季節の台所仕事 Vol.8

イチゴのスープ

つくること、食べることを通して感じる季節の恵み。忙しい日々の中で心を豊かにしてくれる季節の台所仕事はじめてみませんか。イチゴのスープ。

3.18, 2019

FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge:MIHO KAWAKAMI.
  • food&liquor
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だいぶん間が空いてしまいました。

前回の更新は、記憶が正しければたしか11月の栗仕事。

秋も冬も台所仕事は続いていましたが、せいぜい切り干し大根と金柑のコンポートくらい。あ。漬物ワークショップをやったら久々に火がついたキムチ(オイキムチとかカクテキとか簡単なの)とかも。

あとはひたすら、春から夏にかけてせっせと仕込んでおいた台所仕事の産物を惜しみ惜しみ、日々消費して行ったのでした。

今でこそ物流も冷蔵庫も、ハウス栽培の技術なども発展して、比較的年中豊富な食材が手に入るけれども、やっぱりあの紫蘇の肉厚な葉と鮮烈な香りは暑い季節のものだし、山のもの、海のもの、樹になるものはその時期のうちのひとときしか手に入れられない特別なもの。

醤油で漬け込んだエゴマの葉を海苔の代わりにおむすびに巻いたり、ひどく暑かった2018年の夏の香りを思い出しながら熱湯で梅のジャムを割ってふうふうと飲むような、そんな冬を過ごしておりました。

 

そんなわけで、久しぶりの今日はイチゴのスープです。

ええ。イチゴで台所仕事というとコンポートとかイチゴ酒とかが王道なのですが、そんなコンポートとか酒をつくりながら、すぐに楽しめる料理的なひと皿をつくってみたので、ご紹介です。

 

今、季節は「春分」。

夜と昼の長さが同じになり、いよいよ春も本格的に。

「春分」の前は「啓蟄」という、土の中で眠っていた生き物たちが活動をはじめる季節。

なるほど。重い筆をとって、もう一度コラムを書こうと思いたったってことは、私も自然の摂理の中で生きてるってことなのかもしれません(野生かw)。

この時期は、イチゴの台所仕事のタイミング。

そのまま食べるのがきっと一番おいしい大きなイチゴはシーズン終盤に差しかかり、さすがのイチゴも「もうそんな大きい実はつけられないよ」とばかりコロコロ小さい実が増えてきます。

値段もグッと下がって「ジャム用」として300-400円で売られるように。1パック800円代のイチゴ様ももちろん大好きだけれど、私はこの安くて小さくてかわいらしいジャム用イチゴもまた愛してやみません。

だって、刻まずにこのまま煮詰めれば実がごろっとした贅沢なコンフィチュールになるし、贅沢にジュースにするもよし、夏のかき氷のためのスムージーのような濃厚なシロップにするもよし。思う存分に楽しめるのです。

<recipe>

そして、そんなイチゴをスープにしてみました。

スリスリとすりおろしたイチゴに、バルサミコ酢かリンゴ酢(バルサミコ酢の方が深みが出るけど、色のきれいさはリンゴ酢)、塩、刻んだ新玉ねぎちょこっと、オリーブオイルとミント。

イチゴのガスパチョみたいなイメージ。酢を入れないとしょっぱいジュースみたいな感じになってしまうところ、酢が入ることでお菓子のイメージが強いイチゴが料理になるのです。ミニトマトを刻んで入れてもいいかも。塩も粒が大きい方がガリッとアクセントになっておすすめです。

あぁ、氷を1つか2つ入れればよかったなー。と思いながら、ひとさじ、またひとさじと口に運べば、爽やかな甘酸っぱさに冬眠でまだぼーっとしている目がさめるような気持ちになります。

Profile

  • 川上 美穂FOOD DIRECTOR / sommelier (wine & olive oil) / organic concierge

    料理家、フードディレクター、ソムリエ。国内外のレストランでの経験を経て、独立。食のスペシャリストとして書籍・雑誌、企業webなどメディアを中心に活動。イタリアンと和食をベースにしたシンプルでストーリーのあるレシピとスタイリングに定評がある。近年は、レストランプロデュースや商品開発アドバイザーなど、多彩な経験と知識をもとに活動の場を広げている。

    2014年、目黒区東山にプライベート・レストラン「quinto」をオープン。2015Louis Vuitton city guide TOKYO版掲載など注目を集めると共に、同名で食を中心としたライフスタイルブランドをスタートしている。