季節の台所仕事 Vol.2

四月のお台所②ふきみそ

つくること、食べることを通して感じる季節の恵み。忙しい日々の中で、ふと心を豊かにしてくれる季節の台所仕事 はじめてみませんか。今は最後の春の季節。ふきみそです。

4.30, 2018

FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge:MIHO KAWAKAMI.
  • food&liquor
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穀雨 4月20-5月4日ころ

春の最後の節気です。
この時期に降る雨は「百穀春雨」といわれていて、あらゆる穀物の芽を育むために降るやさしい恵みです。
田畑では種まきを始める時期。
山では山菜が一層勢いよく伸び始めます。

 

 

新潟県の南魚沼に、「里山十帖」という宿があります。

コシヒカリの産地として全国的にも有名なこのエリアは、水がやわらかく清らかな土地で温泉もとてもとてもいい湯が湧くのですが、私はこの宿にごはんを目当てに季節ごと通いつめています。

何がステキかって、まずお米がとびきりおいしいこと。そして、ここの料理はこの土地で採れたものをこの土地の食の文脈の中でひと皿ひと皿紡がれたものだということ。南魚沼まで来て食べるからこそ感じられる美味しさがあります。

 

宿では、今ぐらいの季節から山菜が登場します。

「山菜コースか!」というくらい、ふんだんに。しかも、種類も豊富で見たこともないものもたくさん。さらに、それを料理長以下スタッフのみなさんで摘んで来てくださるものだから、食卓はまるで春の山がそのままやってきたかのような鮮烈でで生き生きとした香りでいっぱいになります。

 

新潟の南魚沼はとても雪深いところです。

その積雪量は世界有数で、このエリアの住宅は深い雪に覆われないように玄関が2階にあったりするほど!

そんな場所に住む人たちにとって、山菜は特別な思い入れがあります。今でこそ車も除雪も発達し雪の中でも外出は可能になりましたが、かつては長い冬の間、人々は蓄えておいた食材を大切に大切に食べつないで春を待ちました。

厳しい冬は、生命の保証をしません。ようやく陽射しにあたたかさが戻り、溶けた雪から山菜が顔をのぞかせるのを見た時、ようやく「この冬を生き延びた」という安堵がやってくるのだそうです。

 

山菜は、かすかな苦みやエグミなど少し個性的な味わいのものも多いのですが、それらは冬の間に身体に溜め込んだいろいろなものを排出するサポートをしてくれる効果があるといわれています。

おいしくいただけば、あまり雪の降らない土地に暮らす私たちにとっても健やかさをサポートしてくれることでしょう。

<四月のお台所②ふきみそ>

ふきのとうは、漢字で書くと蕗の薹。ふきの花芽をさします。
雪から顔を出した姿はちょこんとかわいらしく「春の使者」との別名を持ちます。
初春には九州などのものが出回り始め北や山のものは5月中旬くらいまで手に入れることができます。
キク科のアレルギーがある方は注意が必要&根の部分は毒性が強いので食べないようにしましょう。下ゆでをすることでアクが抜けて苦味が和らぎますが、同時に風味も落ちてしまうのでお好みで加減してください。

Recipe

ふきのとうは、少し小ぶりで花が開いていないものを選びましょう。花が開くほどに育ったものは固く苦味も強いです(薹が立つとはこのこと。ちょっとイヤな言葉ですが)。

100gほど用意したふきのとうの茶色くなった外の皮を外し、水洗い。パスタを茹でるときくらいの塩辛さにした熱湯で3分ほど茹でます。流水で冷やし、軽く絞ってから刻みましょう。

次に、合わせ調味料を作ります。お茶碗くらいの大きさのボウルか器に味噌を80g、みりん30g、きび砂糖10gを入れてよく混ぜます。それから、鍋に米油かおだやかな味のオリーブオイルを大さじ1くらい注ぎ、刻んだふきのとうを加えて1-2分炒めます。

合わせ調味料を一気に加えて混ぜながら4-5分。水分が程よく抜けてとろりとした固さになったら出来上がりです。

 

清潔なビンに入れて冷蔵庫で1週間、冷凍すれば1ヶ月保存可能。

ごはんのおともにも、日本酒のつまみにもぴったり!私は、ほっこり茹でたジャガイモを手で割って厚切りのバターを乗せ、その上にふきのとう味噌をこんもり盛って食べるのが好きです。

春の息吹を身体に取り込んでいる感じがして、元気が湧いてきますよ。

Profile

  • 川上 美穂FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge

    料理家、フードディレクター、ソムリエ。国内外のレストランでの経験を経て、独立。食のスペシャリストとして書籍・雑誌、企業webなどメディアを中心に活動。イタリアンと和食をベースにしたシンプルでストーリーのあるレシピとスタイリングに定評がある。近年は、レストランプロデュースや商品開発アドバイザーなど、多彩な経験と知識をもとに活動の場を広げている。

    2014年、目黒区東山にプライベート・レストラン「quinto」をオープン。2015Louis Vuitton city guide TOKYO版掲載など注目を集めると共に、同名で食を中心としたライフスタイルブランドをスタートしている。