2019.07
特集 アオハルの迷宮、下北沢へ。

下北沢ダイアリー #01 KONCOS 古川太一さん

下町の素朴さとあたたかさを残しつつ、カルチャーが生まれる場所として親しまれている下北沢。大規模な都市再開発計画によって、その風景は日々変わり続けている。そこで暮らす人、ここが地元の人、これから場所をつくる人。それぞれにとっての“下北沢”とは。

7.3, 2019

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『好きな音楽と好きな仲間たちが集まる街、それが下北沢』

 

古川太一さんは北海道の帯広出身。
2001年に18歳で上京後、すぐにバンド活動を開始した。
大学が埼玉にあったので、最初はその近くに住んでいたけれど、下北沢にあるスタジオに入るようになってからは、ほとんどの時間を下北沢周辺で過ごすようになる。

 

「埼玉のあと、すぐに下高井戸へ引っ越しました。新代田、笹塚などを経て、一度、中目黒に住んだことがあるけれど、結局下北沢でリハーサルをして下北沢で飲むから帰るのが面倒くさくて(笑)。だからずっと世田谷界隈にいますね。生活のペースが下北沢だから」

 

気付けばいつの間にか12年。
バンドメンバーが住んでいるところの中間がちょうど下北沢だったこと、チャーベ(松田”CHABE”岳二)さんをはじめとする、好きな先輩たちが暮らす街ということも、下北沢を拠点とする理由として大きかった。

 

「みんなが引き寄せられるように、この街に集まってきましたね」

 

『僕らがいつも遊んでいる場所を、全国の仲間たちにも知ってもらいたくて』

 

今年の3月30日(土)、31日(日)の2日間、ライブハウス下北沢SHELTERとTHREEの2か所で、太一さんは自主企画を開催した。
そして、その日のために下北沢のガイドマップを手書きで作成。
下北沢を中心に、ライブハウスや飲み屋、パン屋、古着屋、コーヒー屋、はたまた銭湯までと、紹介するのはジャンルレス。
思わず行ってみたいと思わせるマップは、下北沢とそこに集まる人たちへの愛に溢れたものになっている。

「僕らはツアーで全国100か所とかまわっているんですけど、そこで出会った人たち40人くらいを各地から呼んで、僕らがいつもやってる下北のハコに迎えて一緒にパーティをしようと考えたんです。でもその時にガイドになるものが何もなかったら、どこに行ったらいいかわからないじゃないですか。僕もいろんな場所へ行ったとき、美味しい店とかみんなに聞くし、その逆を自分たちの街紹介としてできたらいいんじゃないかなって。ゲストのみんなに配ってあげようと思ったのがマップを作ったきっかけです。しかも紹介するのは有名店じゃなくて、僕らの友だちがやっている店がメイン。感覚が似ているみんなが集まっているから、そこから広がる何かがあるはずだっていう期待も込めて、導入部分を作りました。みんなにマップを拾ってもらえるのがうれしいですね」

 

『僕にとって下北沢は〝生活〟だし〝日常〟なんです』

 

下町の雰囲気を残しつつ、カルチャーの街として若者に人気を集める街・下北沢は今、大規模な都市再開発計画によって日々その姿を変え続けている。
でも、変わらずこの街が好きで、この街で暮らす人はたくさんいる。
太一さんもまた、そのうちのひとりでもある。

 

「反対はできないし止められないけど、過剰な再開発はしなくてもいいんじゃないかなとは思いますね。開発で新しくなったとしても、下北沢が持つ空気感、センスを残していってほしい。それは、昔はよかったなんていう懐古主義的なものではなくて、前に進みながらも昔ながらのいいものは残していく。そうして広がっていけば、この街もまたどんどんおもしろくなっていくんじゃないかなと思いますね。下北はもちろんそうだし、その周辺の世田谷界隈は大人も子どもも居やすい街。独自のコミュニティもある。ライブできる場所が多いし、バンドをやっていても許されるとうか、音楽をやってる人たちが街を守っているという感じもある。日本全国を見ても珍しい街ですよね。そんな下北沢は、僕にとっては〝生活〟だし〝日常〟なんです」

