アーバンなひとびと Vol.6

第六回 アーバンで一番長く働く女、ちか(前篇)

「スナックアーバン」に夜ごと集う、奇々怪々で愛すべきお客様たちのものがたり。第六回はアーバンのチーママちかちゃん(しかも前篇)です。

7.27, 2018

スナックアーバンのママ
  • food&liquor
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みなさん、こんばんわ。スナックアーバンのママです。ただただ、アーバンの常連さんに話を聞く、どこに需要があるのかよくわからない連載も六回目になりました。今回は、ある意味、最長常連(笑)、2010年アーバン開店時からのホステスで、途中お休みをはさみながらも華麗な復帰を遂げてくれたチーママのちかちゃんが登場です。昔働いていたエロ本時代の思い出話、どうしてちかちゃんは遅刻するのか、そしてちかちゃんが働いていた「白いばら」のことなど、いつもどおりダラダラ聞いてみました。氷の溶けかけたレモンサワーなど片手に、どうご覧ください。

2018年 7月10日 18:30

ちか ねえ、これってそもそもお客さんのインタビューじゃなかったっけ。

 

ママ まあ、そうなんだけど、もうなんでもいいかなって(笑)。だってちかちゃんはアーバンを語る上で欠かせないひとじゃないですか。

 

ちか 初期メンだからね(笑)。

 

ママ そうそう、それに個人的な付き合いを含めたら、たぶん15年以上でしょ。

 

ちか 長い・・(笑)。最初に会ったのは新宿だよね、たぶん2002年ぐらい。

 

ママ だよね、ちかちゃんの同僚のO川と3人で呑んだんだよ。ちかちゃんがまだコアマガジン(注:白夜書房系列の出版社でエロ本やキワドい実話誌が中心。摘発・逮捕・訴訟が多かった、かなり)で働いてるころだよ。

 

ちか うん、覚えてる。ママとO川はなんで知り合いだったの?

 

ママ えっとね、たしか色んな出版社の同期の飲み会みたいなのがあって、そこで会った気がするんだよね。

 

ちか たしかにO川は横のつながりが広かった、やっぱ『BUBKA』だしさ(注:なんで『BUBKA』だと横のつながりが広いのかは不明)。

 

ママ で、3人で新宿三丁目の、なんだっけ、「かこい」とか「いこい」みたいな漢字一文字の居酒屋で飲んだよね(笑)。

 

ちか ちょっと小綺麗なとこでしょ。

 

ママ なにを話したかということは一切覚えてないんだけど、そのあとサン出版(注:雑にいうとエロ系の出版社)の子たちにナンパされたのはめちゃ覚えてる(笑)。

 

ちか あれね! 新宿通りでたところで(笑)。

 

ママ あのころのちかちゃんは、化粧っ気もないし、Tシャツにジーパンみたいな感じだったよね。

 

ちか そうそう、ADみたいな感じ(笑)。

 

ママ ちかちゃんって、そのときコアのどの編集部にいたんだっけ。

 

ちか コアの『ホイップ』っていう、制服着て可愛い系のヌードグラビア誌、まあエロ本・・・(注:いわゆるお菓子系)。大学4年の夏からアルバイトで入って、卒業した4月に契約社員の試験を受けたの。だから正社員になったことは実は一度もないんだな。

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    01.02. 2001年9月号の『ホイップ』。ちかちゃんがちょうどアルバイトで入社したときの最新号。「入ったばかりでやることなくてこの号を熟読させられたんだよ」とのことで、「でも、この号はめちゃ売れた」らしい!

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01.02. 2001年9月号の『ホイップ』。ちかちゃんがちょうどアルバイトで入社したときの最新号。「入ったばかりでやることなくてこの号を熟読させられたんだよ」とのことで、「でも、この号はめちゃ売れた」らしい!

ママ てかさ、そもそもなんでコアを選んだの?

 

ちか うーん、編集の仕事がしたかったんだけど、出版社だいたい全部落ちちゃって、就職氷河期だったし。

 

ママ でも、ごめんしつこくて、なんであえてコアで、しかも『ホイップ』(エロ本)?

 

ちか どうしても編集がやりたくて、写真も好きだからグラフ誌が良かったんだけど、そんなのぜんぜん求人なくて。どうしようかなと思ってたら、コアマガジンでアルバイト募集してるって聞いて、エロ本だけど。あのね、雑誌がすごい好きなんだよ。大学のときからファッション誌も見てたけど、『週刊ポスト』とかおじさんむけ週刊誌もかなり買ってて、『週刊大衆』とかになるとエロ度があがってくんだとか、面白いなと思ってたんだよ。それであんまり抵抗がなかったのかもしれないなあ。

 

ママ でも、エロ本は買ってなかったんでしょ。

 

ちか うん、そっちは買ってなかった。コアも『BUBKA』のことは奥菜恵のにゃんにゃん写真で知ってたけど。

 

ママ 懐かしいな(笑)。じゃ、エロは抵抗なかったの?

