2018.07
特集 墨田区に、すもう

Go To Deep East
ミッドナイト墨田区

多くの人が夢の中へと帰る頃、錦糸町は夜の部の幕が上がる。酒に肉に笑いに、ただ欲望のまま好奇心のまま彷徨う大人たちが主役の時間だ。彼らが今日欲しているものはなんだろう。答えはこの1杯の酒の中に。

6.26, 2018

  • food&liquor
  • lifestyle
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21:00 @松の湯:コカコーラ

「いらっしゃい」とまるで銭湯の主人(あるじ)のように暖簾の先から現れたが、もちろん主人ではなくってミュージシャンのオータコージ氏(以後、オータ氏)だ。

 

今日はこのオータ氏と、URBAN TUBEで角打ちコラム連載をしているミュージシャンのmantascool(a.k.a MC sirafu)氏(以後、シラフ氏)による「墨田区、夜の部」取材をする予定である。

オータ氏は墨田区錦糸町在住。

なんでも錦糸町を夜な夜な歩き回っているとのことなので、今回は“錦糸町案内人”としてあちこち連れて行ってもらう予定。

シラフ氏は仕事終わりに合流というコトで、まずはひとっ風呂浴びてからいざ夜の街へという段取りに。

「松の湯」は、今や都内どころか日本でも珍しい、薪でお湯を沸かす銭湯だ。

墨田区は銭湯の多い街だが、やはり後継者不足などの理由で次々となくなりつつある。ここも一度は休業してしまったそうだ。だがそれを聞いた今のオーナーが経営を引きつぎ、近隣住民憩いの場として再開した。オータさんの行きつけでもあり時々お手伝いをする事もあるそうだ。

 

さてさて今日の湯加減はいかがですかオータさん。

「今日はちょっと熱めかな。ちなみにシャワーのお湯も薪で温度調節をするから時々熱かったりぬるかったりするけれど、それがいいんだよね」

“いい湯加減”を生み出す、釜番担当の立野さん。

カメラマンも男性だったので、「ギリギリ掲載できるくらいのカットを」お願いしたら本当にギリギリショットを多数撮影していた。いや、正直危ないカットもあったけど自粛。

浴場内の写真も撮りたかったので、お客さんの少ない時間帯にささっとオータさん&メンズスタッフのみ男湯へ。

残りの女子スタッフは妙にに落ち着く休憩所で待っていたが(つながるリノベーションでお話を伺った、画家の角田晴美さんの素敵な絵もありました)、ご近所さんらしい子供からお年寄り、相撲取りなど次から次へと“ひとっ風呂”を味わいにやってくる。

 

銭湯は温泉ほど敷居も高くなく、家の風呂よりも開放感がある。

その日1日かけて体に降り積もった疲れやストレス、悩み、そんなものはこのひとっ風呂で湯気とともにあっという間に蒸発する。

実際(こちらが風呂にも入れず待っているのに)ゆっくり湯に浸かったスタッフたちは口々に「あー疲れがとれた」とか「あー復活した」とか「あー腹減った」とか明らかに顔色良く元気に。(あー羨ましい)

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    01.レトロな下駄箱!

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    02.脱衣所と“入浴前のオータ氏”

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    03.銭湯と言えば壁のタイル絵を眺めるのも醍醐味。

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    04.風呂上がりのオータ氏。明らかに顔が若返っている。

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    05.休憩所の壁に描かれた角田さんの絵。

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    06.風呂上がりのコーラ。手は腰に。

01.レトロな下駄箱! 02.脱衣所と“入浴前のオータ氏” 03.銭湯と言えば壁のタイル絵を眺めるのも醍醐味。 04.風呂上がりのオータ氏。明らかに顔が若返っている。 05.休憩所の壁に描かれた角田さんの絵。 06.風呂上がりのコーラ。手は腰に。

風呂上がりにコーラをちょいと引っ掛けていざ、錦糸町夜の街へ。

さてさて、例の西側のカノジョももちろんこの日最後まで同行してもらう。実はオータさんのバンド(L.E.D)やシラフさんのバンド(ザ・なつやすみバンド)のライブに行くなど、偶然にも二人のファンだというカノジョだが、ふと見ればちょっぴり緊張顔。どうやら好きなミュージシャンに会えた嬉しさだけではなさそうだ。

