アーバンなひとびと Vol.7

第七回 アーバンで一番長く働く女、ちか(後篇)

「スナックアーバン」に夜ごと集う、奇々怪々で愛すべきお客様たちのものがたり。第七回はアーバンのチーママちかちゃん(しかも後篇)です。

8.2, 2018

スナックアーバンのママ
  • essay
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みなさん、こんばんわ。スナックアーバンのママです。ただただ、アーバンの常連さんに話を聞く、どこに需要があるのかよくわからない連載も七回目になりました。今回は前篇に続きアーバンのチーママ・ちかちゃんに、どうしてちかちゃんは遅刻するのか、そしてちかちゃんが働いていた銀座のグランドキャバレー「白いばら」のことを、いつもどおりダラダラ聞いてみました。なんでもいいから濃いめの酒でも片手にご覧ください(ここに来て昔の写真をいろいろもらったので、惜しげもなく晒していこうと思います)。

2018年 7月10日 1945

ママ でさ、今日は他にちかちゃんに聞きたいことがふたつあるの。ひとつはちかちゃんがなんで遅刻するのかっていうことと、それから働いてた「白いばら」のことなんだけど。どっちからいこっか(笑)?

 

ちか お、おお(笑)。じゃあ、最初に遅刻のほうにしますか・・・。

 

ママ ハードなほうからきた(笑)。あのさ、ちかちゃんとはいろいろ旅行してきたじゃん。

 

ちか そうね、かなりいろんなとこ行ったよね。

 

ママ ちょうどアーバン始める前に、草津に行ったの覚えてる?

 

ちか うん、ママがなぜか、バイキング食べ放題の温泉ホテルにはまってるころだよね。

 

ママ そう(笑)。「聚楽」も「三日月」もコンプリートしてたからね、あのころ(注:両方共バイキングと温泉が売りのチェーンの巨大ホテル。三日月のがちょっと高級)。

 

ちか あれ、なんでハマってたの。

 

ママ うーーん、なんでだろ。なんか旅館とかさ、わりとお金出さないとめっちゃ美味しいものなんて食べられないじゃん。だったら楽しいほうがいいなって思って。バイキングとかって、完璧ぜんぶツマミにしか見えないんだよ! しかも1時間1000円ちょっとで飲み放題もつけられるし。これはヤバイと思ったんだよね。

 

ちか なんかそういうこと熱弁してたね、あのころ・・・。

  • 01

    01.2006年の誕生日。HAPPY BIRTHDAY CHIKA。ピチピチ。

  • 02

    02.2007年の誕生日。この頃のちかちゃんは、わりとギャルっぽかった。

01.2006年の誕生日。HAPPY BIRTHDAY CHIKA。ピチピチ。 02.2007年の誕生日。この頃のちかちゃんは、わりとギャルっぽかった。

ママ 草津は、たぶんバブル時代に作られた、プールとかテニスコートとか充実した巨大な観光ホテルだったんだよね。蟹、食べ放題みたいな(注:ひとりで来て信じられないくらい蟹を食べてる男性がいて、ああ、このひとは本当に蟹が好きなんだなと思った)。しかも、東京からバスで無料送迎、かつ激安っていう。

 

ちか あ、ああ・・・(遠い目)。

 

ママ その日、バス乗り場の駐車場で待ち合わせだったよね。でも、ちかちゃん以外のひとは全員いるのに、ちかちゃんだけいないのよ! バスの人にも「もう出ていいですか」って何度も言われて、お客さんたちの視線もキツくなってきて、ああ、もう行っちゃってくださいってなって・・・。

 

ちか あ、あああ・・・・。

 

ママ で、ちかちゃんの凄いところは、その出発してしまった30秒後ぐらいにだいたい、向こうの方から走って登場するんだよね(笑)。

 

ちか いや、ほんと、申し訳ない・・・。

2007年、コアマガジンの社員旅行でグアムに。浮かれてるな〜(笑)。

ママ これは責めるわけでもなんでもないんだけど、ごめん、なんで遅れるの(笑)?

 

ちか え、えええ・・わかんない。

 

ママ わたしはたとえば待ち合わせが9時だったりするじゃん。そしたら8時50分ぐらいにはつけるように検索するの。

 

ちか いや、わたしだってするする! するって!

 

ママ 何時に乗ればいいとか検索してるの??