太一さんおすすめの店を3店舗紹介

<FILM>

「アメリカを中心に買い付けた60〜90年代のメンズ・レディース、キッズ古着や雑貨・インテリアなどが豊富に揃う店。オープン時の7年前に寛(KONCOS・佐藤寛)に教えてもらって知りました。行ってすぐに気に入っちゃって。それ以来めちゃくちゃよく通っています。ただの常連ですよ(笑)。オーナーの島田(悠紀)くんのセンスが抜群で、ビンテージやデットストックのセレクトの視点がすごく面白い。店内はクリーンで、普段古着を着ない人にも間口が開いてる感じがします。飲み屋とかごはん屋もそうだけど、僕はそこにいる人が好きで店にいくことが多いんです。FILMも島田くんの選ぶものなら大丈夫という信頼感がある。ものを買うなら高いブランドものより顔の見える店で一点ものを選びたい。そういう今の自分のテンションにもすごく合っている店です」

 

FILM

世田谷区代沢2-28-4
TEL:03-6804-0608
13:00〜21:00 (月〜土曜)、12:00〜20:00 (日・祝日)

<SANDWICH CLUB>

「注文を受けてから作ってくれる温かいサンドイッチ専門店。オープンして一年半。店長の(山口)結ちゃんは、オルガンバーの上にあったボウルというクラブでスタッフをしていた時に知り合ったから、もう10年くらいの付き合いですね。もともと夜の飲み友だちだったんです。当時からケータリングでサンドイッチとかを出していて、気がついたら下北に専門店を構えてて、しかも朝営業するっていうのでびっくりして(笑)。でも僕もちょうど子どもができて生活が朝方になったからすごくよくて。朝ごはんでサンドイッチを食べにいったり、子どもを連れてコーヒーだけ飲みにいったりしています。下北のオアシスですね。行ったら絶対に結ちゃんがいる、というのもすごくいい。人に会いにいくことが、店を訪れる際の理由の大半を占めています」

 

SANDWICH CLUB

世田谷区北沢2-12-2
8:00〜17:00 (L.O. 16:30)
定休日:木曜

<shimokitazawa THREE>

「さまざまなジャンルの音楽イベントを開催するライブハウスで、店長の(スガナミ)ユウさんに誘ってもらって、僕らもよく出演させてもらってます。バー営業もしていてスリーで飲むことが増えていたときに、ゲストバーテンダーで声をかけてもらって。その後ちゃんと働く人を探してるってなったときに、僕がやります、と。それから毎週水曜日だけ働いています。4年目なんですけど4回しか休んでないんです。ライブハウスが好きだけど子どもができるとなかなか行けなかったりするので、週に一日だけカウンターに立つ約束をすることで、ライブハウスに行く理由ができるなと思って。来てくれる人も、絶対に僕がいるってことで安心できることがあるかもしれない。それに、僕らもどんどん先輩になってしまうけど、ライブハウスに来ている若い子たちと対等に話せる場所っていうこともすごくいいなと思う。友だちも増えますしね。いい経験をさせてもらってます」

 

shimokitazawa THREE (LIVE & CLUB)

世田谷区代沢5-18-1 カラバッシュビルB1F
TEL:03-5486-8804 (16:00〜)

Profile

古川太一 TA-1

佐藤寛との作詞作曲チームKONCOSの作曲担当。
レーベルSUNNY CLUB主宰。
弟である古川拓也とのデザインチームAnoraksでは、様々な媒体にデザインやイラストを提供中。

 

Instagram:https://www.instagram.com/taichifurukawa/
Facebook:http://www.facebook.com/taichi.furukawa
KONCOS:http://koncos.net/
Anoraks:http://anoraks.me/

Profile

  • 松本 昇子エディター / ライター

    愛知県出身。雑誌やカタログ、書籍、WEBサイトなどの編集、執筆、ときどきコピーライティングも手がける。

  • 木村 巧Photographer

    1993年茨城県生まれ。在学中より、写真家青山裕企氏に師事。春からURT編集部へ。