「これが夜の錦糸町…!やっぱりディープ」とかブツブツ言っている。

 

さて、オータさんそろそろ1軒目スタートしましょう。

22:00 @太陽のトマト麺:ラーメン、ビール、餃子、その他おつまみ

オータさんお気に入りの太陽のボンゴレ麺

1軒目はラーメン大好きオータさんが「飲みながら食べるのにいい店」と教えてくれた<太陽のトマト麺>錦糸町本店。
通称「たいとま」

「ここはね、自家製麺なんす!(1)」

毎回頼むというボンゴレ麺と焼き餃子、生ビール、その他おつまみをオーダー。

ちなみに太陽のトマト麺はチェーン店だけど、ここだけ自家製麺というのは?

「店の奥にね、自家製麺作る機械があるんです。それでこの自家製麺がうまいの(5)」

いろいろ教えてくれた店長の菊地さんもきっぱりという
「ラーメンは麺が大事です。スープより麺ですね!」

そこまで言われるとその麺が俄然楽しみになってくる。

 

普段も飲み歩きの1軒目は、たいとまから始めることが多いというオータ氏。

「休日前は遅い時間までやっているし、お腹を満たしながら飲めるし。あとね、何と言ってもたいとまは錦糸町本店が発祥なんですよ。元祖なんですよ!」

「あ、オータさんは元祖とか発祥っていうキーワードが大好物だから」

と、冷静に突っ込むのは。

 

この後もちょこちょこ登場するので最初に紹介しておくがこの日はオータさんの妻Yも同席している。ちなみに私とYはもう知り合って15年くらいか。詳しくは省くがまあ深酒飲み友達でもある。

「元祖とか発祥とかっていいよね〜。でも同じくらい「閉店」って言葉にも弱いくて、“もうすぐ閉店する名店”なんて情報を目にするととりあえずいきますね」

「本当の常連さんがしみじみと思い出に浸ってる中に、実はそこに初めて来たオータさんがまるで昔からの常連のように食べてるっていう」

「閉店の儚さっていうのを求めて…」

 

そんな話をしていると、ラーメンがやってくる。ボンゴレ麺、トマト麺、鶏パイタン麺などなど。ここはハーフサイズも頼めるので、お腹の空き具合で選べるのがいい。

オータ氏の聖地、店内にある製麺所。

さて、オータさん。ラーメン好きらしく素敵なグルメリポートをよろしく。

「えっえっと。僕はラーメンにからトマっていう辛いやつトッピングするのが好きなんだけどとにかく麺がうまくて、そう、自家製麺が美味い(13)」

ちなみに( )内の数字は、オータさんが本日発言した「自家製麺がうまい」の回数カウンターである(横でYが数えていた)

 

連帯責任なので次はY、よろしく。

「えっえっと、女性だけでも入りやすしハーフサイズもあるし、えっと自家製麺がうまい」

似た者夫婦か!

店長の菊地さんとともに

店長の菊地さんにヘルプを求めた。

「麺には卵白、豆乳、特製ブレンドの小麦粉、その他(企業秘密)が入ってるんですが、熱々のスープに合わせて、お客様にちょうど良い食感で食べていただけるよう茹でる時間は15秒にしています!
店名にもなっている「太陽のトマト麺」は一番人気ですね。
あと鶏パイタンも人気なのですが、こちらはレモンだと酸味が強すぎるのでグレープフルーツで酸味を足しています。オータさんが追加した“からトマ”っていうのは、サンバルが入っていて旨味と辛味を足せるものですね」と詳しく説明してくれた。

さて、真面目に説明すると麺の細さはまるでカッペリーニのようである。極細ではあるけれど、その“ベストな茹で時間”も相まって、ナイーブすぎず際立つ存在感がある。

私はトマト麺をいただいたが、ずっと飲んでいたいようなトマトの甘みと酸味のバランスの良いスープに、その細い麺が良く絡む。普段ならかっこつけて少しづつ啜るところを思わず口いっぱいに頬張ってしまった。

そして…

 

 

「自家製麺めっちゃうまい」。

 

