2018.04
特集 踊れ!台湾

良い音とライフスタイルを“シェア”する。台湾人気DJ Mykal

音楽とカルチャーは密接な関係だ。だからDJは音を鳴らすだけでなく、ルーツやファッション、そういうものをその音楽に盛り込む。台湾の文化と新しいカルチャーに音楽をつなげ、シェアし続けている人気DJに会いに行った。

4.11, 2018

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台湾クラブカルチャー事情

台湾では今、非常にクラブカルチャーが盛り上がっている。次々と新しいクラブがオープンし、土日などはどこも入場に行列ができるほどだ。日本のように“夜ご飯がてら飲む”文化があまりメジャーではない台湾だが、“飲む”と決めた日はとてもよく飲む。クラブでも次々とビールやシャンパンがあけられ、好きなおしゃれと良い音楽と、そして長い夜を楽しんでいる。
全体的なことを言えば、最近はJ-POPではなくK-POPが人気で、それはクラブに訪れる若者のファッションにも反映されていた。少し前まではあまり濃いメークをしないイメージだった台湾の女の子たちもここではバッチリとメークを決め、そしてそれがとても可愛い。

さて、台湾ではDJカルチャーも成長期にある。今回は台湾No.1人気DJであるMykal(マイケル)さんに会いにいった。

Mykalさんは音楽全般やファッションにも造詣が深く、DJのほか、ファッション雑誌への寄稿やプロデュースなど活動は多岐にわたる。その実力はThe Chemical BrothersとThe Prodigyの台北コンサートでDJとして唯一指名されるほど。現在は日本やアメリカ、シンガポールなど数々の国でプレイしている。

そんなMylalさんに現代台湾クラブ事情を伺うと、「どんどんクラブが増えてきています。女性DJも増えてきたし、大きなイベントも盛ん。昔は台湾のDJは“音楽をただ流す人”というふうに思われていたけれど、今は“アーティスト”としての認識が生まれています」とのこと。

インフォメーションは“掘る”のが楽しい。
それを”DJ”を通して伝えたい。

MykalさんのDJ歴は20年にわたる。大学時代のライブイベントや、レコード店のバイヤーなどを経て“音楽”に関わり、その後ワーナーミュージックに入社。海外の音楽に触れ、またその頃台湾で人気だったスピンというクラブでアンダーグラウンドカルチャーやブラックミュージックに触れ、“新しい音楽”に触れる喜びを覚えたそうだ。
「今と違って昔はレコードだったから、気になった音楽を見つければDJブースでレコードのレーベル面(昔のレコードにはアーティスト名が書いてあるものが多かった)を覗き込んだりしていました。今のように簡単に情報を手に入れることもできなかったし、自分でも海外の雑誌を買って調べたりも。でも簡単に手に入らないからこそ、“音楽を聴けば聴くほど自分のものにできる”感覚がありました」
ちなみに中国語ではそう言った情報を得る行為を「インフォメーションを掘る」と言う。いわゆるDIGる、という感覚。
「今はネットが便利だし、YouTubeで新しい音楽が簡単に見つかるよね。でも逆を言うと流行っているものは簡単に手に入るけど、“掘ら”ないと見つからない楽しみが減るのは残念だな、と思う」
だからこそ、MykalさんはDJという仕事を通して「新しいもの」や「知らないもの」、「流行っているもの」、「流行ってないけどいいもの」などをミックスして、それを“シェア”することを大事にしている。
「日本でも、90年代の例えばワープマガジンとか、クラブのインフォメーションが必ず載っていて、“いいもの”をシェアしていたよね。それはすごく素敵だと思っていたよ」。

COAT ¥13,000/URBAN RESEARCH ROSSO(URBAN RESEARCH ROSSO)、VEST ¥29,000/DEAN×URBAN RESEARCH(URBAN RESEARCH)、Short Pants ¥28,000/DANIEL w.FLETCHER(URBAN RESEARCH)

台湾の伝統も含め、自分の好きなものをシェアする。
それが自分のライフスタイル。

良いものを“シェア”するための方法は、DJだけに限らない。
「最近は音楽とストリートファッションが繋がっていることを意識しています。日本でも例えば原宿とアンダーカバーとか、最近だとDJ DARUMAさんの「CREPEMAN」とか、音楽と場所とファッションをつなげるカルチャーがあるでしょ?それはすごいな、って思う。自分自身、昔はファッションには興味がなかったけど、最近はそういう音楽とつながるカルチャーも大切にしています。例えば台湾のブランドと音楽、パーティと音楽、そうやって自分の好きなものをミックスしてシェアしていきたい。また新しいものだけじゃなくて、例えば自分が大切にしている台湾の伝統的なものをミックスしたりも。そうやって音楽とライフスタイルをつなげていくのが僕のDJスタイル。だから自分にとって“DJ”はライフスタイルのすべてだね」

台湾の伝統が好きだというMykalさん。今回の撮影は台湾の伝統的な茶藝館にて行われた。場所は「猫空(マオコン)地区」という、なんとも可愛らしい名前のエリアである。山全体に茶藝館やお茶を使った料理を出すレストランがたくさんあり、晴れた日は青々とした山を眺めながらお茶をすることができる。

だいたいどこのお店でも、好きな茶葉(缶入り)を買い、人数×お湯代金(お湯のおかわりは自由)を払うシステム。なので、一つ茶葉を買えば、かなりのんびりとお茶を楽しむことができる。24時間営業しているので、お酒はあまり飲まない台湾っこは、ここで夜通しトランプなどをしながらお茶を楽しんだりするそうだ。

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    01.風情ある店構え。猫空地区のお店は伝統的な建物が多い。

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    02.この日は雨だったので室内でお茶を楽しむお客さん。

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    03.小腹を満たすおつまみ類も豊富にある。

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    04.晴れた日はこんな気持ちの良いオープンテラスで。また夜景を見ながら飲むお茶もいい。

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    05.伝統的な茶器セット。小さいお猪口で香りを楽しみながら飲む。

01.風情ある店構え。猫空地区のお店は伝統的な建物が多い。 02.この日は雨だったので室内でお茶を楽しむお客さん。 03.小腹を満たすおつまみ類も豊富にある。 04.晴れた日はこんな気持ちの良いオープンテラスで。また夜景を見ながら飲むお茶もいい。 05.伝統的な茶器セット。小さいお猪口で香りを楽しみながら飲む。

Profile

  • 熊谷直子Photographer

    幼少期より写真を撮り始める。20歳で渡仏し、パリにて本格的に写真・芸術を学ぶ。2003年よりフリーランスフォトグラファーとして雑誌・広告などでポートレートや風景など多ジャンルにおいて活動し、個展での作品発表も精力的に行う。主な著書/二階堂ふみ写真集「月刊二階堂ふみ」、杉咲花1st写真集「ユートピア」、熊谷直子作品集「赤い河」

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。また猫についてゆるく語る「ネコテキ」を小学館「しごとなでしこ」にて連載中。夫婦料理ユニット「サイトウのゴハン」レシピ担当。

Information

  • 邀月茶坊

    台北市文山區指南路三段40巷6號

    営業時間 : 24時間営業 / 年中無休

    URL:http://www.yyter.com.tw/