2018.07
特集 蒼き嬬恋村

嬬恋高原キャベツを丸かじり!

標高が高い嬬恋村は夏でもとても涼しくて避暑地としても人気。そして同じく人気なのがその気候を生かした甘くて美味しい嬬恋高原キャベツ!若手農家さんの畑にお邪魔して、その美味しさを丸かじりしてきました。

8.1, 2018

  • food&liquor
  • lifestyle
Share on

「嬬恋高原キャベツ入荷しました!」

夏になると、都内のスーパーにもそんなポップに飾られたキャベツが店頭に並ぶ。

 

キャベツは毎日の食卓に欠かせないし、意識せずともよく買う野菜ではあるけれど、この時期だけは「あ、キャベツ美味しそうだな。食べたいな」と思うほどの存在感がある。

 

野菜売り場の中で一番目立つところに山のように積まれたキャベツ。

つやつやしていて大きくて、外側の大きな葉っぱごと積んであるからその存在感はすごい。手に取れば普段のキャベツよりもどっしりしていて、見た目にもみずみずしい。買い物に来た人も、「あら嬬恋高原キャベツが売ってるわ。美味しそうね。あらあら重いわぁ」と嬉しそうな顔で呟く。それほどに“嬬恋高原キャベツ”の名前や美味しさは有名である。

 

そんなスーパーでも人気者の嬬恋高原キャベツは、群馬県の吾妻群嬬恋村で栽培され、夏秋キャベツの中では日本一の出荷量を誇っている。

夏休み時期に前回紹介した無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場に遊びに来ると、まさにずんずんと大きく育っている一面のキャベツ畑に出くわす。

干川大地さん

夏は涼しく昼夜の温度差があるという、キャベツに適した土地柄もありこの辺りの農家さんのほとんどはキャベツ栽培をしている。その中で、若手キャベツ農家として、また嬬恋高原キャベツの知名度アップのために「BRASSICA (ブラッシカ)」と言う団体を立ち上げた干川大地さんにお話を伺った。

干川さんは祖父の代から続く3代目。BRASSICAでは、“きゃべつをデザインする”をコンセプトにいろいろなPRやコミュニケーションイベントをしている。

嬬恋ハートきゃべつ畑プロジェクト(2017年度収穫祭)

嬬恋村は、その「つま・恋」という名の響きから愛妻に関するイベントを行っているが、干川さんたちはハート型にキャベツを植え、収穫するという「嬬恋ハートきゃべつ畑プロジェクト」というこれまた素敵なイベントを行っている。今年でもう4回目だとか。

「キャベツをどうやって植えるかというのもぜひ見て欲しいんです」

そこで今日は干川さんの畑にお邪魔して、キャベツの苗を植えるところを見せてもらった。

「えっ、これがキャベツですか?」思わずそう聞いてしまった。

ほうれん草です、とか小松菜です、と言われてもそう見えてしまうほど、いわゆる普通の菜っ葉がそこにあったから。

丸々としたあのキャベツのことだから、苗もきっとふきのとうみたいな丸っこいやつだと思い込んでいた。

これがキャベツの苗!

「これがキャベツの苗なんですよ。大きくなるとどんどん外側の葉が増えて、だんだん丸くなってくるんです」

まさかこの菜っ葉からあの大きな塊になるとは!

 

あとで調べてみたところ、キャベツやレタス、それに玉ねぎなどは「結球」と呼ばれるタイプの植物だそうだ。成長し外葉などが増えるほどに内側の葉や茎が丸くなったり厚みを帯びたりしてあの丸々とした形になる。

つまり丸々どっしりとしたキャベツの内側は、葉っぱたちの人数が増えるにしたがって、どんどん内側からがっしりスクラムを組んでいる状態。そう想像するとなんだか愛おしい。

せっかくなので、キャベツの苗を植える体験をさせてもらった。

小さなバイクのような移植機またがり、苗を丸い2枚の円板状のようなものに等間隔ではさんでいく。それがくるりと回転し、どんどんと畝に植えられていく。

私たちが植えた苗が大きくなって、いつか誰かの食卓に届くかと思うとちょっとワクワクします。

簡単そうに見えるが、しっかり等間隔で植えることがなかなかできない。

結局私たちのやったもののほとんどは干川さんが手直ししてくれた。

でも自分が植えた苗があの丸々ツヤツヤのキャベツへと成長することを想像するとちょっとにんまりしてしまう。

  • 01

    01.干川さんの手にかかるとリズム良く苗が植えられていった。

  • 02

    02.苗を植える機械。ちなみに乗り心地はよかったです!

