アーバンなひとびと Vol.2

第二回 アーバンでいちばんタンバリンを叩いている男、えぬ様(前篇)

「スナックアーバン」に夜ごと集う、奇々怪々で愛すべきお客様たちのものがたり。第二回はカラオケ三銃士のえぬ様(しかも前篇)です。

5.8, 2018

スナックアーバンのママ
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みなさん、こんばんわ。スナックアーバンのママです。ただただ、アーバンの常連さんに話を聞く、どこに需要があるのかよくわからない連載も二回目になりました。アーバンにはえぬ様、Oさん、Pちゃんの三人で構成される、カラオケ三銃士と呼ばれるおじさんトリオがいます。ふだんはふつうのサラリーマンですが、そのカラオケテクニック、盛り上げ方、そして気の使い方はもはやスナックの精霊の域!! 今回は三銃士のタンバリン担当・えぬ様と呑みながらだらだら話してきました。どうぞ濃い目のウーロンハイなど片手に、お付き合いくださいませ(文中の写真は思い出コレクションから♡)。

2018年 4月20日 22:30

 

えぬ なんだか迂闊なことが言えないな。

 

ママ そんなことないよ(笑)。えぬ様っていつからアーバン来てくれてるんだっけ。

 

えぬ 4年ちょっと前ぐらいじゃないかな。

 

ママ カラオケ三銃士自体は、いつから知り合いなの?

 

えぬ 8年前ぐらいかなあ。いや、もっとか。うん、そんなもんだな。もともとは新橋の、スナックっちゅうか、カラオケがある店の常連同士だったのよ。

 

ママ えぬ様は、そこのお店はどうして行ったの?

 

えぬ 俺はたまたま。最初は会社のひとと行ったかなあ、そろそろそういう、歌って呑んでみたいなところに行きたい年ごろじゃん、30代おわりぐらいって。

 

ママ それまで行ってなかったんだー!

 

えぬ 行ってなかったの。で、本当はもっとおじさんが行くスナックみたいなところに行きたかったんだけど、新橋のお店はもうちょっと若い感じだったのね。でも行ってる間に居心地良くなっちゃってひとりで行くようになったの。

左からえぬ様、Pちゃん、Oさん、これがカラオケ三銃士!

ママ その前からひとりで呑み行ったりしてなかったの?

 

えぬ ぜんぜんしてなかった。ひとりで呑み行くことをしようって思ったってのも、その店がきっかけ。それまでは仕事帰りに上司と飯いくとか同期とたまにキャバクラ行くとか、そんなのはあったけど。

 

ママ じゃあ、なんでその店にはハマったんだろ。

 

えぬ うーん、自分にとって珍しかったんじゃないかな。普通の居酒屋だと店の子とか常連同士で仲良くなったりしないじゃん。

 

ママ いちばん最初は誰と仲良くなったの?

 

えぬ 覚えてるかな、まえに何度か連れてきた、トシちゃんの歌うたうひと。

 

ママ あー、名古屋の!

 

えぬ そうそう。あのひとが、ひとりで来てる常連の主みたいなひとで、いろんなひとに声をかけた中心人物。そのなかでは、OさんとPちゃんは一番なじむの遅かったと思うなあ。一緒に呑んでても最初のころはよそよそしくて。ちなみに、そのころから俺、「悲しみ2(TOO)ヤング」(注:えぬ様の持ち歌、1981年発売のトシちゃんの名曲)歌ってるから(笑)。

 

ママ そのころから(笑)! 嘘でしょ!

 

えぬ いまほど毎回じゃないよ。どっちかというと喋ったりする担当だったね、俺のポジションは。

 

ママ ポジションがあるんだ(笑)。そのころって何歳?

 

えぬ 39歳かな。

 

ママ いつもいくと、OさんとPちゃんがいるって感じだったの?

 

えぬ いや、全然。とくにPちゃんはたまにしか会わなかったかな、家も遠かったし。

 

ママ じゃあ、なんで3人は仲良くなったの?

 

えぬ その新橋の店がなくなって、常連の中心人物も名古屋に転勤になっちゃって。我々3人が残っちゃったんだよ。もともと仲良かった3人ってわけじゃなくて、周りが減っていっちゃっただけなの。あの時点で、残ったメンバーが3人しかいなかったって感じ。

めずらしく私服姿のえぬ様とPちゃん。

ママ 新橋の店って、1階に昭和歌謡曲のバーがあるんでしょ。

 

えぬ そうそう、当時はオーナーも一緒で。歌謡曲バーは18時からやってるから、そこでちょっと呑んで、21時ぐらいになると上にあがってくの。たぶん1階から誰々がきてるよって上に連絡がいってると思うわけ、あがるとそれぞれのボトルが置いてあるんだよ。ここに座ってとなってるから、そのときに一緒にまとめても大丈夫なおじさんたちってのもあったわけ、我々は。

 

ママ なるほどね。3人のなかでは誰がいちばん年上?

 

えぬ Oさん、でPさんで、俺。

 

ママ 3人がいいなと思うのは、呑みながら仕事の話をするとか愚痴をいうとか、そういうところがぜんぜんないところ。

 

えぬ 仕事の話はしない。なんの仕事をしてるかも、最初はよくしらなかったもん。名刺すら渡したことももらったこともないし。散々呑んでるから、会話のなかで、どんな仕事をしてるかはわかるようにはなったけど。

 

ママ だっていまも呑み屋で会うだけで、ふだん遊びに行くとかは、ないわけでしょ?