 

ちか するんだけど、検索したときにはもう遅かったということが多い。

 

コアマガジンのデスクにて。八ツ橋の商品名に反応して撮影したんだろうな(どうしようもない)。

ママ ごめん、ちょっと意味がよくわかんないんだけど(笑)。たとえば19時に待ち合わせようってときとか、何時に検索するの。

 

ちか え、18時40分とか。

 

ママ な・・・なるほど(笑)。

 

ちか 見積もりが甘くて、正しいのを出そうとしたら、ぜんぜん間に合わないっていう。出張アーバンで東北に行ったときも(注:石巻のイベントに呼んでいただいた)、その前に郵便局に行っていて、絶対に間に合うと思って電車に乗ったら、ぜんぜん間に合わなかった(注:端的にいうと、新幹線に乗り遅れた)。

ママ その、その自信はどこにあるの(笑)?

 

ちか わたしね、30分あればなんでも着くと思ってるの、東京は。

 

ママ へっ?!

 

ちか って、ことに気づいたの。自分は30分あれば間に合うと思ってるんだって(笑)。最近だもん、30分じゃ着かないんだなってことに気づいたの。

 

ママ いつからそうだったの(笑)。

 

ちか 大学のときの研修旅行で新幹線にすでに乗り遅れてるからなー。

 

ママ 新幹線乗り遅れるのはもうナチュラルでしょ(笑)。

 

ちか 携帯電話がない時代だったしなあ(注:携帯があっても遅れてるから関係ない)。

 

ママ 最長どのぐらい遅れたことある?

 

ちか わっかんない、考えたくない。

 

ママ 考えてみてよ(笑)。

 

ちか えーーー。うーん、大宮でコアマガジンの野球の応援に行こうと思って、向ヶ丘遊園から徹夜明けで行って、寝ちゃって起きたら折り返して江ノ島でっていうのはある。そのときは2時間半ぐらい遅れたかな。でもそれは誰かが待ってるってんじゃないからよかったけど。

2006年、浴衣で会食。

ママ まあ、わたしとしては例えばどこかに一緒に行こうっていうときに、乗り遅れるのはぜんぜんいいんだよ、勝手に行ってくれたらいいから。でもさ、ごめん、思い出しちゃった。前に東京駅から成田までバスで行こうってときに、ちかちゃんぜんぜん来なくて、もう出発時間になっちゃって、わたしだけバスに乗って向かおうとしたら、運転手さんが「向こうから走ってくる人お連れ様じゃないですか」って。で、見たらちかちゃんがスーツケース引きながら全力疾走してきてて!!

 

ちか いやあ、東京駅が思ったより広いことを忘れていたよ。

 

ママ あれ、グアム行ったときだよね。

 

ちか そうそう、ママがネットで見つけてきた、9800円3泊4日みたいな激安のやつ。

 

ママ そう、楽天トラベルで見つけたキャンペーンのやつ。

 

ちか あれ、サーチャージのほうが高かったよね、確か(笑)。

 

ママ そうそう。わたしそういう異常に安い旅行っていうのすごく好きだったよね。だって面白くない? 9800円でグアム行けるとか。

 

ちか あのときのホテルはすごかったよね。

 

ママ うん、窓の外が室外機だから窓は開けられないし、海がめちゃくちゃ遠い。照明も異常に暗くてリゾート感ゼロ。

 

ちか で、泊まってる人も、グアムでリゾートホテル作るために来てるみたいな外国人労働者ばっかで(笑)。

我々のグアム第一回。ぜんぜん変わってないと思ったけど、若いな、やっぱり。

ママ ちかちゃんはそのころ『小悪魔ageha』の仕事してたんだよね(注:すっっごく売れてたギャル雑誌)。ちゃんと仕事終わらせるつもりだったのに、むこうの発注遅れで、到着した翌日までに原稿あげるみたいな過酷な作業が入っちゃって・・。

 

ちか そそ、見開き頁のライティング!

