~On The Road~ 車の生活 Vol.19

どうやって生活しているのか? 【仕事編④新入社員】

家に住むことを辞め、
車で生活するDJ河合桂馬のVanlifeダイアリー。
(第19話) どうやって生活しているのか?
【仕事編④新入社員】

8.8, 2019

DJ:河合 桂馬
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前回執筆時に滞在していたバルセロナから、
イビサ島→フォルメンテーラ島→イビサ島→バルセロナと、スペインに合計16日間滞在し、現在はポルトガルのリスボンにいます。

 

バルセロナではダンスミュージックフェスティバルのSonarに行き、イビサではクラブ巡り、地中海最後の楽園と呼ばれるフォルメンテーラ島ではビーチ巡りとさんざん遊び倒したので、5泊6日のリスボン滞在はのんびりと過ごし、明日からのニューヨーク行きに備えています。

 

さて、前回は大学生時代の就職活動を経て、セレクトショップ「FREAK’S STORE」を運営するデイトナインターナショナルに新卒の内定をもらったというところまでお伝えしました。

 

今回は、そのデイトナインターナショナルで新入社員として働き、学生から社会人としての道を歩み、何を学んだのかをお伝えしていきます。

 

アーバンリサーチが運営するメディアで他のセレクトショップのことを書くのはどうかと思いますがご容赦ください!!

デミオくん

前回のVol.18に記載した社長との最終面接の大まかな内容には書ききれなかったやりとりがあります。

 

社長「君みたいになんでも器用にこなしますみたいな人はいらないんだよね」

 

桂馬「、、、」

 

社長「例えば、速い車に乗りたいならスポーツカー、悪路を走りたいなら4WD、荷物を積みたいならバンという具合に、何か一つに特化した車は魅力があるけど、君はなんだかデミオみたいなんだよなぁ。うん、君はデミオくんだな。」

 

桂馬「、、、」

 

桂馬「とにかく死ぬ気でやるのでとってください!」

 

というくだりがあったのです。

 

この時社長から言われたこの言葉を受けて、僕はファッションのなかでも「アウトドア」というカテゴリーに特化していこうと心に誓ったのでした。

 

20歳の頃から始めた趣味がDJ以外にもうひとつあり、それが登山でした。

 

登山を始めた理由は、Dannerのブーツを購入したことがきっかけです。

 

ファッションアイテムとして20歳の時にDanner Lightを手に入れたのですが、世界で初めてゴアテックスを採用したトレッキングブーツを購入したのだから、アウトドアで使ってみないと宝の持ち腐れだと感じ、登山をしてみようと思い立ちました。

 

それまで登山といば小学校の遠足と、中学生の頃母に連れられて富士山に登頂したぐらいで、自分で山に登ろうと思ったことはありませんでした。

 

初めて自分で選んで登った山は、埼玉県飯能市に位置する伊豆ヶ岳という850.9mの低山でした。

 

トレイルの途中に、ブーツの足首から下ぐらいの深さで、ちょうどいい浅瀬の沢が流れていたので、ゴアテックスブーツの防水性能を確かめるために、ザブザブと沢に入っていきました。

 

3分ほど沢に入っていても全く水が入ってこない。
アウトドアギアの性能の高さに魅了され、それ以来、様々なスペックのアウトドアウェア・ギアを試したいという動機から、登山にのめり込んでいくのでした。

アマチュア VS プロフェッショナル

そういう経緯で、自分の好きな「アウトドア」に特化していくと決め、内定者研修の初日を迎えました。

 

研修店舗は、今はなきFREAK’S STORE原宿店でした。当時の店長に挨拶をするやいなや、店舗の屋上のテラスに呼ばれ、

 

店長「どんな服が好きなの?」

 

桂馬「アウトドア系が好きです」

 

店長「どんなブランドが好きなの?」

 

桂馬「シェラデザインとか、、、」

 

店長「シェラデザインって誰がどういう経緯で何年に設立したの?」

 

桂馬「いやぁ、そこまでは、、、」

 

店長「そういうとこね。」

 

その一言がグサッと刺さりました。

 

ただの洋服好きの学生さんレベルでは、プロとして通用しないということが、その一言に集約されていました。

 