 

ちか うーーーーん、ああ、わたしね大学の3年までは表参道の串焼き会席料理屋でバイトしてたんだよ。時給の高いウエートレスみたいなやつだったんだけど、そこでAVのスカウトとかしてくる女のひとがいたわけよ、店員を。はじめはAVのスカウトとはわからないのよ、当たり前だけど。

 

ママ え、どういうこと?

 

ちか なんかね、大学生を集める派遣のコンパニオンみたいな仕事があるんだけどって感じで誘ってくるの。で、行くと1万円もらえる。ほんとになんもないの、接待の食事会で隣りに座ってアハハって笑ってるだけ。わたし基本的に化粧っ気がないから、そういうところでもノーメークで行っちゃってたんだけど。そしたら紹介したいひとがいるからご飯食べましょうよって言われて、タダでご飯食べられるならって行ったら、AVっぽい感じのプロダクションのプロデューサーみたいな怪しさしかないひとがいて。99年から2000年ぐらいのころかなあ。

 

ママ そんなこと、あったんだ(笑)。

 

ちか てかさ、そもそもわたし性に対する関心はすっごいあったわけ。セックスっていつになったら気持ちよくなるんだろうとか、こんなもんじゃねえだろ、たぶん、みたいな。でもこのまま興味あり続けたらAV女優になるかもしれないからやばいと思って、でも作る側にいったらならないじゃん。だからよかったって思ったのはあるよ。エロ本の編集部に入ったから、わたしはAV女優にならなかったって(笑)。

  • わたしの誕生日会を開いてくれたときの写真。解像度が低すぎて何が何やら。

  • そのとき食べたケーキがこちら。何歳の誕生日だろう。

ママ コアのときは最初から最後まで『ホイップ』だったの?

 

ちか そう、移動できなくて、結局6年半。

 

ママ 長いなあ。あのころのコアはすごく激務の印象で、みんないつも泊まって徹夜しててみたいな感じがある。

 

ちか うん、そういう感じだった。ひとが足りなかったんだと思う。

 

ママ 『ホイップ』編集部は女のひとはちかちゃんだけだったんだよね?

 

ちか そう。むしろ女だから使いづらくて、やだったんじゃないかなあ。お前にはどうせわかんないって言われて、神田川の橋の上で夜中に泣いたりしてたよ。

 

ママ それでも6年ってけっこうちゃんといるじゃん。いようと思ったのはなんでなの?

 

ちか 理由はなかったと思う。なんとなくだよね。でもわたしってとにかくかわいいのが好きなんだけど(笑)、ホイップはかわいい服を着せていいのよモデルに、当たり前だけど。そういう楽しさはあったかな、下着にしろなんにしろ。

 

ママ ちかちゃんがいたころは、最後のコアマガジンの面白いときだったと思うんだよね。

 

ちか うん、そうだね。むちゃくちゃやってて。

 

ママ コア時代はどんな生活してたの。

 

ちか 12時までに出社して、終電ぐらいで帰ってたかなあ、帰れるときは。忙しいときは帰れないけど。でもどんどん規制規制で都条例とのいたちごっこみたいになってたから、何度も呼び出されたり、コンビニも売ってくれなくなったし、ずいぶん激動の変わり方だったよ。

できた直後のロボットレストランではしゃぐちかちゃん、2012年。

ママ いま思い出したけど、そのころちかちゃんの家にフローズンダイキリを呑み行ったよね。

 

ちか そうそう、懐かしい! ビタミンCとるには苺がいいっていうから、いつも安いときに洗って凍らしておいたんだよ。

 

ママ え、そんな理由だったの(笑)。神田川沿いだったよね、当時の家。赤い冷蔵庫があってさ。

 

ちか そう、当時の彼氏と同棲解消して引っ越すことになったから、苺を処分しないといけなくて。ミキサーでウォッカとが~って混ぜてさ(笑)。

 

ママ わたしたちって、もうけっこう仲良かったんだっけ、あのとき。

 

ちか いや、その前に熱海温泉に行ったでしょ、それで仲良くなって、よかったら家に来てってなったんだよ。

 

ママ え、熱海ってなんだっけ(笑)。

 

ちか ほら、なんか渋谷で朝までカラオケしてさ、ベロベロでそのまま熱海行ったじゃん!!!!

 

ママ ああ、なんか思い出してきた気が・・。朝まで呑んでそのままどこかに行くって流行ってたよね、確か(注:最低)。

 

ちか わたしが伊東と勘違いして、タクシーでハトヤお願いしますって言ったら運転手に怒らて(笑)。

 

ママ まあ、明らかに全員泥酔だったしな。それで日帰りで帰ったんだよね、ああ、なんか思い出してきたけど・・、思い出したくないな・・・。

久しぶりのアーバン周年復帰ではしゃぐちかちゃん、2018年。

ちか あのころはゴールデン街もよく行ってたじゃん。

 

ママ ええっ、そうだっけ(笑)。

 

ちか ほら、わたしがお風呂に4日入ってないから悪いと思って帽子かぶってきたよ〜とか言って一緒に呑んだでしょ!