 

えぬ ないない。その呑み屋のイベント的なもので、たまたま休みの日の昼間とかに会っちゃうことは何回かあったぐらい。あと二人と呑んでていいのは、絶対に「呑め呑め」をやらないの、よくいるでしょ、「呑みがたんないよ」とか言うひと。

 

ママ あー、それはいいね。呑むペースとか量ってそれぞれちがうもんね。

2014年7月3日。4年前からアーバンご来店ということは、これ最初期だな。

ママ で、その新橋のカラオケスナックは、どのくらい通ってたの?

 

えぬ 俺が通いだして2年しないぐらいでおわっちゃったの。

 

ママ けっこう短かったんだ!

 

えぬ でも面白い店だったんだよ、月に3回生バンドが来てたのよ。

 

ママ へー。じゃあ、広いんだ、そのお店。

 

えぬ そこそこ広い。アーバンの倍ちょっとくらいあったよ。で、バンドが来る3回のうち1回は客が歌える日だったの、歌本があってその場で演奏してくれて。でもバンドのひととも仲良くなってたから、歌本にない歌も無理言ってやってもらったり。

 

ママ でも、そのお店がなくなったのが6年前で、アーバンに来てくれるようになったのが4年前だよね。その空白の2年間は、どこで呑んでたの?

 

えぬ そうそう、行き場を失って、ずっと1階の歌謡曲バーで呑んでたのよ。たまーに違うスナックも行ったけど、俺らもどこでもいいってわけじゃないんだよね。それで、ずっとちゃんまい(注:「ベッド・イン」のボイン担当かつアーバンホステス。聴いたことないひとはいますぐアルバム1000枚買って! )からアーバンには来てねって言われてたからそのうち行かないとねみたいな感じで、ずるずるしてたんだよ。

 

ママ あー、そっか。その歌謡曲バーでちゃんまいも一時期バイトしてたんだっけ! それで、ある日、電話してくれたんだよね。わたしがちょうど休みで、チーママやってた子が出てくれたんじゃないかな。

 

えぬ そう。しかもその日に限ってガラガラだったの。もちろん社長はいたけどね(笑)。社長が入ってきてひとりで呑みはじめた瞬間に、これはかなりの常連さんだなってのはわかったけど。ちなみに3人で1本のボトル入れるってのもアーバンからだよ。昔は明らかに一緒に呑んでても会計は全部別だったしね。

これがえぬ様のタンバリンや!(Pちゃんの美声も凄い)

 

ママ で、ここから本題ね。タンバリンはいつから叩いてるの?

 

えぬ アーバン来てからですよ。

 

ママ えええええええええ!! 嘘でしょ!!!

 

えぬ 前の店でOさんが叩いてるのを見て、面白そうだなと思っててさ。

 

ママ じゃ、最初からアレができちゃったわけ?

 

えぬ まあね(笑)。でも先輩のを見てきてるからね。

 

ママ とはいえ絶対、簡単にはできないと思うんだよね。だってうちのお客さんも三銃士が叩いてるのを真似しても、えぬ様みたいにはできないもん。

 

えぬ あれは思い切りなんだよ。テレちゃだめなの、やっぱり。あと新しい曲は無理、知らないから。溜めたり変化をつけたりしないといけないから、知らない曲だと難しいんだよね。

 

ママ 叩いて楽しい曲は?

 

えぬ う〜ん(笑)。やりやすいのはレベッカの「フレンズ」。フレンズはAメロとBメロのメリハリがはっきりしてて、速さがちょうどいい。

 

ママ 前半ふつうに叩いて、後半盛り上げられるってこと?

 

えぬ そうそうそう。ブルーハーツとかいきなり激しい歌あるじゃん。あれはもたないから意外と難しいんだよね。最初から激しい歌の場合は、はじめは叩かずにしれっとしとくわけ。で、サビからすっと入っていくの。

 

ママ なるほどねえ、なんでも叩き過ぎちゃいけないってことか。

 

えぬ そうそうそうそう。

 

ママ 人生と一緒ですね。

 

えぬ ここってときに、叩かないといけない。あと難しいのが、きょうのお客さんはあんまりこういうの好きじゃないなってときの、引き際ね。

 

ママ さすがすぎるよ、状況をちゃんとみて、引くときには引くっていう。

 

えぬ 引くときも、すっと消えないといけないの。歌ってるひとがいるわけじゃん。そのひとが主役なわけだから。

 

ママ あくまで歌を絶対にじゃましないもんね。

 

えぬ あとたまに見て自分もやりたいっていうひともいるじゃん。そういうひとは応援したいよね(笑)。アーバンでタンバリンは我々のものじゃないのよ、みんな楽しくやればいいのよって。

 

ママ でもさ、やっぱり三銃士に叩いてもらったら、そっちのほうが楽しくなっちゃうんだよね(笑)。叩いてもらいたいってひと、めちゃくちゃ多いと思う。インスタとかでも三銃士の動画あげると反応、ホステスの写真より凄いときあるもん(笑)。

アーバン、このひとたちしか来てないみたいだな(笑)。

続きは後編へ・・・。

 


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Profile

  • スナックアーバンのママ

    四谷三丁目の会員制スナックのママです。ことしで8年目。好きなお酒は濃い目のウーロンハイ、好きなツマミはホタルイカの沖漬け

  • スナックアーバンのママ

    四谷三丁目の会員制スナックのママです。ことしで8年目。好きなお酒は濃い目のウーロンハイ、好きなツマミはツナ缶にタバスコ。