振り向くと別の席で食べていたスタッフ(混んでいたので分かれて座った)がわざわざこちらのテーブルに来て回数カウンターを回しに来た。

オータさんも「でしょ、自家製麺うまいでしょ!(20回めくらい)」。

そんな風にみんなで「自家製麺がうまい」カウンターをガチャガチャ回しつつつまみも含め完食。

そうそう、ラーメンを食べ終えてスープが残った場合、+160円でご飯を投入してリゾット風に食べることもできる(らぁリゾ)。

おつまみメニューも程よいボリューム。特に焼き餃子は錦糸町本店のみのメニューなので、ラーメンと餃子というゴールデンコンビを味わいたいならぜひここへ。

ふと店内を見れば女性客もたくさんおり、ハーフサイズのラーメンとおつまみをアテにアルコールを嗜んでいた。店内もイタリアンパブのようなおしゃれな雰囲気なのでなるほど女性客一人でも来やすそうだ。トマトを使ったアルコールメニューもたくさんあったり食材にもこだわっているお店なので、私を含め多くの「お酒とラーメン食べたいけど健康も気になる」人には非常にありがたい。

 

次はこっそり一人で来て、「自家製麺がうまい」カウンターを心の中で回そうと思う。

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    01.スタッフの半数は「とりあえずビール」の世代です。

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    02.人気のチーズ包み揚げとおつまみチャーシュー。

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    03.錦糸町本店のみのメニュー、焼き餃子6個390円。

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    04.何度目かの「自家製麺うまーい」

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    05.人気のトマト麺にチーズを乗せた「太陽のチーズラーメン」

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    06.アオサ入鶏パイタン麺。アオサがたっぷり入っていてマイルドかつ深い旨み!

01.スタッフの半数は「とりあえずビール」の世代です。 02.人気のチーズ包み揚げとおつまみチャーシュー。 03.錦糸町本店のみのメニュー、焼き餃子6個390円。 04.何度目かの「自家製麺うまーい」 05.人気のトマト麺にチーズを乗せた「太陽のチーズラーメン」 06.アオサ入鶏パイタン麺。アオサがたっぷり入っていてマイルドかつ深い旨み!

23:00 @焼き鳥屋T:チューハイ、焼き鳥、モツ煮

シラフさんを待つ間軽くつまむ予定が、おいしいので普通にがっつり食べてしまった。

シラフさんがもう少し遅くなるというので、オータ夫妻がよく行くとい焼き鳥屋「T」にふらりと入る。(ちなみに今回はリアルなハシゴ酒を味わう、を目的としたので、取材許可を取らずふらりと飲みに入った店に関してはイニシャルでの案内になる。ご了承いただきたい)

焼き鳥屋のいいところは今日みたいに何件かハシゴするときも食べやすいし、なぜだか“鶏肉はヘルシーだから食べ過ぎても多分大丈夫”という謎の安心感がある。私とYが飲むときは大抵小さな居酒屋か、焼き鳥屋が多い。

そういえば他区の友達と飲むときに墨田区の焼き鳥屋に連れて行くととても喜ばれる。

「やっぱり墨田区とか下町の焼き鳥屋さんはどこも美味しいね」と言われるが、確かに墨田区やお隣の台東区(浅草らへん)には大将が黙々と焼く渋い焼き鳥屋が多いかもしれない。

 

オーダーした焼き鳥と、モツ煮来る。

 

それとモツ煮もよく見かけるメニューだ。5年前に墨田区に越してきた時に近所の店には必ずモツ煮があって、しかも非常にうまいのにびっくりした。スーパーにも生モツコーナーが必ずあり、てっきり墨田区や江東区、台東区あたり(つまりは東東京下町エリア)のソウルフードかと思ったのだけどY(江東区出身)に聞くと「確かにこの辺りではよく食べるけど、ソウルフードかと言われると違う気がする。店が多い理由?知りませぬ」と言われた。

 

美味しいお店が多いがゆえに墨田区付近のソウルフード的なイメージがついているけれど、これも<墨田区に、すもうよ>で記したように、みんなの“美味しかった記憶”が集約されてできた、“あいまいなアド街”の一つなのかもしれない。

