伝統工芸とデザイン

ここ数年、頻繁に見るようになった「伝統工芸」と「デザイン」の関係について。

2.25, 2019

Designer / 京都精華大学非常勤講師:サノワタル
  • art&culture
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「伝統工芸」と「デザイン」

ここ数年、本当によく目にする言葉。

 

私もデザイナーとして伝統工芸に近い位置で関わっています。

 

 

「京都職人工房」

 

http://www.krp.co.jp/sangaku/kobo/

 

 

京都府が伝統産業の活性化をめざし、国際的視野とマーケティング力を兼ね備えた伝統産業の未来を担う若手職人の育成を目的として、2012年に開設したものです。多くの業種の作り手が「集い」、「作り」、「伝える」力を磨く場として活動を進めています。

 

 

 

元々は前に勤めていた会社がスタートさせたプロジェクトなんですが、初年度からデザインのアプローチ、そしてグラフィックデザイナーとしての立場から講義を担当しています。「ものづくり」を職人たちと共有しながら、とても濃密な関わりをさせて頂いています。

 

このプロジェクトが始まった当初、伝統工芸×デザインみたいな取り組みはまだ少なかったと思います。

 

そこで数年に渡り、経験をしたからこそ見えて来た課題点があります。

それはデザインの伝統工芸に対する関わり方。

よくある関わり方は次の二つではないでしょうか?

 

一つ目は職人が作ったものをどう見せてどう売るか?というのをデザインを通して関わること。私の場合、普段の仕事とは変わらないスタンスで関わっています。

 

二つ目は、デザイナーとして現代のライフスタイルにあった形を職人に提案し、それを職人が制作するという関わり方。

 

この二つ目のデザインの関わりには少し疑問を感じることが多いです。

 

 

どういう部分に疑問を感じるかというと、

 

・デザイナーは自分の実現したいことの為に職人を利用する。

・職人は作品・商品の価値を現代にマッチした形に再創出するためにデザイナーに頼りがち。

 

という部分です。

 

 

もちろん職人とデザイナーが協働し、とってもステキな作品・商品が生まれることも多々あります。私自身も実際に現場で見ていくつも良い協働を見て来ました。

 

・しかし本当に適当な感じで進んでいくプロジェクトの多さ。

・作って作品・商品が売れているのにフェアーではない職人とデザイナーの関係性など。

・デザイナーの関わり方が自分本位すぎて職人をツール屋と考えている。

・生産体制を考えていないデザイン提案。

 

書くとキリがないのでこの辺で(笑)

 

 

職人と近い位置にいますので、上記のような相談も受けますし、
こういう問題が起きた時に、どうにかできないものか?そして、良い関係性の協働は無いものか?と日々模索中するわけです。

 

 

 

そんななか手前味噌ではありますが、伝統工芸に真摯に向き合っているプロジェクトチームのイベントがあります。

 

(弊社はアートディレクション・グラフィックデザインで参加)

KOUGEI NOW 2019 “DIALOGUE”

(http://kougeinow.com/)

 

 

京都では、伝統的な手仕事を今に伝える職人と、その周辺にある文化が日常の中に息づくことで、独自の美意識や感性が生まれ、デザインやアートなど、領域を超えた新たな作り手たちのものづくりへと育まれています。KOUGEI NOWはそんな京都を拠点に、「工芸を“未来志向”のものづくりへ」というキーワードのもと、手しごとを中心としたものづくりの新しい在り方を探っていくためのプロジェクトです。

 

“DIALOGUE”は、今年もホテル カンラ 京都を会場に、京都を中心に全国から伝統的な背景を持つ作り手の商品が集まる展示販売会を開催します。作品や作り手との”DIALOGUE”(=対話)を通して、工芸の未来を考える場を創造していきます。

 

 

京都やその他の地域の職人が集まり「対話」を通して工芸の未来を考える場を3日間に渡り「ホテル カンラ 京都」の全館を使用し開催されるイベントです。

 

伝統工芸の未来を本気で考えている人たちの年に1回のイベントです。

会場構成も趣向を凝らし、去年もたくさんの来場者でした。

 

このイベントは「伝統工芸」と「デザイン」の協働関係を表す、非常に良い形だと思います。

もし興味があれば是非参加してください。

 

伝統工芸の事を本気で考えている人たちの熱量を感じることができる素晴らしいイベントです。

 

 

詳しくは下記PDFをご覧ください。

 

http://kougeinow.com/file/now2_press03_1221-compressed.pdf

 


 

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Profile

  • サノワタルDesigner / 京都精華大学非常勤講師

    1977年大阪生まれ。東京・大阪・京都の制作プロダクションを経て、2013年に京都にていろいろデザインを設立。同時に事務所機能を追加したカフェの運営をスタート。2017年より、グラフィックデザインを軸に、内装デザイン・ウェブデザイン・パッケージデザインなどの様々な領域のデザインや企画を手掛ける株式会社サノワタルデザイン事務所を設立。