2019.08
特集 循環するチューリッヒ

静寂の燈が灯るチューリッヒの街

チューリッヒの街は、人こそ多いけれども、「喧騒」とは無縁の静かな世界が広がっていた。

8.21, 2019

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FREITAG(フライターグ)の工場見学の翌日、URBAN TUBE編集部はムービー班とスチール班に分かれ、街を一日歩くことに。

通常、こういった取材の場合は「ロケハン(事前に撮影場所をみておく)」を行うのですが、10年前の記憶があるので、「何回も(正確には2回しか来ていないけど)来てるから大丈夫!」とカメラマンに豪語し、朝から街へ向かうことに。

幸いという表現が正しいかはどうかわからないが、思ったより街の景色は当時と変わっておらず、というか景観もそのままちゃんと残っており、ヨーロッパの、街に対する美意識と愛はとても強いものだと感じたのである。
一般的なヨーロッパの「旧市街」と呼ばれる街並みは、この写真のように石畳の道があり、観光客が多いのだが、チューリッヒはどちらかというと、オールドスタイルのホテルが2、3軒あるくらいで、朝の早い時間でないと旅行者に会わないくらいだ。(この日見たのはこの二人くらいだったかな)

Zurich HB駅から5分ほど歩いて、旧市街の玄関口とも言えるリマト川を渡り、Zurich Centralのバス停横のビルの2階(ヨーロッパ表記だと3階?どっちかわかんないけども)に突き刺すように登山電車の車両が停車している。あまりにもひっそりとした佇まいで気づかない人ももしかしたら多いだろう。

これで旧市街の急斜面を登ると、そこはチューリッヒの街を舞台袖から見たような形式が広がっていた。そこにはETHZというチューリッヒではとても有名な科学技術大学があった。

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佇まいは美術館のようである。全然サイエンスしてないところが、またイイ。
中に入って驚いたのが、その静けさ。それもそのはず、今日は土曜日だった。
勉強熱心な学生さんが何人か、ラップトップを持って講堂に入っていたのを見かけた。
どうでもいい情報だが、持っていたPCはDELLのラップトップだった。

 

なんて言いつつ、後からFREITAGのクルーに話を聞いたら、なんとびっくりこのスイス連邦工科大学チューリッヒ校舎はスイスの大学の最高峰であり、X線を発見したレントゲン博士や相対性理論でおなじみのアインシュタインの卒業校だったのだ。“出身有名人”のスケールが違いすぎる…。

 

今度からDELLのラップトップを見るたびにこのことをきっと思い出すだろう。
サイエンスしてないところがイイ!なんて言ってごめんなさい。

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ちょうどお昼前になったので、お腹がすいてきたこともあり、土曜日にチューリッヒ湖のすぐ手前でやっているマルシェへ行くことに。
行く道中からアメリカンチェリー(スイスにも、アメリカンチェリーは売っているのだ)が食べたくて仕方なかった私は、チェリーめがけて2ステップを踏みながらマルシェに。

 

さすがに週末のマルシェは盛り上がっている!
半パンのタンクトップのオシャレ紳士が生花コーナーにいたのだが、僕がチューリッヒで見た男性の中では彼がダントツにオシャレだった。こういう顔に生まれてたら僕だってティアドロップのサングラスを躊躇なくかけれたはずだ。

あまりにも気になったので、ズームインしてみた。
静かに目線の高さを花に合わせる姿が印象的だった。

 

この目線、本当にシブい。この花を贈られる奥様(彼女?)はきっと素敵な方なのだろうと勝手にスイスのアンジェリーナ・ジョリーのような方をイマジンしていた私。

 

そんな風に堂々と余所見をしていたので、気がつけば一緒に行ったカメラマンとも早速はぐれてしまった。

探す気は10%くらいはあったのだが、「まあなんか撮ってるだろう」とそのまま気ままにマルシェを散策すると…

 

よっしゃー!チェリー見っけ!

と思いきや
添えるだけでオシャレになるで有名なラディッシュさんだった。。。眩しいぜ。。

 

手前味噌ながら、以前雑誌で料理ページの連載などもやらせていただいていたので、やはり色とりどりの食材を見ると無性に料理がしたくなる。

オシャレな老夫婦が静かに二人でマルシェを見る姿に、心の温度が2℃くらい上昇したのを確認しながらようやくカメラマンを探すことにした。

そうすると遠目に少し大きめのカメラをぶら下げてる青年が。。

まちがいなくURT編集部のカメラマン木村だった。
なぜ遠目にもわかったというと、マルシェには不釣合いの少し大きめのカメラを持っていたからだ。
それにストラップに“SONY”と書いてあるからだ。

 

とても眩しそうにこちらを見ていた。

 