でもまあモツ煮がうまい店が多いのも事実(Tのモツ煮も臭みは一切なくとろけるような口当たりだった)なので、その先を探るのは野暮ってもの。

 

さて、このお店では皆レモンハイにチェンジ。

 

 

後で合流したシラフさんには「墨田区のチューハイは「水と炭酸のうまさ」があるんですよ。炭酸の透明度が高くて甘すぎなくてすっきりしているのが特徴」と教えてもらった。

そういえば墨田区には老舗の炭酸の工場もある。

レモンの酸味と、炭酸自体の風味が感じられて、そこにアルコールの甘みが加わる。お店独自のシロップを足すところもあるけど、けして甘ったるいほどではない。そう、これが正しいレモンハイ(墨田区民的に)。

ちなみに「チューハイ(焼酎ハイボール)」は墨田区発祥だそうだ(その話は<04 墨田区ワンダーウォール>に書く予定)。

 

さて、ここでの話題はオータさんのライフワークである「錦糸町街歩き」。

錦糸町に越して以来「いい意味で怪しくてやばそうなオーラのお店」を探し歩くのが趣味なんだそう。

 

「他の区に住んでいた時はあちこち行くなら車で移動するしかなくて飲み歩きができなかったんだけど、錦糸町は小さい街なので歩きでいろいろ回れるのがいい。

音楽と一緒で、「掘りがい」がある街なんですよ。開拓というか、レベルの高いロールプレイングゲームを楽しんでいる感じ

あと僕にはラーメン食べ歩きで鍛えた「看板EYE」ってのがあって、例えばラーメン屋でわざと古い看板風にしているとこあるでしょう。ああいうエセレトロはすぐに見抜けるし、そういう店は大抵うまくない。音楽も一緒で、きちんとルーツが根付いているものと、模倣の音楽ってすぐわかる」

 

と、ミュージシャン的コメントも。

“西側のカノジョ”も以前『熊枠』で聞いたという「楽器を壁に立てかけてトイレに入ったら、重い楽器が扉に倒れて出られなくなってさぁ大変」話を再現してくれるオータ氏。

そのあとは「最近見つけたいい居酒屋」とか「(私も含め墨田区ご近所仲間と)よく行く森下の居酒屋のおもしろ話」とか、以前ラジオで披露したという「トイレ、危機一髪!」の詳細とかとりあえず飲んべえらしい話で盛り上がる。

ちなみにその森下の居酒屋はカウンターのみの小さなお店だが、オープンから閉店まで常に満席の人気店である。おつまみもおいしいけれど、何よりそしてそこのレモンサワーは濃すぎるので有名。酒好きが集まる飲んべえホイホイだ。

 

そう、墨田区のチューハイは濃いのがデフォルト。渋谷あたりのおしゃれな居酒屋で出てくるチューハイに比べると、アルコールと割りものの比率が逆なんじゃないかと思うほど濃い。慣れないうちは飲みすぎ注意。慣れると“渋谷の酒は水か!”などといいだすのでこれまた注意。

さて、そろそろシラフさんも合流できそうとの連絡があったので
ほろ酔いで次の場所へ。

24:00 @ステーキハウスA:ステーキ、テキーラ、ビール、タコス、チョリソー他

二人にURBAN TUBEステッカーを贈呈。

深夜のテキーラは、沁みます。

シラフさんがお勧めというステーキハウスAに着地。

ラーメン、焼き鳥(ちょっとつまむ予定が案の定食べ過ぎた)を食べているので
とりあえずはサラダとチョリソーあたりで様子をみようか(両方うまかったです)。

ステーキは赤みのがっしり系。ワイルドにわしわし食べたいやつ。

と思ったが、うっかりテキーラを飲んでしまったので、その勢いでステーキも頼む。

そしてステーキ来る。

 

0時過ぎのステーキ。
まあすてーき!