だいたい、いつも、呑んでる。

ママ 朝起きたら、めちゃくちゃ通信速度が遅そうな、自称ビジネスルームという狭い部屋というか小屋で、ちかちゃんが死んだ目をして仕事しててさ。

 

ちか ADSLじゃない?っていう遅さだったよ。横浜のキャバ嬢のキャッチとキャプション、めっちゃ書いてた。

 

ママ まだ、ちかちゃんガラケーだったよね。

 

ちか そうそう。でも国際ガラケーだったからメールができるのよ。その日ママとグアムの午前中の半日観光ツアー行く予定で、朝の9時には出るよってなってて、7時まで仕事してたのは覚えてて・・。

ママ 徹夜明けで謎のテンションだったよね。

 

ちか もう送ったし、もし足りなくても編集がやってくれるだろうと思ってツアーのバスに乗ったら、柱のキャッチがありませんって言われて・・・。まじかと思って、指を折って文字数を数えて、ガラケーから書いて送ったの、すごく覚えてる(笑)。

 

ママ グアムはそのあとも激安旅行で行ったんだよね。

 

ちか あのときは人が殺されたようなホテルで・・・。スリッパ履いてないと歩けなかった。

 

ママ でもさ、なんか幸せのレベル下げると、そういうのもけっこうイケるっていうか。

 

ちか いや、でもママは幸せのレベルをかなり簡単に下げるよね。行きの飛行機で出てきたマジでどうしようもないチョコレートを超幸せそうに食べてて、やばいって思ったもん。

 

ママ ちかちゃんに「ママ、下げすぎ!」って言われたの覚えてるよ。まあ、でも格安旅行を楽しむコツはそこなんだよ(笑)。

白ばら店外での、ホステス集合写真!

ちか じゃないと、確かにあの旅行は楽しめないとはいえるね。

 

ママ でしょ! ちかちゃんはそういうのをわかってくれて、一緒に面白がってくれるから本当に嬉しいの。とはいえ、歌舞伎町でゴミみたいに呑んでたわたしたちが、ふたりでグアム旅行とかして、美しい海でシュノーケリングとかさ、いろいろ感慨深いよね。

 

ちか 場所を変えてゴミのように呑んでるだけという気も・・・。

 

ママ そ・・、そこには気づかないようにしよう。じゃ、あと「白いばら」(注:1931年創業、今年のはじめまで営業していた銀座の老舗グランドキャバレー、通称・白ばら)のこと聞きたいんだけどちかちゃんはアーバンよりも白ばらのほうが働いてるのは先だったよね。

 

ちか うん、そう。

ママ あれはなんで始めたの?

 

ちか えとね、コア辞めてフリーのライターになる前に、ある出版社に入ったんだよ。しかも夜はエロ本の出版社で0時から始発まで働いてたら、体壊しちゃって。

 

ママ ええ! なんでそんなに働いてんの?

 

ちか だって、フリーになったらすごく頑張らなきゃと思って、どうせ働くんだから1日ぜんぶ働いてしまえと思ったら、なにもかも仕事が消化できないぐらい自分を追い込んでしまい。ほんとアホだった・・・。

 

ママ 極端すぎるだろ。

お客さんの誕生日もキャバレーの大事なイベント。

ちか で、体調壊してもう無理ってなって、出版社はやめて。エロ本のほうも超ブラックで、潰れる直前でさ。潰れる前って、自転車操業だから刊行点数がやたら増えたりするじゃん。しかも、ぜんぜんギャラも振り込まれなくなったりして。で、バイトしようと思って、赤坂の料亭のお運びさんの仕事を紹介されるのよ。しかも時給5000円近くて(笑)。

 

ママ あー、それは限りなくグレーだね。

 

ちか ちょうど知り合いがそのバイトをやってたって言うから聞いたら、めちゃくちゃ着物の中に手を突っ込まれるし、きついから続かないよって言われて。え、そうなんだ、どうしようって思ってたら、当時の彼氏の友達に「そんなとこで働くなら白いばらで働くほうが健全だ、ショーもあって楽しいぞ、検索してみろ」って言われたの。

 

ママ うん。

ちか で、検索したら楽しそうだし、マッシュっていうストリッパーのお姉さんわかる? そのマッシュ姉さんが紹介して推薦してくれるからってことになって、そのおかげで入れたわけ。

 

ママ え、なんでそのマッシュさんのおかげなの? キャバレーってそんなにハードル高かったっけ?