 

ママ あのさ、それ15年ぐらい前の話だよね、2、3日前みたいに言うのやめてくれない(笑)?

 

ちか 昔のGARDENで待ち合わせしてさ(注:たしか五番街にあって、しょっちゅう通ってた店。ママは和子­)。ちょうど先輩がパクられてわたしがめちゃ働かなきゃいけないときだったから(注:コアマガジンはいろいろある)、最長だったんだよね、お風呂入ってないのが。で、パイル地のラコステの帽子をかぶって行って。てか、あんたが電話して呼び出したんだからね!

 

ママ え、あ、ほんと、そうだっけ(笑)。

 

ちか で、校了おつかれーみたいな感じになって、帽子取ろうとしたら、ごめん帽子取らないでって言われたからね。

 

ママ ほんとくっそどうでもいいこと覚えてるなあ。ただ、ちかちゃんが呑めるのが、いつも校了あけだったってことはよく覚えてるよ。

 

ちか だからいつもフラフラ(笑)。そのあとにふたりで伊東温泉行ったよね。みてくれはやばめだけどご飯もお風呂も素晴らしい旅館があるらしいから行こうって。

 

ママ そのときも校了あけだから、ちかちゃん20時半ぐらいに寝ちゃってさ。わたしは金曜ロードショーかなんかでやってた「北の零年」を音量2とかで見てたよ(笑)。

 

ちか あれクリスマスイブだったんだよ。中居さんに「あんたらクリスマスに女だけ?」って鼻で笑われたもん。てゆうかさ、旅館に行く前に伊東で居酒屋行ったじゃん。

 

ママ 行ったような気が・・・。昼に着いたからね。

 

ちか だからなんで寝ちゃうかっていうと、ママと飲むときは昼間からずっと飲むから寝ちゃうんだよ。だから20時には事切れちゃうんだよ(笑)。

貴重なアーバンでのオフショット!

ママ そのころは、わたしコアの飲み会とかにもたまに混ぜてもらってたよね。

 

ちか そうだよ。送別会とかも来てたじゃん(笑)。

 

ママ なんかさあ、わたしはずっと書籍の編集者だったから、コアマガジンって雑誌社は特殊でめちゃくちゃおもしろかったんだよね。だって仮眠室でホームレスとか寝てたでしょ。

 

ちか 寝てた・・・。鼻が曲がるくらいくさかった・・・。

 

ママ まあ、だからなんだろ、のぞき見したかったみたいな気持ちがあるんだろうな。だから馬場ではよく呑んでたよね。

 

ちか 呑んだ呑んだ。コットンクラブとか、とんちゃんとか、庄屋のがんばり屋って呑み屋あったじゃん、そこがすっごい好きだったんだけど。

 

ママ あのころの馬場は楽しかったよね。

 

ちか どこかに行けばだれかいて呑んでたもんね。

 

ママ ああ、懐かしいんだけど、でもやっぱりもうだいぶ忘れてきてる(笑)。

 

ちか でもわたし、田尻さんにはじめてあったときのことは覚えてる。

 

ママ ええ、なんで? 田尻さんの話、どんどん出してこ!

 

ちか ママが連れてきたんだよ(笑)、Kさんと田尻を。ほら、わたしがなぎら健壱さんの担当しててさ、その打ち上げみたいなのを新宿三丁目でしてたんだよ。

 

ママ ああ、わかった!!! あそこのカントリーバーだ!!

 

ちか そう! で、合流してさ。田尻さんはもちろんもう酔っ払ってて。バーボンの牛乳割りとか、みんなで呑んでさ。

 

ママ あの店の横のワインバーはいまでも行くから、あそこ通るとたまに思い出すよ(笑)。

 

ちか あと思い出すといえば、ニャン2Zバッジ(注:コアから出ていた投稿誌『ニャン2Z』のバッジ。これを着けて歩いた場合どんな無茶な要求にも答えないといけないというやつ、詳細は各自で)。

 

ママ ああ・・・。新宿のトルコ料理屋だったよね。なぜかZバッジが手元にあったから、せっかくだし着けて歩いてみよっかなって言ったら、ちかちゃんに全力で止められてさ。

 

ちか それは全力で止めるでしょ!

 

ママ いや、止めてくれてよかった。あのときほど、ちかちゃんの本気を感じたことはない(笑)。

お酒、だーいすき♡

続きは後編へ・・・・。

 


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Profile

  • スナックアーバンのママ

    四谷三丁目の会員制スナックのママです。ことしで8年目。好きなお酒は濃い目のウーロンハイ、好きなツマミはホタルイカの沖漬け