(と、取材メモに書いてあった。ただの酔っ払いのメモである)

ちなみにシラフさんも錦糸町在住。途中で他の町にも住んだりもしたが「合計10年」はこの辺りに住んでいるそうだ。

 

「錦糸町はなんでもある街。ありとあらゆるジャンルのものがあるので、ここにないものはないんじゃないかってくらい。外国の店も多いんだけど、どれも日本で働く同胞のための店が多くって、味がちゃんと現地のまま。だからただいろんな料理を食べるんじゃなく、違う文化を味わえるってのがいいんです」

 

そんなことを言いながらさらに追加した2枚目のステーキ、来る。

0時半越えのステーキもすてーき(ごめんなさいもう言わない)。

 

沖縄ではお酒の締めにステーキを食べる文化があるそうだが、錦糸町にも深夜にかぶりつける本格的で美味しいステーキがあるというのを知って、改めて”錦糸町の食の幅の広さ”に驚く。

 

 

マスターがユニークな人で、おもむろに若い男性スタッフの爪を磨きだした。

されるがままにニコニコと爪を磨かれるスタッフとか、そのスタッフ(金髪の今時な青年)が実はメキシコ育ちで、マスターと「正しいテキーラの飲み方はこうだ」と議論が始まったり。すっかりマスターとテキーラの魅力につかまり、不思議なカオスに場が包まれる。

 

眺めていたシラフさんが「ここは…マスターに試される店か!」とつぶやく。

それを聞いた西側のカノジョが笑い転げていた。

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    01.「メキシコではコップのふちにレモンを擦り、ソルティドックみたいにそこに塩をつけて飲んだ」と主張する男性スタッフと、「一気にクイッと煽ってレモンをかじるのが正しい」というマスター。(正直、どっちの飲み方でも美味しい、と小声でつぶやいておいた)

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    02.2枚目のステーキ!

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    03.タコスもかなり美味!

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    04.「メキシカンサラダをタコスに巻いて食べるとおいしいはず!」とオリジナルタコスを作るオータさん

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    05.もはやビールがチェイサー代わりになっている

01.「メキシコではコップのふちにレモンを擦り、ソルティドックみたいにそこに塩をつけて飲んだ」と主張する男性スタッフと、「一気にクイッと煽ってレモンをかじるのが正しい」というマスター。(正直、どっちの飲み方でも美味しい、と小声でつぶやいておいた) 02.2枚目のステーキ! 03.タコスもかなり美味! 04.「メキシカンサラダをタコスに巻いて食べるとおいしいはず!」とオリジナルタコスを作るオータさん 05.もはやビールがチェイサー代わりになっている

25:30 @青いトンネル:ちょっと休憩

“西側のカノジョ”が最初に思っていたような「墨田区は…なんかディープ!」のイメージを抱く人は、大抵テレビなどでよく取り上げられる、“下町の飲み屋街”もしくは“錦糸町の繁華街”からきている人も多い。確かに同じ錦糸町でも前号で見たような雰囲気とはがらりと変わり、繁華街のあるエリアは深夜ともなればキャッチも増え、煌々とともるネオン、様々な国の人々が集まりここだけどこの国かわからない雰囲気もある。

そして美味しい居酒屋や夜な夜な様々な人が集まるスナックなど(ちなみに私がよく行くスナックは2時間3000円で飲み放題歌い放題です)、夜には夜のお楽しみの時間が広がる。

 

 

西側のカノジョも“カノジョが想像してた墨田区”の雰囲気に触れられて興奮気味だ。

ふと

「青いトンネル行く?」と誘われた。

それは錦糸町西側のJRのガード下にあるらしい。

そのまんま青いライトに照らされているトンネルだった。

ちょっとタイムトンネルぽくてワクワクするが、実は「犯罪抑止」効果があるそうだ。

青いライトの正式名称は「青色防犯灯」というらしい。トンネルに設置されていた説明書には「青色には、人の副交感神経に作用して心を落ち着かせる鎮静効果があり、心理的に冷静にさせると言われています」とある。

 

さらに「青色は白色の街路灯に比べると遠くがくっきりと見え、見通しが良くなると言われています。このことから、犯罪者に『人目を避けたい』という心理が働くため、犯罪抑止効果が期待されています」

と書いてあった。

街が綺麗になったり、公園を整備したり、そしてこういう仕組みを増やしたりして、錦糸町は様々な文化を受け入れる間口の広さの面白さはそのままに進化している。

前号で、墨田区は<みんなに>優しい場所が多い、と伝えたけれど、どこでも優先的に優しくされる子供や老人だけでなく、エネルギーを持て余した若者や、仕事で疲れた働きマン、夜これから働く人、日本で頑張る外国人、そういう人たちにも落ち着く場所がちゃんとあって、それもまた墨田区の特徴の一つでもある。

