季節の台所仕事 Vol.4

五月のお台所②実山椒の醤油漬け

つくること、食べることを通して感じる季節の恵み。忙しい日々の中で心を豊かにしてくれる季節の台所仕事はじめてみませんか。鮮烈な香りの実山椒を食卓に。

5.24, 2018

FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge:MIHO KAWAKAMI.
  • food&liquor
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小満 5月20-6月4日ころ

「小満」とは、あらゆるエネルギーが満ち満ちていく時期。
陽の力は万物の成長を促し、満ちた生命の力はすくすくと大きく育って行きます。

 

控えめだった山の緑は、鮮やかさを増して生き生きと輝き、

野菜や果物、ハーブなども、色味も濃く風味も鮮烈さのあるものが増えてきます。
これらの植物たちは、強い日差しに対抗するための成分を多く含んでいて、私たちの健康や美容にも良い影響を与えてくれます。もちろん、その香りや味わいはお料理に生かせば良いアクセントに。

らっきょう、大葉、生姜、そして実山椒。5月から6月にかけては、暑く食が細りがちな夏に向けて、香味を添えて食欲をそそる調味料を仕込むにはちょうどいい季節です。

 

今回ご紹介する山椒は、春先は「木の芽」として葉をタケノコ料理に添え、初夏には「花山椒」として花を、そして未熟な青い実を醤油漬けに、さらに熟したものをすりつぶしてウナギなどに添える薬味として、オールマイティに使える優秀な存在です。

日本や朝鮮半島を原産とし、日本最古のスパイスのひとつ。縄文時代にはすでに利用されていて、平安時代にはその薬効を医療に生かしていたことがわかっています。

 

山椒は、内臓器官を活発にさせ、胃腸の機能を高める機能があります。消化不良や食欲減退を改善させるほか、内側から体を温めて代謝を促したり、発汗作用なども期待できるとか。

夏は外は暑い反面、室内は冷房が聞きすぎていて、意外にも冷えに悩む方には辛い季節。そうでなくても、ついつい冷たいものをとりすぎて内臓を冷やしてしまいがち・・・。きびい暑さに加えて気温の変化から体調を崩しやすい季節に、山椒は体の内側からコンディションを整えてくれる大きな助けになるはずです。

<五月のお台所②実山椒の醤油漬け>

先ほどご紹介した山椒の薬効、実は青い実の状態が一番効果が高いと言われています。正体は「サンショウオール」という辛み成分。口を痺れさせるような尖った刺激が特徴です。醤油漬けはとても簡単に作れて日持ちもするので、私は毎年今の時期に多めに作っておいて、少しずつ少しずつ夏いっぱいまでその香りと刺激を楽しんでいます。

 

Recipe

用意すべき材料は、醤油と塩と山椒の実。以上。分量も適当です。

まずは、鍋に少し多めの湯を沸かし、そこに塩をひとつかみ。塩が溶けたら水洗いして大きな軸を外した山椒の実を鍋に入れます。浮いてくるのを箸で抑えながら弱火で4-5分。お湯が薄い緑色になり、山椒のいい香りが漂います。

ザッと一気にザルにあけ、流水で洗って粗熱をとったら、冷たい水に1時間ほどさらします。

キッチンペーパーなどで押さえて水気を拭き取り、清潔な保存瓶に詰めたら醤油をひたひたに注ぐだけ。

2〜3日漬けたあたりから食べられます。
そのまま食べるというよりは、何かに添える薬味として。
例えば、山椒といえばちりめん山椒が有名ですが、醤油とみりんで軽く煮込むような料理にはどんなものでも相性ぴったりです。そのほか、牛肉の切り落としを甘辛く煮るとき、いわしの醤油煮を作るとき、昆布を佃煮にするとき。また、冷奴に添えたり、カルパッチョにアクセントとして乗せても美味しいです。
私は、一緒に大葉を漬けておいておむすびに混ぜ込んだりするのも大好き。

「山椒は小粒でピリリと辛い。」

その言葉通り、本当に小さな実なのにその実力はびっくりするほど。

香りと美味しさと効果を、みなさまのこの夏の食卓にも生かしてください。

Profile

  • 川上 美穂FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge

    料理家、フードディレクター、ソムリエ。国内外のレストランでの経験を経て、独立。食のスペシャリストとして書籍・雑誌、企業webなどメディアを中心に活動。イタリアンと和食をベースにしたシンプルでストーリーのあるレシピとスタイリングに定評がある。近年は、レストランプロデュースや商品開発アドバイザーなど、多彩な経験と知識をもとに活動の場を広げている。

    2014年、目黒区東山にプライベート・レストラン「quinto」をオープン。2015Louis Vuitton city guide TOKYO版掲載など注目を集めると共に、同名で食を中心としたライフスタイルブランドをスタートしている。