三種の神器とG-SHOCK

堅牢、頑丈が自慢のG-SHOCKだが、僕にはプロダクトではなく、永遠のファッションアイコンだ。スタイルを楽しむ三種の神器のひとつであり、あと二つを妄想するのが楽しい。

11.16, 2018

エディター / ライター:小澤 匡行
  • fashion
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90年代に青春を過ごした僕にとって、リーバイス501の66モデル、70年代のナイキのランニングシューズと、G-SHOCKは三種の神器のような存在でした。手にすることは何か次のステージに上がるための通過儀礼みたいなもの。すべて揃えた時はとにかく嬉しかったし、高揚感で胸がいっぱいになった。「俺、BOONが好きなんだ」をドヤ顔で言っても恥ずかしくない気がしたし、代々木公園のフリマに行けば「もう少し安くなりますか?」と言い値に交渉できる気がした。原宿に向かう千代田線の地下鉄内で窓に映る自分を見て「俺、今日スナップされるかも」と淡い期待を抱く権利を得たような気がしたものです(されたことはなかったが)。その頃の経験があるからか、年をとったり、環境が変わる度に新しいファッション三種の神器を更新する作業を楽しんでいる気がする。だから出費は永遠に絶えません。

 

G-SHOCKを始めて知ったきっかけは覚えていないけど、中学生の不良女子が地元のディスカウントスーパーのレジ前にある、ちょっとした時計コーナーでD-SHOCKと言う偽物を買ったと自慢げに見せてくれたのはよく覚えている。角型のデジタルで、色はイエローだった。自分には派手だと思ったが、そのスーパーは家から徒歩5分しか離れていないので、情報を頼りによく物色にしにいった。今でいうチープカシオばかりだったので、買うことはなかった。

 

その頃は「G-SHOCK=デジタル」だったので、アナログの存在など知らなかったし、気にとめることもなかった。データバンクも人気だったし、大学生だった姉がバンクーバーの短期留学のお土産に買ってきてくれたスウォッチがアナログだったこともあり、とにかくデジタルでなければ上のステージには上がれないと思っていた。アナログは、ユナイテッドアローズの別注で存在を知ったが「これじゃG-SHOCKの意味ないじゃん」と本気で思っていたし、ラバーのケースとダイヤルの組み合わせがクールだとは、まだまだ垢抜けない大学一年生の僕には思えなかった。確か、97年だったはず。

 

とはいえ僕のアナログ時計デビューはG-SHOCK。高校2年の時、それこそ『BOON』の通販ページを見て片っ端から電話して買ったDW5600、通称”スピードモデル”をなくしてしまったこともあり、留学中に休暇で旅したモンタナ州にあるKマートに立ち寄った際に、思い出作りで買いました。スーパーでファッションの掘り出し物を探そうとする根性は、D-SHOCKから染み付いているのかもしれない。品番など気にしてなかったから覚えていないけど、確かラバーがネイビーで、文字がイエロー。XXLサイズの<ポロラルフローレン>のダウンジャケットと、ボリューム感のあるナイキのエア フォース1に合うと思っていた。それが当時のファッション3種の神器でした。郊外の大型スーパーに売っているような時計は、アメリカの治安を考慮するとベターな選択だったのです。

 

それから年月が経ち、僕のファッション三種の神器は随分と変遷がありました。G-SHOCKとは随分と距離が遠ざかっていたけど、夏に愛用しているカルティエのタンクをラバーベルトに付け替えて遊んでいたこともあり、G-SHOCKの存在感が欲しくなった。そして久しぶりに欲しいと素直に持ったのも、やはりアナログでした。ちょうど昨日、サンフランシスコ空港の免税店でG-SHOCKのコーナーを見たら、たまたまか陳列された40個のうち、37個がアナログ(この原稿のネタになるかと思い、数えてみた)。20年前と今では、G-SHOCKに対する世の中の認識も随分と変わったようで。発売されたばかりのフルメタルのベゼルの5000品番もちょっと気になったし、30万円もするMR-Gシリーズもなかなかの人気だという。おそらく、自分みたいに学生の頃に興味をもち始め、いい大人になって高級感を求めるユーザーが増えたのかもしれない。しかし僕がG-SHOCKに求めていることは、今も根本は変わりません。プロダクト単品の魅力よりも、時計を含めたファッション三種の神器が、楽しい関係を築けているかどうか。<アーバンリサーチ>の別注は黒に白のミニマルな文字盤が気に入っていて、40歳の左腕にちょうどよい落ち着きをもたらしてくれる。今季購入した<ジル・サンダー>のダウンジャケットに、NIKEiDで先日オーダーしたエア フォース1を合わせてみようか。中に着るのは、黒のタートルネックニットがいいだろうか。

 

 

CASIO × URBAN RESEARCH G-SHOCK 別注G-100
¥21,000 (税8% ¥22,680)
商品番号:G100UR01UM87
カラー:BLK×WHT
サイズ:FREE

Profile

  • 小澤 匡行エディター / ライター

    千葉県出身。大学在学中に1年強のアメリカ留学を経て、ストリート誌「Boon」にてライター活動を開始。現在も雑誌やカタログの編集・ライティングを手がける。著書に「東京スニーカー史」(立東社)、日本監修版「SNEAKERS」(スペースシャワーネットワーク)がある。