そんな木村の目線の先にあったものを振り返って見ると

やはりスイスといえば、コレ!ということでチーズの塊が!
余談ばかりで申し訳ないが、チーズフォンデュを食べるときに炭酸を一緒に飲むとなんか胃が膨らんでよくないらしいという話を思い出していた。

 

当たり前だがスイスのチーズはすこぶるうまい。なんでもスイスにはチーズの元となる乳牛を育てる山がたくさんあるのだけれど、その山ごとに作られるチーズが違うらしい。
日本で言えばご当地牛のようなものか。

 

そんな中、近くで自転車のフリマとボロ市やってますよと、別動部隊から連絡が。

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急いでバスに乗り行って見ると、蚤の市というよりかはボロ市に近い感じで、正直なんか買うものがないな。。という感じであった。だが、これまでのチューリッヒの文化のレベルの高さばかり見せつけられていたので、なんだかちょっと安心した…のもつかの間!

 

隣接する会場では、中古自転車のマーケットが開催されていました。

かなりの規模感でしかも大半がオシャレなロードバイクであり、日本で買うと相当なお値段するような自転車がズラリ(3万円〜5万円くらいで売っていた)。
あまりの“いい自転車”っぷりに、スタッフ全員が本気で購入を考えて見ていた(どこに置くんだよ)

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チューリッヒの街の人の足として欠かせない自転車は。本当に老若男女が愛用しており、自然や環境にも配慮した移動手段としてもっともポピュラーである。
過剰な広告のない街並みと、華奢なデザインの自転車がとてもフォトジェニック。

 

乗りやすい自転車があればサイクリングがしたくなる。
サイクリングしやすい道があれば自転車が欲しくなる。
余計な看板がないので注意力が散漫になることもなく、これまた自転車に乗るのが楽しくなる。

 

ただそれだけである。でもそれだけのことがあるからこそ、あえて、でもわざわざ、でもなく意識が高くなるという自然な仕組みをここでも感じた。

さて、一日中歩き回り、本格的に腹ペコになって来たので、私が10年前にFREITAG兄弟に連れてきてもらって本当に美味しかったレストラン“Volkshaus(フォルクスハウス)”へ。
取材撮影の許可もいただだき、お目当のスイス伝統料理、「コルドンブルー」をオーダー。

 

薄く重ねられたカツレツにスイスさんのチーズが挟んであるので、切った瞬間に溢れ出るチーズを絡めていただく。
この表現があっているかはわからないが、目黒の「とんき」のヒレカツの間に極上のチーズが挟まった感じである。本当に美味しい。

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月並みな表現で申し訳ないがクラシックでモダンな店内の居心地もとてもいい。

他のメンバーはラビオリとミートボールをオーダーした。香草も上品に効いていてパンチはあるけど上品な味。バウハウスを思い出すようなメニューのアートワークもとても素敵。

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夏のチューリッヒはディナーが終わって一杯飲んでからくらいにちょうど暗がりを見せる。
空気が澄んでいるせいか、特別な機材がなくても夜空と街が“photoshopのデモ画像”くらい綺麗に映る(つまりコントラスト強め)。

完全に空が暗くなった頃(0:00くらい)にURBAN TUBE編集部メンバーより「僕も実はチューリッヒ来たことあるんですよ、お気に入りの高台行って見ますか?」と現地アテンドのような一言が。

 

Zurich HB(メインステーション)から少し南に下ったところにある石畳を上ったところにある“リンデンホフの丘”へ編集部一同へ向かう。
夜の大聖堂を高台から見下ろす景色は、夏の週末を楽しむカップルや学生のグループで賑わっていた。

カップルが愛を語らうもっとも景色の良い場所の少し横で男4人でカメラモニターを見つめていた。

“男4人で景色の良いところで撮影しまくる”。京都の鴨川であれば確実に迷惑な男4人組であろうが、スイスのこの場所だからか、自分たちもノスタルジックな気分になれた。

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丘を下ると控えめにライトアップされた街並みが広がる(というかまあまあ暗い)丘の中腹では週末をビール片手に過ごす若者たち。今夜ここからカップルが生まれても不思議ではない、ロマンティックな燈。そしてこれから夜明けの6時ごろまで街は静かに眠りにつく。

 

街の景色と文化を愛する静かなるチューリッヒ。

 

チューリッヒの静寂はこの燈のように朝昼夜を通してぐるりと回って、人々の暮らしに根付いていた。

Profile

  • 齊藤 悟URBAN TUBE編集部 編集長

    アーバンリサーチ販売促進部シニアマネージャーとしてアーバンリサーチに勤務。勤続20年目突入。その傍らURBAN TUBE編集部の編集長を務める。
    飽き性。とにかく飽き性。
    好きなものはタバコとタラコ。

  • 木村 巧Photographer

    1993年茨城県生まれ。在学中より、写真家青山裕企氏に師事。春からURT編集部へ。