  • 03

    03.おおよそ30㎝間隔で植えられていく。1列に約300本植えるそうだ

01.干川さんの手にかかるとリズム良く苗が植えられていった。 02.苗を植える機械。ちなみに乗り心地はよかったです! 03.おおよそ30㎝間隔で植えられていく。1列に約300本植えるそうだ

「あちらのはもう少し大きくなったキャベツですよ」

苗を植えた畑の隣に、葉が大きくしげる畑があった。

まだ丸みはないけれど、独特な葉脈は目立ってきていて、言われてみれば少しキャベツっぽいかな、といったところ。

嬬恋村のキャベツ畑をよく見ると、段々畑のように段差があるのに気づく。

嬬恋村は線路などの一部を除き、その多くが標高1000m以上にある。その地形を利用して、7月から10月ごろまで標高差、時間差で栽培するんだとか。

 

「麓の村からスタートして、標高1000m、1200mと時期をずらして栽培するんです。ちょうど1000m付近の畑が収穫前なので、後で見に行きますか」

収穫前の畑は、土が見えないほど大きく育ったキャベツの葉でグリーンの絨毯のよう。

こんなにも毎日のように食べているのに知らなかったことがある。

キャベツは約100種類もあるってことを。

確かに同じスーパーで買っていても、日によって「なんか硬いな」とか「今日のは甘い」と思っていたけれどそれは単に日照時間などの品質の差かと思っていた。でも違う種類だったとは。

大きく分けると春玉と呼ばれる春キャベツは柔らかくて生食向き、寒玉と呼ばれる冬キャベツはしっかりと葉が硬く巻かれているので煮込みなどに向いている。嬬恋村で栽培される高原キャベツ(夏キャベツ)はその中間なので、生でも煮ても焼いても美味しい。

 

「嬬恋村だけでも14、5種類は作っていますよ。味も全然違います。“初恋”は甘くて味がしっかりしているし、“光彩”はシャキシャキ感が特徴、今年初めて“春風”を作ったのですがそれも甘くて美味しい」

干川さんは、キャベツの育成、PRだけでなくキャベツの種類ごとに合う料理も模索している。

「“光彩”は、シェフの方に協力していただいて、カツサンドの千切りキャベツがベスト、となりました。水分が少なくてシャキシャキ感がすごいのでパンに合うんです」

それを聞いてキャベツの見方がガラッと変わった。

今までは「なんの料理でもあう、使い勝手のいい野菜」だと思っていたけれど本当は「特徴を生かせば普段の料理がもっと美味しくなる野菜」だったのだ。

次回からはキャベツの種類による特徴をちゃんと生かしてあげなくては。

 

 

せっかくなので美味しいキャベツの見分け方を教えてもらう。

「芯が丸くて、綺麗なものが新鮮です」

そう言って畑から一つ、丸々したキャベツを収穫してくれた。

確かにその切り口は真っ白でまん丸で、水分がじわっと溢れ出ていた。

  • 01

    01.左(初恋)右(春風)で違う種類のキャベツ。その場で食べ比べると確かに味が違う!

  • 02

    02.まん丸な芯。

  • 03

    03.芸術的なほど美しいキャベツの断面。

01.左(初恋)右(春風)で違う種類のキャベツ。その場で食べ比べると確かに味が違う! 02.まん丸な芯。 03.芸術的なほど美しいキャベツの断面。

と、干川さんがそのキャベツをナタで半分にザクッとカットした。

さらにザクザク、ザクザクっとカットしてあっという間にスイカみたいな櫛形になったところで食べさせてくれた。

「この櫛形の中でも、場所によって味が違うんですよ」

確かに外葉に近い方は爽やかな甘さで、芯に近くなるほど柔らかな甘さになる。

最後はその両方が口に入るように頬張る。

「甘い!」「果物みたい!」「梨みたいな味!」とURBAN TUBEスタッフが口々に叫ぶ。

 

