくれました。

 

それを知ったお父さんは、ありがたいと思いつつも、今日はダッヂオーブンの煮込み料理だから、野菜は皮ごと、まるごと料理したかったと言いだして、お父さんとお母さんは少し険悪なムードになります。

 

ようやく料理ができあがったのは夕方18:30。

 

「お父さんの料理おいしい!」

 

お父さんがつくったビーフシチューを子供たちが喜びます。

 

お母さんは、
「私は毎日の食費の予算内で献立を考えて、掃除洗濯、保育園の送り迎えの合間に料理つくってるのよ。時間とお金をかけて作った料理なんだからそりゃあ美味しくて当たり前よ」

 

と、少し複雑な感情を抱きます。

 

そんなお母さんの感情もつゆ知らず、
単純なお父さんは気分良くハイペースでプレミアムモルツ6缶を飲み干し、

 

「ぷはぁー、やっぱキャンプサイっっコーっ!!
あっ、洗い物は明日の朝やるからおいといて!今日は寝るわ、おやすみ!」

 

と、一目散に寝袋にくるまってしまいました。

 

賢いお母さんは、このまま食器を放置すると汚れがこびりつき、明日の朝洗ってもうまくとれないことを知っていて、お父さんが雑に洗った食器は、家に帰って結局洗い直すのは自分だとわかっています。

 

なので、すっかり暗くなってしまったキャンプ場の炊事場を目指し、お母さんはへッドライトをつけて食器を洗いに行くのです。

 

でも、賢いお母さんは我慢します。

 

なぜならこれは、

 

週末レジャーだからなのです。

 

非日常である週末レジャーだから、お父さんは楽しいし、たまの週末だけのことだから、お母さんはなんとか我慢できます。

 

テントライフ

ではこれが、キャンプが週末レジャーではなく、
「テントライフ」と言って、家がなく、毎日テントで寝泊まりしている家族だとどうなるでしょうか?!

 

週明けの月曜日、お父さんは東日本橋の会社へ出勤します。今月は決算を控えているので、いつにもまして厳しく営業成績を部長からつめられます。そんな時期なのでなかなか定時には帰れず、残業を終え会社を出たのは20:00。住まいのテントがある茅ヶ崎のキャンプ場に到着したのは21:30でした。お父さんはキャンプ料理の準備にとりかかります。火をおこして、ダッヂオーブン料理ができあがったのは22:30。お母さんと子供たちはすでに夕食を済ませ、子供達はテントで寝ています。お父さんは一人で夕食を済ませ、仕事に疲れて片付けをせず寝ようとしましたが、お母さんはそんなこと許しません。

 

「ちゃんと洗い物やってから寝てよね」

 

しぶしぶお父さんは洗い物をして、ダッヂオーブンが錆びないように油を塗って、ようやく片付け終了。

 

火曜日、お父さんはいつものように出勤し、昨日と同じく茅ヶ崎のキャンプ場に帰ってきたのは21:30、そこから火をおこして、ダッヂオーブン料理ができあがったのは22:30、以下昨日と同じ。

 

水曜日、昨日と同じ。

 

木曜日、昨日と同じ。

 

金曜日、、、、もうキャンプ料理めんどくさい。。
片付けもめんどくさい。
お父さんはテントに帰る前に茅ヶ崎駅前の吉野家で牛丼を食べて帰ります。

 

土曜日、ようやくお父さんは休みです。
さあ、果たして、お父さんは富士山のふもとのキャンプ場に出かけるでしょうか?

 

テント生活が日常になると、
あんなにキャンプ好きだったお父さんも飽きてしまい、楽しくなくなってしまうのです。

 

やはりキャンプは、非日常だから楽しいのです。

 

バンライフ or バンレジャー

バンライフムーブメントについての詳細は、Vol.2でお伝えしましたが、

 

バン”ライフ”ということは、
バンでの生活ということです。

 

週末にテント泊をしている人が、
「今はテントライフしてます」
と言うと違和感があるのと同様に、

 

週末に車中泊をすることを、
バンライフと呼ぶことにも違和感を感じるようになりました。

 

誤解の無いように断っておきますが、
「みんな車上生活しよう!」
と言いたい訳ではないし、
「週末車中泊はバンライフではない!」
と言いたい訳ではなくて、
あくまでも自分の実体験から湧き出た感情を、
実験レポートとして、備忘録的に書き記しているだけです。

 

つまり、

 

週末車中泊=バンレジャー

 

車上生活=バンライフ

 

ということなのだと、
家なしの車上生活をしてみて初めて気がつきました。

 

家で生活していた時は、車で寝るのが楽しいと感じ、
車で生活していると、家で寝るのが楽しくなります。

 

つまり、楽しいと感じているうちは、
レジャーの域をこえておらず、日常生活にはなっていないことがわかりました。

 

結局なにが言いたいかと言うと、
人間無い物ねだりなので、
日常と非日常のバランスが大事だということに気がつくには、

 

一度、バランスなんて考えずに振り切ってみないとわからないことだったんだと感じています。

 

Vol.15へ続く

 

文・写真:河合桂馬

 


 

▽~On The Road~ 車の生活
vol.01 | vol.02 | vol.03 | vol.04 | vol.05

vol.06 | vol.07 | vol.08 | vol.09 | vol.10

vol.11 | vol.12 | vol.13 | vol.14 | vol.15

vol.16

Profile

  • 河合 桂馬DJ

    2002年、club青山MIXにてHOUSE DJとしてのキャリアをスタート。
    GREENROOM FESTIVALなど全国さまざまな野外フェスに出演し、日本最大級のキャンプフェスGO OUT CAMP最多出演アーティスト記録更新中。近年活動の幅を海外フェスにも広げている。TOYOTA HIACE ウェブCM、KIRIN生茶広告など多数メディアに出演中。