26:00 @アジアカレーハウス:カレー(ブナキチュリ)

Yは彫りの深い美人なので、彼女が店の中にいるとさらに外国感が増し増しに。

笑顔が素敵な店員さん。オータさんからはバボさんとの愛称で呼ばれている。

ここはオータさんが好きすぎてたまに店の手伝いをすることもあるそうだ。

カレー好きにはかなり有名な店なのだが、完全に異国情緒を醸し出す店構えなので、気になるけど入る勇気がなくて入り口でウロウロしている人もいる。

ただその入り口をくぐれば、超絶美味しいカレーにありつける。

店内は5席しかなく、壁には現地のお菓子や食材などがぴっちりと壁画のように並んでいた。

オータさん周りのカレー好きのミュージシャンの間では
「やばいミュージシャン(オータさんのこと)が好きな、やばいカレー屋の、(うまくて)やばいカレー」と呼ばれているとか。

「錦糸町は終電前は日本人が多いけど、終電後はまるで外国になる。でも2時3時になってからが錦糸町の面白さの真骨頂なんだよね」(シラフ氏)

なぜかそれを聞いて西側のカノジョがウンウンと頷いていた。

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    01.水曜日のメニュー、ブナキチュリ

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    02.オータさんが店に馴染みすぎていた。

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    03.カレー完食!と笑顔で出てきたオータ氏

01.水曜日のメニュー、ブナキチュリ 02.オータさんが店に馴染みすぎていた。 03.カレー完食!と笑顔で出てきたオータ氏

ちなみにここのカレーのメニューは日替わり。この日(水曜)はブナキチュリというメニュー。柔らかめに炊かれたスパイス香る米(お代わり自由)に、卵カレーやチキンなどが乗せられ、別皿でビーフカレーがつく。それらを混ぜながら食べれば身体中に刺激的で華やかな香りが広がり、行ったことはないはずのダッカの街はずれにいる気になる。

日本風のアレンジはなし。まごう事なき現地の味。日本に住むバングラデッシュ人のお客さんはもちろん、“本場のカレー”好きの人にもたまらない味。本場と同じく手で食べる人も多いそうだ(次はそうして食べてみたい)。

 

金曜メニューのビリヤニは特に人気で、オータ氏&シラフ氏もお気に入り。

何せ5席しかないのであっという間に満席になる。ふと外を見るとお酒がすでに入ったサラリーマンのお兄さんたちもおとなしく店先で行列を作っていた。そう、誰もかれもが虜になる味。

26:40すぎぐらい(うろ覚え)@高架下:缶ビールと缶チューハイ

コンビニで缶ビールなど調達

今更だが今回の取材のためにオータさんは「朝から何も食べずにきた」そうだ。
(真面目だ!)

でもラーメンに焼き鳥にカレーと、オータさんもさすがに腹一杯。さすがにこのまま解散かと思いきや
「じゃあ締めの1杯飲みますか」(シラフ氏)

 

正直、今メモを読み返してもただただミミズが張ったような文字しか書いてなく(記憶をたどって書いている。時間すらもあやふやだ)もうこの段階でだいぶ酔っ払いなのだが、不思議と今帰るのは寂しい気がして「シメ」まで見届けようと思った。

シメといっても店飲みではなく、コンビニで缶ビールや缶チューハイを買って駅の高架下に向かう。ここは夏の河内音頭の会場になる(これまた面白いのだが8月開催なのでまたいつか)高架下の公園で、ベンチも完備。

 

ここでシメるのが二人の定番だとか。

 

なんとなくベンチにオータさんとシラフさん、もう一つのベンチにYやスタッフで分かれて座ったが、オータ氏たちが何を話しているのか気になったので後ろからそおっと近づいた。

 

 

 

仕事の打ち合わせをしていた。

 

 

(真面目だ! と思ったところまで覚えているが、以後記憶なし)

