好みと流行はデザインの要素

人それぞれが持っている「好み」。そして日々目まぐるしく変化する「流行」。
この二つはデザインの仕事をしていると無視できない要素になります。

5.7, 2019

Designer / 京都精華大学非常勤講師:サノワタル
  • art&culture
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人によってそれぞれの好みの色、形、線、フォントなどがあります。
もちろん私も「好み」があります。

 

例えばフォント。

 

Macの中には300種類ほどのフォントが入っていますが、
その中で良く使うのは、

 

・A1明朝
・遊ゴシック
・Aktiv Grotesk
・Avenir

 

などなど。という風に「好み」のフォント。
言葉を変えると、得意で使いやすいフォントが存在します。

 

私はグラフィックデザインの仕事をしているので、文字と沢山の時間、向き合いますが、皆さんが日々の生活で一番馴染みがあるのは「色」かもですね。

 

・例えば服を買うときに「黒」の服を選ぶことが多い。
・テンションをあげる時はこの色の物を身につける事が多い。

 

などなど。好みは誰にでも存在します。

 

同じように「好み」と密接な関係にあるのが「流行」の要素。

 

今年は何色が流行っているので、その色を選ぶ。またはこういう雰囲気のお店が流行っているから同じようなお店に行く。インスタグラマーが写真をアップしていたなど。

 

皆さんもこういう風にお店や商品を選ぶ事があると思います。

 

デザインというものは、様々な要素を組み立て、制作するので「好み」や「流行」を強く意識しますし、また大きく左右される事もあります。

 

デザイナーからすれば自分の作りたい「好み」のデザインを作るのではなく、クライアントのその向こう側にいる「ターゲット」のことを考えて多種多様な要素を組み込んでいきます。

 

例えば、

 

今年の流行色は何か?
どういう商品が流行っているか?
どういうお店が流行っていて、理由は?
そのお店にはどういう属性のお客が多いのか?
競合他社の戦略はどのようなものか?

 

まあ書き出すとキリがないほどです。

 

少し脱線気味になりましたので、本題へ。

 

何が言いたいかというと「好み」も「流行」もデザインの質をアップする要素ではあるが、単なる一要素に過ぎないということ。

 

あの流行っている店に似ているな~というロゴデザインや内装デザインやメニュー。
同じようなアングルや見たことあるようなInstagramでの写真。

 

もちろん「流行」という大きな要素を組み込んでいるので、注目を集めるデザインかもしれませんが、本質を捉えないで真似て表現してもユーザーに伝わるのは表面上の薄い印象だけ。

 

流行っているお店は、デザイン、コンセプトなどの沢山の要素がお客に受け入れられることによって流行っている。なのでその一部分だけ抽出してもダメという事。

 

一要素としてはとても強い力ですが、逆にいうと真似は誰でもできる!そして流行を作ったデザイン・サービスもいつか流行の終わりが来ます。

 

最近は本当に、同じような

 

お店。
商品。
写真。

 

そして流行ったと思ったら、すぐに新しい流行がやってきて今までの流行は過去の産物。

 

流行が定着せずに単発の打ち上げ花火のように消費され終了します。

 

デザインの仕事は「好み」と「流行」を日々、無意識にチェックし、アンテナを張り巡らせないとダメな仕事だと思います。

 

ただ普通に過ごしていると、入ってくる情報はどれも似たようなものばかり。
どれもこれも同じに見えて薄い世界に見えてきます。

 

なので自分独自のフィルターを鍛えながら
良いバランスで寄り添うことが大切。

 

「好み」が強すぎるのはダメ。
「流行」も追い過ぎてもダメ。

 

そして色々な要素を組み立てて自分の「スタイル」に昇華する。

 

これが「好み」や「流行」との良い向き合い方なのかな。

 

そして単発のデザインではなく、長期的に見てユーザーに良い印象を与えれるデザインが良いデザインなのではないかな?と考え日々制作しています。

 

何事もバランスバランス。

 


 

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Profile

  • サノワタルDesigner / 京都精華大学非常勤講師

    1977年大阪生まれ。東京・大阪・京都の制作プロダクションを経て、2013年に京都にていろいろデザインを設立。同時に事務所機能を追加したカフェの運営をスタート。2017年より、グラフィックデザインを軸に、内装デザイン・ウェブデザイン・パッケージデザインなどの様々な領域のデザインや企画を手掛ける株式会社サノワタルデザイン事務所を設立。