 

ちか その推薦がなかったら絶対入れなかったと思うもん。なんでかというと、面接にまたノーメークで行ってしまったわけよ(笑)。化粧しないといけない常識を知らなくて。で、黒服が五人ぐらいいて、面接で座ってるとみんな見に来るわけ。でも誰も担当についてくれなくて。で、結局マッシュの担当だった店長が担当についてくれたの。

それで働かせてもらうようになったけど、そんなに指名が取れないから、新人の期間がめちゃくちゃ長かったの。ふつう3ヶ月なんだけど6ヶ月ぐらい。それでも、トータルは5年ぐらい働いたかな、わたし働くとけっこう長いんだよね。

 

ママ その白ばらのつながりで、そのあとアーバンにも来てくれるようになったKさんってお客さんいるじゃん。totoが2回あたったってひと! 彼はちかちゃんを指名してくれてたんでしょ。

 

ちか そうなの、ちょうど2年目か3年めかな。もともとは事務所の飲み会で来てくれて、場内の指名で、「栃木県の女の子」っていうことで指名されたんだよ。

 

ママ Kさんは同じ出身地だから指名してくれたの?

 

ちか そうそう、そしたらKさんの亡くなった息子さんと私が同じ誕生日だったんだよ。それで興味を持ってくれて遊びに来てくれるようになったの。

Kさんと一緒に。「やる気ないヘアメイク〜〜〜、これで水商売か」と自ら振り返るちかちゃん。

ママ 白ばらのことは、もうなくなってしまったというのもあって、ちゃんと聞いたほうがいいと思うんだけど、外に日本地図の看板があって、それぞれの県の女の子がいますっていう設定なんだよね。

 

ちか そうそう、欠番もあるけど、だいたい揃ってるよね。

 

ママ 何人ぐらい毎日出勤するの?

 

ちか 登録は200人いて、金曜は100人ちょっと、平均して70人ちょっと出てるっていう感じかな。

 

ママ 時間は?

 

ちか 18時から23時半。お客さんもキャストも終電で帰れるの。

 

ママ ヘアメイクと衣装は?

 

ちか 衣装は500円で借りることもできて、だいたいドレスかスーツ。ヘアメイクは自前かな。

 

ママ で、指名制度がちゃんとあるんだよね。

 

ちか うん。クラブとかキャバクラとは違って、生涯指名じゃないの。何人指名してもいいし、指名替えしてもいいし。場内と本指名があって、本指名だと2600円で、場内だと1200円ぐらいだったかな。女の子も指名何本かはいるから15分ぐらいをめどに、点々と席を替わるっていう感じ。

いまでは立派なスナックの中堅ホステスに・・・(涙)。

ママ ちかちゃんはいつごろから指名が付き始めたの?

 

ちか うんと、そうだね。衣装を変えたんだよ。もともとは、かわいいっぽいのを着てたの、ピンク系のふわっとしたやつ。でもサテンの白いドレスとか、タイトめのストンとした清楚なやつを着て出勤したら、ボーイさんから珍しく「それすごくいいからそっちにしなよ」って言われて。それから、ドンピシャで指名がつくようになったの。

 

ママ 確かに清楚系ドレス、似合ってたもん。そういえばさ、こないだちかちゃん衝撃的なこと言ってたよね。

 

ちか そうなのよ、聞いてよ! Mさんってアーバンのお客さんいるでしょ、彼が白ばらの当時のホステスから聞いたらしいんだけど、わたしってそのころ白ばらで「キチガイももちゃん」って呼ばれてたんだって!!!(注:ももちゃんはちかちゃんの源氏名)。

アーバン恒例、ホステス対抗カラオケ歌合戦で渾身のエイミー・ワインハウスを歌うちかちゃん。ちなみに前年はジャニス・ジョプリン。27歳で死ぬシリーズ。

ママ ごめん、なんだか衝撃があまりない(笑)。

 

ちか Mさんに理由を聞いたんだけど、曰く「そのままじゃない」ってことで。さらに謎が深まる・・・。

 

ママ この連載を読んだひとはわかると思うけど、まあ、明らかに他のホステスとは違ったんでしょ(笑)。じゃあさ、ねえねえ、最後に聞くけど、呑み屋で働くのは向いてたと思う?