ファッションのプロとして働く以上、ブランドの成り立ちから理解することくらい当たり前で、お客さんよりも知識がなければプロとして失格なのです。

 

それからというもの、店舗での取り扱いブランドのことはもちろん必死で勉強し、取り扱い以外のブランド、特にアウトドアブランドのことは社内の誰よりも詳しくなってやろうとがむしゃらに知識をむさぼっていました。

 

しかし、知識だけでもダメなのです。

 

内定者研修が終わり、正式に入社したあとの仮配属店舗も同じ原宿店でした。

 

今回は正社員として店舗配属されたということで、内定者研修より当然高いレベルが求められました。

 

店舗に出勤し、店長に挨拶すると、
僕の全身を一瞥し、

 

店長「ダサいから帰って着替えてきて」

 

桂馬「え、、、」

 

店長「そんなダサい格好じゃ売り場に立たせられない」

 

桂馬「、、、」

 

店長「帰って着替えるか、全身社販して」

 

ということや、

 

店長「今日の着こなしのテーマは?」

 

桂馬「テ、テーマ?」

 

みたいなことが繰り返されたり、

 

洋服を社販するときも、店長にその洋服のコーディネートを何通りかプレゼンして、OKが出るまで購入できないなど、

 

埼玉県の片田舎出身の自称オシャレ番長の鼻っぱしらは無残にも打ち砕かれたのです。

 

でもこれは当然です。プロとはそういうものです。

 

例えば地元のケンカ番長も、プロボクサーの前では全く歯が立たないのと一緒で、
悔しいからボクシングの知識をいくらお勉強しても強くなれるはずがなく、スパーリングで殴られて殴られて殴られて初めて強くなる訳です。

 

僕は店長とのオシャレスパーリング(笑)によって徹底的に着こなしというものを鍛えられました。

 

もちろんオシャレとは、最終的には個人の主観です。しかし、ボクサーが12ラウンドを戦える体力をつけ、ボディーブローを喰らってもへこたれない強靭な腹筋を鍛えてからようやく、ストレート、フック、アッパーなど、自分のフィニッシュブローを磨いていくように、
着こなしも、サイジング、カラーバランス、テーマなどの最低限のオシャレ基礎体力をつけたうえで自分なりの個性を出していくことが大事だと学ばせてもらい、今でも非常に感謝しています。

好きを貫くと強みになる

原宿店の仮配属以降、本店である茨城の古河店に本配属となり、その後渋谷店→原宿店と異動し、最終的には原宿店の店長を務めました。

 

それに加え、なにかにつけアウトドアと言い続け、プライベートで登山やキャンプ、野外フェスなどに参加するにつれて、社内的に河合桂馬=アウトドアと認識されるようになり、ついに、アウトドアウェアやギアのバイイングをやらせてもらえるようになりました。

 

その他、原宿店の駐車場でフェスのようなイベントを企画し、田中ケンさんを講師に招いたダッヂオーブン料理講習や、藍染ワークショップ、野外シアターなどを開催しました。

 

その後、当時のフリークスのプレスの先輩が、アウトドア系雑誌や、ファッション誌のアウトドア特集の出演を僕に振ってくれるようになり、「GO OUT」「2nd」「Goods Press」などの誌面に登場するきっかけをもらいました。

 

かくして、自分の好きなアウトドアに特化すると決めたことにより、河合桂馬=アウトドアというイメージが少しずつ定着していきました。

 

そんな矢先、原宿店に一本の電話がかかってきました。

 

たまたま自分が電話をとると、

 

相手(女性)「河合桂馬さんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

桂馬「私ですが、どちら様でしょうか?」

 

相手(女性)「ヘッドハンティングエージェントの者なのですが、、」

 

次回Vol.20 転職編へ続く

 

 

文・写真:河合桂馬

 


 

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Profile

  • 河合 桂馬DJ

    2002年、club青山MIXにてHOUSE DJとしてのキャリアをスタート。
    GREENROOM FESTIVALなど全国さまざまな野外フェスに出演し、日本最大級のキャンプフェスGO OUT CAMP最多出演アーティスト記録更新中。近年活動の幅を海外フェスにも広げている。TOYOTA HIACE ウェブCM、KIRIN生茶広告など多数メディアに出演中。