畑から採れたてをその場で食べる。これ以上新鮮で贅沢な食べ方もない。

そういえば、冒頭で「嬬恋キャベツ入荷しました」と特別扱いされるキャベツには外葉がついている、と書いたが、この外葉は輸送時にクッションになっているそうだ。だから外葉付きで並べられているというのは朝採れの物をそのまま売り場に並べているということ。つまり新鮮な証拠。

ちなみに干川さんから外葉を2、3枚もらってキャンプ場でまな板やお皿代わりに使ってみたが丈夫だし見た目も可愛いかったです。

キャベツの上をザクザク切って、ツナとマヨネーズを乗せただけ。新鮮なキャベツならこれだけでびっくりするほどうまい。

最後にキャベツ農家さんオススメのキャベツの食べた方を3つほど教えてもらった。

無水鍋で丸ごと蒸すと、キャベツの水分だけで蒸し上がって甘くなります。あとはザクザク切って、塩とごま油、それに海苔を混ぜたり

 

そして農家さんならではの食べ方も。「丸ごとのキャベツの上部にザクザク切り目を入れて、そこにツナ缶とマヨネーズを乗せるんです」

 

せっかくなのでキャンプ場に戻ってその3つを作ってみた。

ダッチオーブンで蒸したキャベツは、ケーキのように柔らかくて甘くて、何も味をつけなくても美味しい。

ざく切りキャベツはせっかくなので、<ごま油と海苔和え><塩こぶ和え><オリーブオイルと塩、粉チーズ和え>の3種を作ってみた。どれもジップロックに入れて少しなじませるだけで作れるのでキャンプにももってこい。

ちなみに<塩こぶ和え>がお酒のあて風なのに対し、<海苔和え>はご飯のおかずにぴったりの味。<オリーブオイルとチーズ>はその場で創作で作ったがキャベツ自体が甘いのでチーズの香りが良く合う。これはサンドイッチの具に良さそう。

そして丸ごとキャベツのツナマヨ和えは、もう鉄板のうまさ。

各々小さなナイフ片手にキャベツをザクザク切り崩しながら食べるのもキャンプごはんらしくて楽しかったです。

  • 01

    01.ダッチオーブンが大きいサイズだったのでキャベツの他にどんどん野菜を放り込む。

  • 02

    02.蒸しあがったのがこちら。包丁を入れると力を入れなくてもすっと切り目が入るほど柔らかい。

  • 03

    03.ザク切りキャベツ3種。奥が粉チーズ入り、右が塩こぶ入り、左が海苔入り。

01.ダッチオーブンが大きいサイズだったのでキャベツの他にどんどん野菜を放り込む。 02.蒸しあがったのがこちら。包丁を入れると力を入れなくてもすっと切り目が入るほど柔らかい。 03.ザク切りキャベツ3種。奥が粉チーズ入り、右が塩こぶ入り、左が海苔入り。

無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場でも、朝採りキャベツの収穫体験をやっているそうだ(詳細はこちら)。支配人の渡瀬達生さんも「野菜嫌いな子どもが、朝採れのキャベツを食べてその甘さにびっくりすることが多いですよ」と言っていた。いつものキャベツとは格段に違う美味しさは、子どもたちをも虜にしてしまう(もちろん大人も)。

ぜひ1度は「採れたて」のを味わってみてください

また嬬恋村にはあちこちに野菜の直売所があるので、無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場やTGFに遊びに来る人は、ぜひキャベツを丸ごと買って、キャンプ場で食べ尽くしてみよう!

 

キャベツを始め、新鮮な野菜の直売所の情報は嬬恋村ホームページにも載っています。(マップはこちら

Profile

  • 松尾 彩Columnist

    フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。また猫についてゆるく語る「ネコテキ」を小学館「しごとなでしこ」にて連載中。夫婦料理ユニット「サイトウのゴハン」レシピ担当。

  • 木村 巧Photographer

    1993年茨城県生まれ。在学中より、写真家青山裕企氏に師事。大学卒業と同時に独立。雑誌・書籍・テレビなど幅広いメディアでライブ写真が掲載される。グループ展やTOKYO ART BOOK FAIRなどで作品を発表している。春からURT編集部へ。

Information