終幕・この楽しき夜を共に過ごした人々に

楽しい夜を過ごしてくれたオータ氏、シラフ氏、Y、そして錦糸町の美味しいお店の方々に感謝を捧げる。

そして最後に駅前で眼鏡をなくしていた誰かにも。きっと彼(彼女?)も今日錦糸町のどこかでいいお酒を飲んでいたに違いない。ならばこの夜を共に過ごした仲間も同然である。

 

 

さて、西側のカノジョは<ミッドナイト墨田区>に何を思ったか。

「墨田区はディープな飲み屋が多いって思ってたけど、実際その通りで(笑)、そして何より私って意外とそういう店が好きだったみたい」

翌日、はお互いあんまり使い物にならなかったので翌々日に感想を聞いてみた。

「もうね、今日の錦糸町はまさに一番最初に思っていた墨田区像そのまんまでした。新宿の歌舞伎町とも渋谷のホテル街とも違うディープさがあって。でもその中に多国籍な感じと、新しい感じと、老舗がごちゃ混ぜになっててそのバランスがたまらなく良かったです。オータさんみたいに他のお店やスナックを開拓したくなったし、今回行ったお店も全部しっくりきた(笑)。あーこの辺りに住んだら飲み屋には困らないんだろうなあ!」と満面の笑みでした。

 

もうこっちに引っ越しちゃえばいいよ!

 

Profile

【オータコージ】

1998年に空気公団のサポートドラマーとしてプロ活動スタート。
SPOOZYS、曽我部恵一BANDのメンバーとして活動のほか、□□□(クチロロ)、IMALU、花澤香菜、パスピエのサポート、for instanceへの参加、沢田研二デビュ−50周年シングルのレコーディングなど活動は多岐にわたる。
自身のバンド「L.E.D」ではアルバムを3枚リリース。
今年4月よりラッパーのダースレイダー氏率いるThe Bassons(ベーソンズ)に加入。

オータコージ公式ブログ 日々の音楽活動と飯活
公式Twitter @cozy_ism

 

【mantascool(a.k.a MC sirafu)】

片想い、ザ・なつやすみバンド、うつくしきひかり。
犬と角打ち愛好家
URBAN TUBEにて「角打ち ON THE CORNER」連載中。

 

 

気がついたらサウナの中で、気がついたら自分で脱ぎ着らかした服を撮っていたという。

(おまけの後日談)

解散をしたのは始発のちょい前だった。カメラマン君はオータ氏から教えてもらったサウナ錦糸町という「尋常じゃないほどめちゃめちゃあっついサウナ」に行ってお酒を抜いてから帰る、と錦糸町の街へ戻っていった。

後日感想を聞くと「熱すぎてまじ息もできなかったっす!」とか。サウナにたどり着くまでにもキャッチのおばちゃんに捕まりそうになったり酔いがマックスになったりとかいろいろあったらしいが「カメラだけは死守しました!」。とりあえず無事でよかった(カメラ)。

Profile

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。また猫についてゆるく語る「ネコテキ」を小学館「しごとなでしこ」にて連載中。夫婦料理ユニット「サイトウのゴハン」レシピ担当。

  • 木村 巧Photographer

    1993年茨城県生まれ。在学中より、写真家青山裕企氏に師事。大学卒業と同時に独立。雑誌・書籍・テレビなど幅広いメディアでライブ写真が掲載される。グループ展やTOKYO ART BOOK FAIRなどで作品を発表している。春からURT編集部へ。

Information

  • 松の湯

    東京都墨田区緑3-4-6

    営業時間 : 15:00~24:00

    TEL : 03-3846-8988

    URL:http://matsuno-yu.com/

  • 太陽のトマト麺 錦糸町本店

    東京都墨田区江東橋1-11-8

    営業時間 :
    [月~木]11:00~26:00
    [金・土]11:00~27:00
    [日・祝]11:00~24:00

    TEL : 03-5638-7017

    URL:http://taiyo-tomato.com/

  • アジアカレーハウス

    東京都墨田区江東橋3-9-24

    営業時間 :
    [月~金] 19:30~翌4:00(L.O)
    [土・日] Lunch 11:00~15:30(L.O)
    Dinner 19:30~翌4:00(L.O)

    TEL : 03-3634-4522