 

ちか いやあ、たぶん一番楽しいね。なんの仕事が一番好きかっていうと、呑み屋、っていうかアーバンで働くのが一番楽しいよ(笑)。

 

ママ えーーん(涙)。

<番外編>

少しだけキャバレーの思いでばなし

世の中には、キャバクラ、とか、クラブ、とは違う「キャバレー」という夜の遊び場がある、というか、もう「あった」に近い存在。

 

基本的にはダンスホールに生バンド、すごくお金をかけて作られた昭和な夜のビロード&シャンデリアなインテリア、ホステスは常に100人前後が出勤(若い女の子ばっかりじゃなくてナンバーワンが70才だったりするところが最高)。だいたい2万円もあればしっかり遊べて、終電前には閉店というのが基本営業スタイル。それからカツサンドが美味しい、なかでも白ばらが一番美味しかった。

わたしがはじめて行ったキャバレーは、歌舞伎町の現TOHOシネマ、かつての新宿コマ劇場横の東宝会館8階にあった「歌舞伎町クラブハイツ」だ。クラブハイツはすごかった。まず専用のエレベーターがある。そして赤い服を来たエレベーターボーイの高橋さんがお店まで案内してくれ、直通で入店できる特別仕様。しかも高橋さんはだいたいのお客さんの名前をすべて暗記していた。

フロア面積350坪以上、店内の中央には信じられないくらい巨大なシャンデリア(チェコスロバキア製、洗うだけで80万かかったとか)と、それを取り囲むような扇型の座席(全椅子数は670席)。ロシア製の大理石が敷き詰められたダンスフロアではよく全身白いスーツの老人がワルツを踊っていた(ほぼ毎日来ていたと聞いた)。

 

たぶん12年ぐらい前だなあ。都築響一さん、もしくは浅草キッドの玉さんと連れ立ってだいぶ通わせてもらった。玉さんはクラブハイツの前身「ニュージャパン」から通っていたから、亡き城南電気の宮地社長の話を聞かせてもらったり、もう酒の深度がヤバかった。わたしたちの席には、ヨシコという名の60歳ぐらいの女性がついてくれることが多かった。

クラブハイツは2009年2月27日、36年間の歴史に幕を閉じた。もちろん最終日にも伺って、ヨシコから福砂屋のカステラをもらった。そのとき、グラスなどの備品は持ってき放題だから!と言われたのに、まさか自分がスナックをやるとは思っていなかったので、なにも持ち帰らなかったことが痛恨の極みすぎる・・・。

 

その後、蒲田のレディタウンに移ったヨシコから激しい営業電話が来るようになるが、結局ヨシコのいる日には行かなかったし、レディタウンもなくなった。

(ちなみに、クラブハイツ閉店後、多くのホステスは風林会館上の「ロータリークラブ」に流れた。こちらはキャバレーとキャバクラの中間、みたいな設定のお店でいまだ現役。エレベーターは共用だけど、たぶん元気ならいまでも高橋さんが1階の入り口にいるはず)

白いばらに最初に行ったのは、いまでは占い師として1年予約待ちみたいになってしまった友人が働いていたからだ、源氏名は金魚。2階がギラギラのボックス席で、中2階に生バンドのステージ。20時ぐらいには踊れる女の子たちによるショータイムで、ショーが見やすい1階の通路側の席は人気だった。ちかちゃんに席を取ってもらって、お客さんたちともよく遊びに行った。

 

気がついたら、ハイツもレディタウンも白ばらもなくなってしまった。

キャバレーってなんだったんだろうと思うけど、摩訶不思議すぎて全然わからない(笑)。でも、ただただ、楽しかったし、わたしの人生がこの先どうなっても、最終的にキャバレーがあれば働けるとはけっこう思っていた。ここまで閉店しちゃうと、それも叶わなくなってきたけど。

 

東京には最後のキャバレー「ハリウッド」がまだ残っています。なくなったら二度と行けないから、いまのうちに行くしかない!

 

PS

キャバレーで男性が絶対にみられない場所は女子トイレだと思うんだけど、わたしはあのトイレの現実感がめちゃくちゃ好きだった。遅刻への苦言、営業メールの確認、イベントの集客などなど、所狭しと張り紙が貼ってある。あのころiPhoneだったら、絶対に撮影したんだけどなあ。

 

思いでばなしはこれで終わり。

そのころ都築さんが撮影したクラブハイツの写真をお借りしたので、ご堪能ください、ねえ、凄いでしょ!

 






(「クラブハイツ」撮影 都築響一)

 


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Profile

  • スナックアーバンのママ

    四谷三丁目の会員制スナックのママです。ことしで8年目。好きなお酒は濃い目のウーロンハイ、好きなツマミはホタルイカの沖漬け