てぶくろを買いに

冬の間だけ出会う、あったかいもの。

12.25, 2018

Columnist:Aya Matsuo
  • fashion
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手袋を見るといくつかの、思い出が蘇る。

 

一つは絵本「手袋を買いに」。幼稚園前後で大好きだった絵本だ。作者が描く雪景色は本当に綺麗だけど寒そうで、子ども心に狐の手に早く手袋をはめてあげたい、そんな気持ちになった。

 

一つは冬の家族旅行。確か大きな橋がある場所にハイキングに出かけたのだが、当時いちばんのお気に入りだった赤い手袋を私はその橋の上から川に落としてしまったのだ。青々しく寒い冬の川に、赤い手袋がゆっくり落ちる。大泣きしながらもそのシーンは大人になった今も覚えているほど印象的だった。

 

一つはかつての恋人が貸してくれた手袋。デートにカッコつけて手袋なしで出かけたものの冬の風に当てられかじかんでしまった。そんな時にそっと貸してくれたさっきまではめていた手袋。人肌にあったかくてじんわりと幸せな気持ちになった(そのぶん、恋人の手がかじかんでしまったのだけど)

 

そういえばこの間クローゼットを整理していたら、奥の方に母が編んでくれたミトンが出てきた。

はめてみたら案外サイズはぴったり(当時大きめに編んでくれたから)。今はもう使いづらい古臭いデザインだけどやっぱり捨てるのは忍びなくて一度綺麗に洗って、またクローゼットにしまい込んだ。

 

他にもいくつかこういった思い出がすぐに浮かぶ。

なんでだろうと考えたけれど、それは多分手袋が「冬のほんの短い間」のものであるのに関わらず「あったかくて幸せ」な気分にしてくれるからだろう。幸せな光景は記憶に残りやすい。

 

秋口から使えるストールや、なんとなく春めいてくるまで巻いてしまうマフラーと違いある程度本当に寒い時期でないと手袋をする機会はない。手袋を持ち歩いたりはめたり脱いだりするのは面倒だけど、あると確実に暖かくしてくれる。

少ししか使わないのに、絶対に必要なもの。

 

そんな存在だからこそ、その当時の冬の記憶と結びついていつまでも覚えているのかもしれない。

 

ここ数年暖冬気味で手袋を買うほどではなかったのだけど、今年の冬はまあまあ寒いそうだ。

今年の思い出の一つとしてあたたかい手袋が欲しくなった。

 

今はいろんな素材・形の手袋があるけれどどういうのがいいのかな。

絵本の子狐のように帽子屋さんに行ってこう言ってみたくなった。

「このお手々にちょうどいい手袋下さい」

 

 

▽ちょうどいい手袋、見つかります▽

UR SELECT:「あったか手袋と冬のおしゃれ。」

 

Profile

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。小学館kufuraにて旅エッセイ「ドアを開けたら、旅が始まる」連載中